プロダーツプレイヤーとして開業する
前段
私は2024年現在広島在住でPERFECTのプロダーツプレイヤーとして活動をしています。突然ですが、私はプロダーツプレイヤーも立派な職業であり、立派な事業だと思っています。試合会場や中継で多くの人を魅了し、興奮や感動を与えられるプロの皆さんをみて、私もいつかはプロとして一花咲かせたいなと思う日々です。
今回はそんなプロダーツプレイヤーをひとつの事業として扱うための参考になればと思い、僭越ながら本記事を書くことに至りました。
終わりにダーツに対する個人的な思いも書いていますので、そこだけでも読んでいただけると嬉しいです。
さて、私個人の話になりますが、個人事業主として働きながらプロダーツプレイヤーとしても活動する中で、年に一度確定申告というイベントが必ず発生しています。その時にプロダーツプレイヤーも事業のひとつだから収入だったり支出だったりを計上するわけですが、思ったよりいろんな経費を計上ができるわけなんですよね。実際にやってみると難しいことはなく、意外とできるもんだな〜と思いました。
幸い、日本ではソフトダーツのプロは必ず各団体が発行するライセンスを取得していますので、ちゃんと事業として活動しているぞ!という証明も比較的簡単です。
プロ活動をしていると大会で勝ったり、イベントに呼んでいただいたり、スポンサーをしていただいたりとさまざまな収入が発生しますよね。それらの収入を得るために試合に出たり、遠征したり、練習したり、道具を買ったり、体のメンテナンスをしたりと経費も多く発生しているはずなんですね。
プロダーツプレイヤーの現実問題として、僕を含め収入よりも経費の方が多くなっている方がほとんどなのかな?と勝手に思っており「"主事業(または会社員としての)の収入"+"プロダーツプレイヤーとしての収入"ー"主事業にかかる支出"ー"プロダーツプレイヤーとしての支出"」の計算式を用いて、今よりも税金が抑えられる方が少なからずいらっしゃるのでは?と思っています。
出ていくお金が抑えられると、手元に残ったお金を遠征費に回して試合の出場回数を増やして収入を得るチャンスが増やせるわけなんです。試合の出場回数を増やすことはプロとして活動する上でとても大事ですよね。
もちろんプロダーツプレイヤーとして黒字になってもきちんと経費計上をして手元に残るお金を多くしたほうが海外に挑戦できるなど、さまざまなチャンスが増えるわけですから、放っておくよりも確定申告をしてみてもいいのでは?という個人的な思いから記事を書いています。ですので、プロとして開業したほうがいいぞ〜!というよりは選択肢のひとつとしてまずは検討してみては?というぐらいの温度感です。
統計を取ったわけではなく個人的な感覚ですが、日本にもプロダーツプレイヤーがいる中で「会社員×プロダーツプレイヤー」として活動されている方が多くいらっしゃるのではと思っています。会社員の方でも、せっかくプロ活動をして収入を得たり支出をしていたりするなら確定申告するともしかしたら手元に残るお金が増えるかも?という可能性が秘められているなと思っているわけです。
※会社員の場合はプロダーツプレイヤーとして活動すると副業に該当すると思うので、会社とちゃんと話さないといけないと思いますし、さまざま確認すべきこともあるかと思います。
前段が長くなりましたがまとめると「せっかくライセンスを取得してプロとして活動しているならお金周りを上手くやりくりしましょう!」というお話です。
なお、私は税理士の資格があるわけではなく、個人の経験をもとに本記事を書いていますので誤っている箇所がある可能性もあります。都度すぐに修正したいという気持ちを持っていますので、修正が必要な箇所はご指摘いただければ幸いです。この情報が必要な人に届いてほしいなという気持ちで書いています。
では、本題に入ります。
プロダーツプレイヤーとして開業する手順
開業届と青色申告承認申請書を出す
日々の収入と支出を記録する
年に一度確定申告をする
ざっくり書くと3ステップになります。
私自身も最初は「開業届」や「確定申告」など聞いたことはあるけど難しいんじゃないの?という印象でした。
でも意外とそれぞれ難しいことはありません。私自身も経験するまでは「自分にできるだろうか…?」と思っていましたが、やってみたら意外といけるじゃんというかんじでした。
開業届と青色申告承認申請書を出す
