休職、17日目。夏至。
雨の日。
子どものころを過ごした家には織り目の粗いレースのカーテンがかかっていて、閉めたままでも外がよくみえた。
レースというのは透かしがポイントだと思っていたけれど違うのかなと大人になってから思う。
なかなか同じような生地がみつからないので、レースとされている薄手の布をかけているが、めくらないと外はみえない。ある程度の輪郭や明るい暗いはわかる、でも、わたしの基準で言うとみえているとは言えない。
つまり何が言いたいかというと、外が雨の日も晴れの日も、カーテンを締め切っていると(それがレースのカーテンであっても)あまり変化がない。
人に言われて気づいたりする。雨だねえ。
目下わたしの最大の関心事であるポスター貼りであるが、雨ではどうも具合が悪い。じりじりと雨雲レーダーを眺める。
選挙ポスターなんて時間をかけて貼るものじゃない、短時間で終われば終わるほどいい、が、雨では貼れないよ。昨晩足を伸ばしておいてよかった。
休職してすぐにお風呂場を掃除した。そんなの普通でしょと思う向きもありましょうが、日頃はなんとなくで済ませているところも綺麗にした(と思う)。
そういう感じで部屋の中をひとつひとつ綺麗にしていけばすごく居心地が良くなるのでは?と思ったからなのだけれど、思惑通りに行かなかった。お風呂場、洗面あたり、洗濯機、トイレはやった。そして時間が経ち、またお風呂場が気になってきた。
違うの、2周目に入る前に1周目が終わるはずだったの。台所、玄関、机の周り、クローゼットあたり。
結局やりやすいところしかやってない! death!
まあいいや、お風呂場が綺麗なのは嬉しいもんね。
体力を温存したいためジムには行かない。
落ち着かずに雨雲レーダーを、そしてリアルタイムに更新される掲示板の情報を眺める。雨だからか増えていかないように思える。
夕刻、突然かなしみが押し寄せてきた。
なんだろうな。
お腹が空いているせいかな。
雨が止んだ気配がする。カーテンをめくって外をみる。夕陽が射している。
ジムに行くのも、1日2回の納豆ご飯も役に立っているのだな。やらないでみるとわかる。かなしい。
納豆はあるがご飯がなかった。玄米なので吸水しないと炊けない。
雨雲は去ったのにかなしみの何かにすっぽりと覆われる。メソメソとする。
一度こうなってしまうと何か派手なものを口に入れないと逆転できない気がしてくる。うちにそんなものはない。何よ派手なものって。
脂質と糖質がいっぱいで、それでいてエネルギー源にもなるようなもののことかな。
鳥を寝かせてからトレーニングウェアに着替え、ランニングシューズを履いて外に出る。
昨日貼り逃したピンが気になるが、ある程度まとまって貼れるほうがいいなと思い方角を決めて歩き出す。10枚しかない。
途中、よきこが通っていた小鳥病院の前を通った。移転したのでこまは一度もそこにかかっていない。跡地はトリミングサロンになっていた。
亡くした愛するものは自分の一部になるって本当かな。よきこのいない世界に生きている意味あるかよ💢となりながら通り過ぎた。わからない。
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