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「やりたいことで生きていく」そう教えてくれたのは旅だった。自分が自分らしくいられるために旅で学んだこととは

家族の日常をドラマチックに切り取る、日常カメラマンとして活躍するいしはらさん。大学1年生の時にひとり旅にハマり、大学4年生では休学をして世界を旅していました。

いつも笑顔で、周りを明るくする太陽のようないしはらさんは、「旅が今の自分を創っている」と教えてくれました。大学時代のひとり旅や、現在のお子さんとの母子旅含め、旅の魅力について熱く語っていただきました。


ひとり旅は独りじゃない。そう気付かせてくれたのは一冊のフリーペーパー

−ひとり旅を始めたきっかけはなんですか?

大学1年生の時に、「たびぃじょ」というフリーペーパーを、父が知り合いからもらってきたんです。女の子のひとり旅に関する情報誌で、見た瞬間クオリティの高さに驚きました。紙面のデザインや、旅先の写真、柄物のワンピースを着た女の子が大きいバックパックを背負っている姿が可愛くてかっこよくて…!

たびぃじょ創刊号|準備の仕方が詳しく書かれていたので、私でもできそう!と思えた

以前父からひとり旅を勧められたことがあったのですが、その時はひとり旅って寂しいと思っていたので、拒否しました。でも、たびぃじょを読んだら、旅先ではたくさんの出会いがあって、友達もできる。「ひとり旅って独りじゃないんだ!」ということを知り、ひとり旅に行くことを決意しました。

2期からたびぃじょの制作に携わる学生団体mof.に参加。画像は電子書籍より

−ひとり旅のきっかけはお父さんだったのですね!
そうなんです。父と母も大学生の頃に国内のひとり旅をしていたそうです。

父にひとり旅をすると伝えたら、旅のお供として、当時流行っていたオリンパスのミラーレス一眼をプレゼントしてくれました。

オリンパスで撮影する19歳のいしはらさん@イギリス

そのカメラのおかげで写真を撮る楽しさや、写真を撮って喜んでもらえる嬉しさを知り、今のカメラマンという仕事に繋がっています。父には感謝ですね。

ひとり旅での学びは、人生を楽しむコツが詰まっていた

−大学在学中19カ国を旅していたいしはらさんですが、ひとり旅のルールはありますか?
いっぱいあります!まずは、指差し会話帳を持っていくこと。

チベットの文化が色濃く残る中国四川省にて

イラストと現地の言葉が書かれていて、指差しをするだけで会話ができるんです。どんなに言葉が通じない場所でも会話ができるし、自分自身も現地の言葉を覚えることができるので、重宝していましたね。

あとは、私の旅の醍醐味は、現地で会った人と仲良くなってガイドブックに載っていない場所に連れて行ってもらったり、おうちに泊めてもらってその土地の文化に触れ合うことなんです。そのためになるべく現地の人と出会える場所に行ったり、ローカルな生活を体験するようにしていました。

路上にある屋台で、現地の人たちと一緒に同じものを食べながら交流を楽しむ@インド

たとえば、屋台フードを楽しむ、ローカル列車は三等席へ。現地の方の家に泊まらせてもらった時は、その土地の文化を尊重し、一緒に手でご飯を食べたり、桶で冷たい水を浴びるお風呂スタイルにも挑戦しました。異文化の中に、いかに自分が溶け込むかを楽しんでいましたね。

−旅生活の中での一番のハプニングはなんですか?
ラオスを旅していた時に、父からもらったカメラを盗まれたんです。十何時間も乗っているような長距離バスに乗っていたときに、疲れもあって荷物を一つ後ろの席に置いてしまったんです。降りる時にカメラが無くなっていることに気付いて…。

指差し会話帳でお話しして仲良くなったお坊さんに相談したら、いろいろと対応をしてくれました。結局、犯人はバスのチケットもぎりの男の子で、お坊さんが警察に連れて行ってくれるように手配してくれました。

その後、お坊さんのお寺に遊びに行かせてもらいました。

到着が早朝だったので、蚊帳の中で寝かせてもらった
Facebookを交換中

修行僧みたいな若者たちと交流したり、水浴びさせてもらったり町を案内してもらったり。カメラを盗まれてピンチだったけど、カメラは戻ってきたし、結局楽しい一日になりましたね!

−ハプニングがあっても焦らずに楽しんでいるのがすごいですね!
毎日がハプニングなんですよ。スリランカの田舎町では、迷子になっちゃって、宿に帰れず町中を巻き込んで助けてもらったこともありましたね。

バスで出会って、5日間ほどおうちに滞在させてもらったファミリー@スリランカ

でも、結果的にガイドブックに載っていない場所にいけて、たくさんの人と交流もできて、全部いい方向に進んだ。そんな日々が毎日続くから、ハプニングが起きたってことは次は何か楽しいことが起こる!と思えるようになりました。

−いしはらさんの前向きな姿勢は旅で培われたものなのですね。他に、旅の経験が今の考え方や生活に影響を与えたことはありますか?

