![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/104013652/rectangle_large_type_2_9365417ff59434606067cbf3ac8d3fae.png?width=1200)
AIとUIとデザイン
株式会社Da Vinci Studio フロントエンドテクノロジストのshibaです。
ChatGPTを皮切りに、一気にテキスト生成系のサービスに注目が集まってやっと落ち着き始めたな〜と感じている今日このごろです。
僕はデザインとエンジニアリングの両方を扱いながら仕事をしているからこそ、GPTを始めとするAIに対するUIの影響の大きさとデザイナーによる体験提案のポテンシャルを強く感じています。
この記事ではそのポテンシャルを感じさせてくれたいくつかの事例を紹介しながら、AIとUIの関係性とデザインの可能性を書いてみようと思います。
ChatGPT
冒頭でも触れた、一気に話題を持っていったサービスです。
2022年11月にリリースされました。
GPTという言語処理AIに対してチャットという体験をデザインした上でUIとAIをチャットに最適化したOpenAIによるデモプロダクトです。
質問と回答という形でAIと対話するような体験を実現するUIが実装されており、多くの人が触りやすくデザインされたプロダクトとしてデザインの力を強く感じました。
というのも、GPTというAIは初めからチャットなど対話形式のAIとして作られていたわけではありません。
ChatGPTと対比するために2019年頃に公開された言語処理AIとしてのプロダクトを見てみましょう。
TextSynth
このプロダクトは文章を入力するとその続きを予測して生成してくれる機能を持つ旧バージョンのGPTを使ったデモプロダクトです。
GPTのバージョンが古いため日本語にはほとんど対応していませんが、英語に関してはそれなりに面白い文章が生成できます。
試しに「The importance of design is(デザインの重要性とは)」の続きを書いてみてもらいましょう。
The importance of design is no longer confined to the products of industry; there are many elements in our everyday environment that have undergone various degrees of design-based modification. As a result of our increasing dependency on technology, many aspects of our physical environment are subject to continual modification and design refinement.
DeepL先生に和訳してもらうと、
デザインの重要性は、もはや工業製品だけにとどまらず、私たちの身近な環境にも、デザインに基づく様々な工夫が施されているものがたくさんあります。テクノロジーへの依存度が高まるにつれ、私たちの物理的な環境の多くの側面は、継続的に修正され、デザインが洗練されるようになっています。
いかがでしょうか。
ChatGPT並に人間が書いたような文章に見えませんか?
実はこのプロダクトは一部サイトでは記事になったりして界隈では盛り上がっていました。
ではなぜChatGPTほどバズらなかったのか?というと、ChatGPTの体験設計とUIの影響が大きかったと考えます。
GPTは本来人間が書くような文章や文字列(ソースコードなど)を生成するAIとして作られていて、きっかけとなる書き出しを与えることでその続きを生成する体験を実現するUIが作られたのがこのTextSynthです。
一方で、ChatGPTはこれをチャットという現代に浸透したコミュニケーションの体験に落とし込むことでAIに命令する体験ごとプロダクトに落とし込んでいます。
体験設計によって同様の機能でも見え方が大きく変わる大変参考になる事例です。
量産されるチャットBot
ChatGPTと同様のAIを使えるAPIがOpenAIから公開されたことにより、その可能性とChatGPTによる体験への感動から様々なチャットBotが量産されました。
ChatGPTのすごいところは挙動を自然言語での指示によって人格を定義するロールプレイングができることです。
そのため、チャットBotはとても作りやすく一気に色んなものが生まれました。
が、この記事で注目したいのはAIとUIとデザインです。
ここからはGPTを使ったプロダクトでチャットBot以外の活用例をいくつか紹介します。
3秒敬語
このプロダクトはラフな発言を丁寧語に書き換えてくれるサービスです。
ビジネスシーンにおける文章づくりを支援するサービスとしてとても使いやすいです。
シンプルで美しいUIデザイン、誰でも体験できるよう意識された体験設計を感じます。
実際のところ、ChatGPTは無料で公開されているのに有料で公開されたLINE Botサービスなんかもありました。
ユーザーにとって使いやすいUI、難しくなさそうなUI、慣れ親しんだUIはユーザーとAIの距離を縮めてくれそうです。
Retionale
このプロダクトは自分が決断しようとしていることについてそのメリットとデメリットを整理してくれるサービスです。
試しに、「振り返りを他の社員が見える形で共有する」という決断について整理してもらいましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1682503579673-vD5AlTuyke.png?width=1200)
裏ではAIにメリットとデメリットを整理してそれぞれについて書いてもらうよう指示を飛ばしていると思われますが、それを1クリックでできるようにすることによって「意思決定支援」という体験を生み出しています。
Automoji
このプロダクトは自分が書いた文の内容にあったemojiを検討して書いている文に追加してくれるアプリケーションです。
文章を入力して指定のショートカットキーを押すことでその処理が実行されます。
個人的にはショートカットキーだけでAIを呼び出して処理をしてもらうプロダクトとしてはGitHub Copilot(プログラムのソースコードを補完してくれるAIプロダクト)よりも生活の中に侵食していて衝撃を受けました。
emojiって探すのも変換から出してくるのも大変なので、これは使いたいと思ってしまいました。
(思ってたより高くて買ってないですが…)
AIとUIとデザイン
ここまで、いくつかの事例を見てきました。
裏側は同じAIでも、UIとそれを生み出す体験設計によって全く別のプロダクトたちが生まれています。
僕はデザインをするとき、ユーザーの理想の体験からそれを実現する手段を考えてUIに落とし込むことが理想だと考えていますし、デザイン部のメンバーも特定の道具や手段から体験を考えることは少ないと思います。
一方でこのAIが登場した現在においてはAIがどういったものかを知り、それを使ってどんな体験を生み出せるかを考えることは少なからず大事になる時期だと思っています。
僕の学生時代の恩師である教授は「道具は人の能力を拡張するためにある」と度々話していました。
いろんなことを勝手にやってくれる良い体験と勝手にやってくれすぎて嫌になる悪い体験があることも確かです。
AIを扱ったモノを考えるときは道具の領域を出ない体験設計、もしその領域を出るなら悪い体験にならないような細心の注意が求められます。
まさにデザイナーの腕の見せ所です。
そんなわけで、株式会社Da Vinci Studio デザイン部ではGPTというAIがしていること、得意不得意や特徴などを共有してディスカッションする機会を作っています。
想像できる体験の幅を広げて、より面白いものが作れるといいなと思う今日このごろです。
読んでくださりありがとうございました。
Da Vinci Studio は積極採用中なので、興味がある方はぜひ見てみてください。
またデザイン部のNoteマガジンもよろしくおねがいします!