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ブランド調査日本1に輝いたWebサイトを担当したアートディレクターに聞く!Webサイトリニューアル成功のポイント

Webサイトリニューアルは単に見た目を新しくするだけではなく、ユーザー体験やブランド価値を最大化するための重要な取り組みです。
今回は、昨年のブランド調査で1位に輝いたアサヒ飲料株式会社のコーポレートサイトリニューアルに関わった3名のアートディレクターに、彼らが大切にしているデザインの考え方を聞いてみました!


Webサイトリニューアルで大事にすること

Q: まずはじめに、アートディレクターとしてWebサイトリニューアルに取り組む際、大事にしていることは何でしょう?

布施:リニューアルを開始する時点でクライアントからは常に何かしらの課題が与えられている状況がほとんどなので、その課題に対する対策を考えつつも、ありふれた表現にならないよう、企業の個性をデザインのエッセンスとしてどのように出すのか、が重要ですよね。

山根:そうですね、その上でサイトリニューアルに限らずですが企業側が発信したいメッセージや届けたい価値を体現させるためのコンセプト作りを大事にしています。
コンセプトが決まると、キービジュアル、細部の作りこみ、ユーザー体験に影響がある細部の機能についても、すべてが繋がっていって、判断がしやすくなると考えています。

島川:僕もコンセプトを重視していますね。他には、その企業ならではのブランドの魅力を最大限引き出すには、どのような表現が効果的かという点も意識して取り組んでいます。その企業にしか出せない個性みたいなものを出したい。

山根:単純に今のトレンドに合わせた見せ方をすれば良いだけではなくて、企業がステークホルダーからどう見られたいか、を意識しますよね。
それらの情報がなければ、様々なアプローチを探りつつフレキシブルに提案することを心がけています。

コンセプトを表現するためのデザインプロセス

Q: コンセプトを実際にUIに落とし込んでいくときのデザインプロセスについて、どのように進めていきますか?

山根:予算やスケジュールにもよりますが、3つくらいの方向性を用意してご提案することが多いですね。3方向といっても、A、A‘、A’‘みたいに類似したものでは意味がなくて、よりディスカッションが深められるようなABCを用意し、比較することで、「やっぱりAがいいね」とか「もともと想定していなかったけどCのほうが良いね」といった判断がしやすくなります。

布施:ざっくりと方向性を立てている段階で、なんとなくの画が見えてきて、そこから方向性の細部を固めていく感じですかね。デザインを着手してからも、さらにアイデアを膨らませていきますね。その企業ならではのエッセンスなどを落とし込んだりして。
アイデアを膨らませるだけではなくて、ある程度進んだ段階でコンセプトに合致しているか、もともとの方向性から離れていっていないかと、視野を広げたり狭めたりを繰り返しながらアイデアを収束させています。

山根:デザイナーは、各自が担当するデザイン案をよりよくすることを考えていってもらえれば良いですが、アートディレクターは、切り口の幅を戦略的に考えていて、コンセプトに合致しない方向を色々と思案して広げすぎてもよくないので、その辺のハンドリングを意識します。

島川:クライアントによっては「もうこのデザインがいい」と参考サイトをご提示いただいてリクエストいただくこともあります。
ただ、同じ方向性でも正解は一つではないので、選択の幅を広げたいと思っています。「こんな表現もありますよ」と。そうすると、割とプレゼンも盛り上がったりするんですよね。

 

最新トレンドと個性をどう活かす?

Q:企業やブランドの個性というワードがありましたが、競合との表現の差別化にあたってどのような点を意識していますか?

山根:ロゴを変えたらA社じゃなくてB社でも成立してしまうようなありきたりなデザインになっていないかをとても意識しています。

布施:本当にそれですね。企業の特徴がわかりやすくあれば、それを目立つように表現しますが、色味や細かなあしらい一つでも、その企業らしさが積み重なってくるので、その企業だからこそ成立するデザインになるように気を付けています。

島川:結局コンセプトが一番重要なんですよね。

山根:意外性もあって膝を打つようなコンセプトになっているとデザインもおのずとオリジナリティが出るように思います。そのようなコンセプトを軸にまとめていくとプロジェクト全体がうまく進むようにも感じます。

 Q:最近のトレンドとして、今年の4月に障害者差別解消法の改正があり、ウェブアクセシビリティの意識も高まる中で、デザイン制作時に気を付けていることなどありますか?