まずはプロスポーツ選手としての開業届と青色申告承認申請書を作りましょう。Freee開業を使えばすぐ出来ます。
画面に沿って必要項目を入力して書類を作成します。あとは税務署に出すだけで終わります。かなりあっさりしてます。
どこの税務署に出せばいいのか分からなくても、自分が該当する税務署は調べられます。Freeeだと入力された住所から自動で判定してくれます。
入力する内容がさっぱり分からない!という方は「この記事見ました!」って私のSNSにDMください!可能な限りで答えます。
https://twitter.com/_shoyagraphy
開業届と合わせて「青色申告」の申請書も一緒に出しましょう。もう一つの選択肢として「白色申告」もあるのですが、会計ソフトを使って帳簿を作成、確定申告をする場合は青色申告の条件を満たす場合がほとんどだと思いますので、基本的には青色申告で大丈夫だと思います。
青色申告と白色申告の大きな違いの一つに最大で65万円の特別控除を受けられるということがあります。そのほかにもさまざまなメリットがあるので詳しくはこちらの記事をご覧ください。
必要な書類は開業届と青色申告承認申請書の2つだけです。
マイナンバーカードを持っている方はオンラインで申請ができるので税務署に行く必要もありません。マイナンバーカードを持っていない方やオンラインだと不安な方はFreeeからPDFをダウンロードして印刷して税務署に持って行きましょう。受付に持って行って受理されたら開業完了です。
私はその当時はマイナンバーカードを持っていなかったので印刷して税務署に持っていきましたが「え?これで終わり?」ぐらいあっさり終わりました。なんの実感もありません。笑
これにて晴れて「プロスポーツ選手として開業」は完了します。税務署からはなにか書類が届くわけでもなく、なんのフィードバックもないので不安になりますが開業出来ています。税務署で開業出来ているか確認も出来るので不安な方は確認してみてください。
大事なのは開業してからです。開業した上で一番大事なのは「日々の収入と支出を記録する」というところです。
日々の収入と支出を記録する
本記事の本題はここです。自分のお金の管理をきちんとしてみましょうというのが本記事でお伝えしたいことです。まずはプロ活動を行う上で、収入と支出はどんなものがあるのか考えてみましょう。
収入の場合(一例)
・大会で得た賞金や出演料
・スポンサー料
・イベントの出演料
支出の場合(一例)
・練習代(ダーツバー、ネカフェ等)
・バレルやフライト等の消耗品費
・ライセンスの取得、更新費用
・ユニフォームの製作費
・試合のエントリーフィー
・新幹線やホテル代、会場までのタクシー代等の旅費交通費
・整体等の体のメンテナンス費用
・体調管理のための食事やサプリの費用
特に支出の項目は挙げていけば無限に出てくると思いますが、大事なのは「プロダーツプレイヤーとして収入を得るために必要な経費です」と説明できることです。
例えば、ダーツバーのレシートも「次の大会に向けて練習をしています」といえば経費として認められるでしょうし、そのレシートにお酒や食事が大量に含まれていたら、それは練習に必要なんですか…?と言われるかもしれません。
ダーツのプロとして試合に勝つため、人気を得てスポンサーを獲得するため、イベントに呼んでもらうためなど収入を得るために払っているコストは振り返れば年間にして結構な金額になっているはずです。
そして大事なのはここで、今まではただなんとなく払っていたお金も「そういえばこれもプロ活動の経費として認められるのでは?」と考えるきっかけになることです。
本記事では「収支の管理と把握がなによりも大事」ということが主題なのですが、とりあえず払ったお金は全部領収書をもらっておくといいと思います。これは経費にできないなと思ったらあとから自分で捨てれば良いわけですから、とりあえず領収書をもらう習慣をつけるのがオススメです。
払う機会が多いと膨大な量になるかもしれませんが、私はダイソーに売ってある13ポケットのファイルに1年分の領収書を入れています。結構な量の領収書を毎年もらっていますが、だいたいおさまります。
そしてもうひとつ大事なのが「レシートの裏に何のために使ったか書いておく」ことです。
例えばタクシーの領収書があったとして、何も書いてなければ日付と時間を見て、どこで何かをしたかを一生懸命思い出してそのタクシー代が事業活動に必要な理由を考える必要があります。