後ろの赤い屋根はすべて僧侶の家。標高は4,000m超え@中国四川省

ひとり旅中は、何を食べるのか、誰についていくのか、どこにいくのかなど、全て自分で決めるんですよね。自分は今何をしたいのかを考えて決断する楽しさや、直感で決めて進む勇気を培えました。そして、全てを自分で決めることで、自信にも繋がっていきました。

−改めて、旅の魅力を教えてください。
やっぱり、一番は出会い。人と出会うために旅をしています。

日本だと、相手の顔色を伺ったり、ちゃんとしなきゃ!という想いがあって「こうあるべき」に囚われがちだったんです。でも、旅先だと自分の肩書きややってきたことも全て知らない状態で、ゼロから人間関係を築いていく。それが自然体で楽だったんです。

さらに、海外の人って、「なつかはありのままが素敵だよ」って言葉にして伝えてくれる人も多くて。ありのままの自分でいいんだって思えたし、自信に繋がりました。

あとは、自分の気持ちを大切に自由に過ごしている大人たちとたくさん出会い、そんなに真面目に生きなくてもいいんだってことを教えてもらいました。

就職せずにずっと旅していますって人とか、店番をしながらお昼寝している人とか、今日はファミリーデーだからって早々にお店を締めちゃう人とか。そのような出会いから、もっと肩の力を抜いて自分らしく生きていこうって思えました。今の自分の軸となる部分ができたのは旅のおかげですね。

母子旅でも子どもと無理せず楽しむコツ

−今では結婚、出産を経て5歳のお子さんがいるいしはらさん。2023年2月には親子2人での海外デビューとのことですが、子連れ旅のこだわりはありますか?
今は、現地に知り合いがいるところに行くようにしています。何かあった時に心強いですし、住んでいるからこそ知っている、ローカルな場所に連れて行ってもらえるんです。

はじめての海外母子旅は大学時代の旅仲間とシンガポールへ

でも、常にいろんなところに出かけるというよりは、拠点は知り合いの家。洗濯して、スーパーに行って、ご飯を作って…。

仕事で行ったハワイは、子どもを連れて。現地の方の家に滞在させてもらい、自炊も楽しんだ。

やっていることは日本とあまり変わらないですが、その過程で目に映るもの、交流する人、すべてが子供にとっては新鮮。日常と非日常の間のような感じで、子連れだからこそ無理のないスケジュールで“暮らすように旅をする"というのがテーマになっています。

日本食をつくって、現地の方へ振る舞ったりも

−2023年11月からは徳島と東京で2拠点生活をされていますが、“暮らすように旅をする”というテーマと繋がっているのでしょうか?
そうかもしれないです。徳島と東京では 日々の時間の使い方も違うし、みえる景色、交通手段、遊び方など、違いがたくさんあります。

夏の徳島県神山町

東京では朝から晩までガッツリと仕事をして、徳島では暮らしに重きを置いて、子どもと遊ぶ時間を持つ。そのバランスが心地いいですね。

秋の紅葉と田園風景。四季折々の美しい自然に感動する日々@徳島県神山町

今後の目標について

−子連れで2拠点生活ができるということにまずは驚きました。今後の目標はなにかありますか?
2〜3年後には海外で働きたいと思っています。そのために、今は日本語教師の勉強をしています。

大学休学中にインドネシアで英語教師のボランティア

日本語教師なら、これまで旅でたくさんの人にお世話になった分世界に恩返しができるし、オンラインで働くこともできるようなので、一箇所に留まる必要もないみたいなんです。いろんなところに移動しながら働いて、気付いたら世界一周してた、みたいになったらいいですね。

小さな村で暮らし、毎日子どもと遊んだ@インドネシア

−カメラは続けられるのですか?
カメラは大好きなので続けます!「撮って欲しい」と言ってくださるお客様がいる限りは、フォトグラファーとして活動していきたいです。

徳島県では親子で阿波踊りにも挑戦

いずれは、娘と世界を旅しながら、世界の家族の日常を残していきたいと思っています。また、なかなか日本に帰れない海外移住の日本人の方向けに、着物レンタル付きの七五三撮影もやってみたいです。

編集後記

いしはらさんはいつも笑顔で、やりたいことに向かって努力をしていて、周りを明るく・元気にするパワーを持っています。その根底には、ひとり旅の経験からくる自信や、様々な人との出会いが関係していることを知ることができました。

旅をする理由を聞いた時に、「自分が死んだ時にお金がたくさんあるよりも、思い出がたくさんあるほうが、自分の人生は豊かだったって振り返れる気がしている」とおっしゃっていたのが印象的でした。

子供が生まれると、融通が効かない、時間がない、お金がない、などいろんな問題が出てきがちです。でも、子供がいてもできる方法を考える。常識にとらわれずに、自分のやりたいことを実現するために努力をする姿は、世の母の鏡であり、人として尊敬する姿だと感じました。

人生を楽しみ、キラキラと輝く母親の姿は、きっとお子さんの自慢のママだろうと思います。今後のいしはらさんのさらなる活躍から目が離せません。

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