島川:今はユーザーが使用する端末が多岐にわたるので、閲覧環境に左右されないデザインになるよう気を配っています。レスポンシブを前提としたレイアウトの組み方や、配色のバランス、視認性の担保ができているか、などですね。
コーポレートサイトのリニューアルだと、どうしてもターゲットが広くなりますし、toC向けの商材を提供している企業だと、子供から年配まで閲覧することもあるので、文字が小さくなりすぎていないかなど、かなり注意していますね。

山根:私はユニクロやAppleなど、世界的な企業のUIを定期的にチェックしていますね。とても幅広いユーザーがいらっしゃる企業なので、ユニバーサルデザイン的な観点を常に取り入れていらっしゃると思いますし、利用しやすいサイトとブランディングの両立という観点で参考にしています。

Q:皆さんはどのように情報収集されることが多いですか?

布施:いろんなギャラリーサイトをひたすら見て参考にしたりします。あとは、日常的に目にするものからアイディアをストックしておくようにする感じですかね。

島川:Pinterestはボタンやアコーディオンメニューなど、パーツ単体でとても参考になるものも多いですよね。

山根:社内ブレスト時、チームのデザイナーがあげる参考サイトなどみんなどこから探してくるのか不思議に思うくらい、いいサイトがたくさんあるので、そういった場も参考になります。あとはお互いの刺激にもなりますね。

これまで経験した難しかった出来事

Q:リニューアルや新規立ち上げの中で、色々な課題を経験してきたと思いますが、印象的に残っている出来事はありますか?

布施:あるあるだと思うのですが、発信する側は自社や商品の良さを詳しく伝えたいので、どうしても情報量が増える傾向にあるなと感じます。ただ、読み手のことを考えると、情報を詰めすぎるとどこが大事なポイントかわからなくなるくらい詰め込まれている印象になってしまうんですよね。そこをきちんと伝わるようにデザインするのが常に課題ですかね。

山根:そうですね。発信する側と受け取る側のちょうどいいバランスを見つけてご提案するのは本当に難しいですね。

 Q:具体的に着地点を見つけていくためにはどうしていますか?

山根:改めて説明するとなると難しいですが、具体的な手法というよりもプロジェクトに関わるメンバーが、お互いに言いたいことに耳を傾けられる関係性だとスムーズにいくことが多い気がします。クライアント、代理店、プロダクションという立場を超えて、チームワークが生まれていると、お互いの仕事を信頼して歩み寄りができるのかなと思います。

島川:お互いの信頼関係ができていると、多少無茶ぶりがあっても、期待にこたえたいという想いもありますし、気持ちよく取り組めますよね。

山根:アートディレクターは、デザインに関わる意見をまとめる立場なので、テンション高めで取り組むことも意識するようにしています。楽しんで取り組めるような雰囲気作りができると、お互いの言いたいことも言いやすくなったりしますからね。

布施:雰囲気づくり大事ですよね。暗くなってしまうと意見も出しにくいですし。

山根:経験が浅かった時はあまり自信が持てずに、なかなか意見を発言することができませんでしたね。 打ち合わせに参加したりプレゼンの機会が増すにつれ、少しずつ大事なことを学んでいった気がします。
いまはオンラインでの打ち合わせが増えたり、リモートワークも定着したりと、プロジェクトの進め方が変わる中で、会社としてもアートディレクターの育成は取り組んでいかなければと考えています。


まとめ

Webサイトのリニューアルは、企業のブランド価値を高め、ユーザーにとってより良い体験を提供するための重要な取り組みです。

アートディレクターたちは、コンセプト作りを大切にし、それをデザイン全体に反映させながら、最新のトレンドやアクセシビリティへの配慮、そして企業の個性を活かした表現を心掛けています。

株式会社ステッチでは、アートディレクターたちがこうしたこだわりを持って、クライアントと共に最適なWebサイトの構築に取り組んでいます。
Webサイトの制作やリニューアルをご検討の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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