【丹沢大山】はじめてにして大失敗の登山の話
2023年の目標達成
2023年の年始、
互いの家族と過ごして恋人と年始の挨拶を済ませた後、
自然とこの年の目標を話すことになった。
恋人が何を話したかは覚えていないけど、
その時僕はずっと憧れていた山に行きたい思いを初めて口にした。
てっきり否定されると思っていたのだけど、
意外と賛成してくれてなんなら一緒に登ろうと提案までしてくれた。
そこからはあっという間で行く山も日程も決めて、
動画で予習して必要最低限の道具を揃えていざ当日を迎えた。
ずっと温めていた2023年の目標があっという間に達成しそうだ。
快晴のトラップ
朝早く行くべきという登山では当たり前のルールもよくわかっていないので、11時ごろに伊勢原駅に着く遅めのスタート。
住んでいる横浜でも登山口のある伊勢原の市街地でも空は晴れていたので絶好の登山デビュー日和だと思っていた。
半分観光気分でこま山道を歩き、煎餅を買って食べるほど楽しんでいた。
こま山道を登りきり、大山ケーブルカーを横切って登山道の入り口へ。
左が女坂、右が男坂。
女坂が緩やかで長く途中に大山寺があるらしい、対して男坂は険しく短いらしい。これは都内でも見られる性別の付いた坂の名前のルールと同じでわかりやすい。
少しでも楽なように女坂を歩くことにした。
女坂から阿夫利神社までの想定外
女坂を歩き始めてすぐに地面が白くなっていることに気がついた。
1月後半の時期とは思えないほどに暖かい日々が続いていた横浜、
山の中とはいえ同じ神奈川県内でまさか雪が残っているとは思ってもいなかった。
南国育ちなもので雪を見たら無条件に嬉しくなってしまう。
頬をなぞる冷たい空気を味わいながらこの時はただただ楽しく雪景色を堪能していた。
特に問題なく歩けたし雪が被っていないエリアも多かったので、
登山の第一歩となる阿夫利神社までの道をじっくり踏み締めた。
阿夫利神社でのダラダラ
阿夫利神社境内にある「石尊」をご存知だろうか。
升に入った抹茶のティラミスがウリの和カフェで過去に2度訪れている大好きな場所。
まだ半分も歩いていないのに阿夫利神社に付いた達成感からもうここに入ってしまった。
風は冷たいけど日向は暖かくて最高の景色。
特に意味もなく14時ごろまでここで過ごしていたけど、
流石にまずいと思い頂上までの登山口に行くと急に雲が厚くなり始める。
恐れてすらいなかったこと
頂上までの登山口はいきなり急な階段から始まる。
下界と山の世界を分断するようなその階段を登り切ると、
これまでとはレベルが違う雪の世界。
それも標高を上げるたびに土混じりの地面から、完全に雪が固まったような道へと変わる。
すれ違う登山者らしき人は皆登山靴を履いているにもかかわらず慎重に下っている。
それなのに自分はKEENのジャスパーというハイキング用のツルツルなソールの靴で来てしまっていた(というかそれしかなかった)
途中何度も転ぶし全身を摩擦として使わないと登れない箇所もあった。
半分ぐらいきたところで一緒にいた恋人がもうこれ以上行けない、先に降りると言い出した。
本来であれば自分もここで降りるべきなんだろうけど、
憧れの登山のデビューで登頂しないなんて悔しすぎたので、
自分一人で登ることを強行した。
必死に登頂を目指す
恋人と別れてから標高を上げると雪が降り始めた。
それでも雪の中滝汗をかきながらただ登頂を目指して進んだ。
長い距離を歩くことはよくあったしむしろウェルカムなのだけど、
山だとたった100mでさえもとても長く感じて本当に頂上はあるのだろうかと恐怖を感じていた。
白い息を大量に吐きながら進むと雪景色の向こうに鳥居が見えてきた。
阿夫利神社奥社だ。
束の間の山頂と感じたことのない痛み
阿夫利神社奥社で参拝してから、山頂標識を写真に撮った。
せっかくここまで登ってきたけど、止まると寒いし景色は全くない。
山頂では特にすることないんだなと思いながらも、初めての登頂経験には確かに高揚していて、達成感を得られていた。
かけた時間の分長居したい気持ちはあったけど、
電波がなく連絡が取れない恋人のことを思いすぐに下山することに。
下山を始めてからはすぐに右膝が痛み出す。
これまで経験したことのないような痛みで庇いながら必死で降りていた。
踏ん張りが効かない分何度も何度も転んで突き指もして満身創痍で阿夫利神社に着いた頃ようやく電波を拾い恋人と連絡がついた。
どうやら一足先に下山完了しており、伊勢原駅前の喫茶店にいるらしい。
もうあとは意地でも自分の足で降りてやるという気持ちで最後男坂を下り切って下山完了。
振り返ってみて過去の自分に
今では年間40日とほぼ毎週のように週末は山に行く支度をしている。
その一歩目のこの大山登山はお世辞にも成功とは言えないし、大失敗の部類だと思う。
正直膝を痛めていての下山の時には二度と登山なんて・・・という思いもあったけど、それでも下山後には安堵感、達成感、疲労感といろんな感覚で麻痺してしまい辛さを忘れてしまったのか、また登ってみたいと思ってしまった。
今となっては正直叱りたいほどの舐めたデビュー野郎だったけど、
この大失敗の一歩があったおかげで今が人生で一番楽しい。
山を始めてくれてありがとう。