一方で、レシートの裏に「PERFECT広島大会 ホテルから会場までの交通費」などと書いておくと思い出す時間と労力が必要ありません。理由も明確です。おそらく立派な経費として認められるでしょう。
レシートにメモを残すということがどれだけありがたいことか、私は身をもって体験してきました。
私は月末に1ヶ月分の領収書をまとめて会計ソフトに記帳するのですが「これは何の領収書だっけ…」って必ずなります。理由が思い出せなければ経費として計上できないのでレシートにメモを残すということは個人的に激推しです。めちゃめちゃオススメなのでぜひやってみてください。その場で書くことができなくても、忘れないうちにメモを残しておきましょう。
私は週に1回、自身の財布から13ポケットのファイルに移すタイミングにメモを残すようにしています。
忘れっぽい方は毎日同じ時間のアラームで「領収書 移す メモ書き」などの設定をして忘れないように自動化してしまいましょう。
繰り返しますが大事なのは「この支出はプロ活動のための経費になるのか自身で考えてみる」ことです。なんとなく払っていたお金が経費になって税金が抑えられて、1試合でも多く出られるならやってみて損はないはずです。
次に収支を記録するための帳簿作りが必要になってきますが、会計ソフトの使用をオススメします。私自身学生時代で簿記を勉強した経験がありますが、自分で事業の帳簿を作るのは難しいという印象です。青色申告の場合、複式簿記という記帳法をする必要があるのですが、勉強から数年経った今はさっぱりです。自分ではできないという自信があります。なので、個人的には会計ソフトの使用をオススメしています。
具体的には「Freee」「マネーフォワード」などさまざまな会計ソフトがあります。どれも出来ることはだいたい一緒なのでお好みで選んで良いと思いますが、私はFreee開業を使ったのでそのままFreee会計を使用しています。
会計ソフトの使い方は簡単です。どんな勘定科目でいくら収入を得たのか、または使ったのかを記録するだけです。消耗品費や旅費交通費などが勘定科目にあたります。
勘定科目が分からなくても会計ソフト上でサポートしてくれますし、「〇〇 勘定科目」と検索すれば大体ヒットします。
感覚的には家計簿アプリを触っているかんじです。日付、勘定科目、金額などを入力して日々の収支をつけていく流れになります。定期的にやっておかないと確定申告前に慌てて1年分を記帳することになるので、習慣化してしまいましょう。
年に一度確定申告をする
個人事業主の場合、どのタイミングで開業しても1月〜12月が一区切りとなり、翌2月〜3月に確定申告をします。
会社員×プロダーツプレイヤーの場合、確定申告をする際には会社からの「給与所得」とプロダーツプレイヤーとしての「事業所得」を合算して、必要経費を引きます。その後さまざまな控除があって課税所得が決まります。その課税所得に対して所得税と住民税が発生します。日々の収支をつけることによって、ここで発生する税金が抑えられる可能性があるということです。
会社員のみの場合、毎月の給与から天引きされて12月に年末調整で還付されたり追徴されたりを経理の方がしてくれていると思いますが、個人事業主の場合はそれらを2月〜3月に年単位で一括で行うものが確定申告というイメージです。
確定申告の書類作成は会計ソフトでめちゃめちゃ簡単にできます。 Freeeの場合はマルバツに答えて必要項目を入力すると書類作成が完了します。申告する金額が合っているかはちゃんとチェックしてくださいね。あとはマイナンバーカードを使って電子申告をするか、印刷して郵送または税務署に持っていったら確定申告完了です。詳しくは記事をご覧ください。
https://support.freee.co.jp/hc/ja/articles/204087130-freee%E4%BC%9A%E8%A8%88%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%86%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C
確定申告も一度経験してしまえばなんてことはないです。本記事を読んでプロダーツプレイヤーとして確定申告をやってみようと思ったけどやっぱり不安という方は出来る限り知識をシェアしますのでSNSにDMをください!
