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こまとよきこ
文鳥がいる。
2022年11月下旬生まれと表示がされていたので、お店に来た日と周囲の子たちの育ちかた(どのくらいの日齢で来て何日後くらいから販売されているかなど)を見比べて誕生日は11月26日ということにした。
11・26、国会前最終決戦の日だ。
良い日に生まれたね。
治療歴がある。雛の頃に同じケースで育てられていた他の子がトリコモナス感染症にかかり、一蓮托生で全員が通院と服薬をした、らしい。いまは完治している、らしい。
そのままこの子ともう1羽は1人餌になってもお迎えがされなかった。隣同士別々のケージで少しずつ大きくなった。1人は男の子だったようで、少しだけお歌を歌っていた、らしい。
わたしが行ったときにはそちらの子はすでにお迎えされていて、残った1羽が1人きりでブランコの上にいた。
生後4か月、ギリギリだと思った。
これ以上1人でいたら人に懐かない子になるかもしれない。もちろん大きくなってから手乗りになる子もたくさんいる。でも、時間が経てば経つほど難しくはなるだろうと思った。
1時間近くケージの前にいた。
春分の日だったと思う。
わたしは2年間一緒に過ごした文鳥を亡くし葬儀を終えたばかりでものすごく弱っていた。
週末にもう一度会いに行った。
信じ難いことにわたしのことを覚えていた。
ブランコの上で目を覚ますと(目を覚ますまでずっと待っていた)手前の止まり木まで降りてきた。
店員さんに何の病気だったのかを訊き、上に書いたようなことを教えてもらった。
翌日もう一度会いに行った。
また近くまで降りてきた。かわいいや。
「手乗りではないですよね」と訊くと、店員さんがケージに少し手を近づけ「こんな感じですね」と言った。彼女は(女の子だ)あっという間にブランコの上の定位置に戻っていた。
もしまた文鳥と暮らすなら早くて半年後くらいかなと思っていた。バレエの発表会もあるし、次の秋、雛の季節になったときにもしもこの子という子がいたら、と、いうふうに。
思ったようにはならないものですね。
病気だったかもしれず、おそらくは治療のあとから1人1人別々に育てられてここまで大きくなって人の手が近づいてくるとさあっと逃げていく、そういうような文鳥と一緒に暮らすのも良いかもしれないと思った。
うまく言えないけれど、元気いっぱいのたくさんの雛たちのなかから新しく迎える文鳥を選んでいる自分の姿が想像できなかった。
というわけで、文鳥がいます。
名前は「こま」。
由来はうちに来た日の翌日に小松菜を跡形もなく食べ切ったから。というのはまあ理由のひとつで、姓名判断とかいろいろした。亡くなった文鳥の名前を試しに占ったら「薄幸」と書いてありちくしょうと思った。何が薄幸だ張り倒すぞ。「ちくしょう」ってすごくひどい言葉だ。どういう了見でそんな悪態を考えつくのかと思う。
だからというわけでもないけれど、すべてが吉の名前にした。もちろんそれはたくさんある理由のひとつで、一番は似合っていると思ったから。
ものすごく臆病で不器用でケージから出ることはおろか下の段の止まり木に降りることもできず(いまは降りられるけれどかなり練習が必要だった)。ただ野菜を食べているだけなのに何かのはずみで下まで落っこちたりする。水浴びも自分からはしない。名前を覚えているかもあやしい。
人の手は嫌いではない。ケージの中に手を入れたら逃げ回るというようなことはない。人間自体を怖がってもいない。
足を踏み外すことに関しては最初の健康診断のときに獣医さんに診ていただき、特に何か問題があるわけではなく単にものすごく不器用なのだということがわかった。
まあ、ゆっくりやろうよね。
外が怖かったら出てこなくてもいいし、水浴びはしたければ手伝うから、ゆっくりやりましょう。
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