ちょっとした作業を毎年繰り返していくだけでプロ活動の範囲を広げることができます。
あと個人事業主としてインボイスに登録するか否かというものもありますが、そこは各自で判断が必要かなと思います。
具体的には「取引先の規模」「売上高が1,000万円を超えるか」が大きな判断基準になるかと思います。そんなことよくわからない!という方は私のSNSのDMまでご連絡ください!共有いただいた情報から個人的な見解を勝手に述べます。笑
最終的には自身で判断いただく必要があることは明確です。
なお、私自身は会社員×プロダーツプレイヤーという立場を経験したことがないので、会社員をしながらの場合はもっとやることがあったりするのかな?と思っています。随時追記、修正を行いますのでご指摘いただければ幸いです。
終わりに
なんでこのような記事を書いたかというと、私の周りにも会社員をしながらプロダーツプレイヤーとして活動していて「プロとしての収支が多くなってきたから個人事業主の開業をしようと思う」という相談を受けました。その時に、このようなプロダーツプレイヤーはこれからもっと増えるのでは?と思ったからです。
今よりもプロダーツプレイヤーとして活動される方がもっと増えて、ダーツ業界を一緒に盛り上げていきたい!と思うと同時に、きちんとお金の管理をすることで自身のプロ活動の範囲を広げられる可能性があるということを知ってもらいたくて記事を書いてみました。
正直めんどくさいこともやや多いです。領収書はきちんと管理しておかないといけないし、会計ソフトに記帳もしないといけない。今までしてなかった確定申告もしないといけない。
でも、そうすることによってプロダーツプレイヤーとしてもっと活動できるなら、もっと試合に出れるなら手間ひまかける価値があると、個人的には思っています。
プロダーツプレイヤーが一事業として、プロスポーツ選手として今よりも社会的に認められてほしいし、ダーツというスポーツが今よりもメジャーになってほしいし、なによりもダーツの魅力を多くの方に知ってもらえたら嬉しいなと思っています。
私はダーツに出会えたおかげで交友関係も広がりましたし、全国に友達が出来ました。人生に彩りが増えました。
ダーツは国籍、性別、年齢、ハンディキャップ問わず誰もがフラットに楽しめる、時には真剣に戦える世界でも類を見ない素敵なスポーツだと思っています。
全世界、全国どこへ行ってもダーツバーに行けばすぐに友達が作れます。知らない土地へ転勤してもダーツバーに行けば1日目に友達が出来る、そんな経験を多くしてきました。
たった20g前後の道具と、2.4m前後の場所で良い大人が真剣になって笑い合ったり、時にはケンカしたりムキになったり感情が解放出来るのってとっても素敵なことだと思うんです。
そんな人生を変えてくれたダーツのプロプレイヤーをしているひとりとして、ダーツの魅力が発信できれば良いなと思います。
最後に、この記事がいいなと思ったらぜひ拡散してほしいです。周りにいるプロダーツプレイヤーとしてこれから活動していくぞ!という方にもシェアしてほしいです。きっと参考になるはず…!
ついでに私のSNSもフォローしていただけるとプロ活動の励みになります。ぜひよろしくお願いいたします!
https://twitter.com/_shoyagraphy
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