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覚めながら見る夢|FUJI ROCK FESTIVAL '24

今年もありがとう苗場。毎年ここに来て、全国から集まる友人と再会し、苗場で音楽を感じられることに大きな大きな感謝です。あっという間に夢から覚めてしまったけれど、苗場にいる間もどこか夢見心地で、また来年に夢を見ている。そんな今年のフジロックの思い出録です。

今年、フジロックは苗場での25回目の開催を迎えました。フジロック自体としては27年目になるけれど、苗場フジロックとしての25年目は記念すべきことです。今年の延べ来場者数は、4日間で96,000人だったそう。(前夜祭で14,000人、1日目は26,000人、2日目は30,000人、3日目は26,000人)去年が114,000人だったので、2万人ほど少ないことになります。確かに苗場にいる間も去年より少ないかな?という感じだったし、ぎゅうぎゅう感があんまりなくてむしろちょっと去年より快適かもくらいに思ってたけど、10万人を切るとそういう体感になってくるんだなあという学び。去年コロナ明けて一気に上がった分、来年も10万切ると厳しいだろうなと思うので、ちょっと心配なきもちです。

というところにして振り返りを始めます。さて今年のハイライトはなんといってもはじめてドラゴンドラに乗って、未踏だったDAYDREAMINGへ到達したことです。フジロッカーとしての格?が上がった気さえします。そんなドラゴンドラの旅を中心に今年のフジ録をお届けします。

いざ!DAYDREAMINGへ。

はじめてのドラゴンドラ旅

はじめてのドラゴンドラ。2016年からフジロックに参加しはじめて、今年で8回目になるにも関わらずいまだ行ったことのなかった未踏の地。友人やベテランフジロッカーのみんなから口を揃えて、一度は行った方がいいよ!と言われるものの、往復時間を考えると自分のみたいステージとの折り合いがつかなくてなかなか決心してこなかったスペシャルエリアでした。

今年は一緒に行こうよ!と誘ってくれた友人がいて、わたしもすかすかのタイムテーブルだったので、「これを逃すともう行かないかもしれない・・・」と思いとうとう3日目のお昼に向かったのでした。

ゴンドラ乗り場
チケットその場で撮り忘れたので後日撮。

レッドマーキーの裏から坂道を登ってゴンドラ乗り場へ。ぽつぽつと小雨が降りはじめていました。「はじめてのドラゴンドラ、雨かあ。頂上の景色は美しいと聞いていたけどそれは見れなさそうだなあ。」と思いながら向かいました。ゴンドラ乗り場で往復チケットを2,000円で購入。昔よくスキー場に通っていた時の切符で(そりゃスキー場のゴンドラなのでそうなんだけど)、なつかしい気持ちになりました。

雨だったのでちょっと全体的に暗い空でした。晴れてたらもっと景色良さそう!

ゴンドラは一台6人乗りで、前向きに3人、後ろ向きに3人で背を合わせる感じで乗り込みます。20分くらい乗っていたと思う。山を3つほど越えていきました。「これ冬は本当にこの距離をスキーで下るの…?!」とちょっとした恐れを抱くくらいの距離。途中大きな湖が見えたり、向かいからくるゴンドラのみなさんと手を振り合ったり(結構家族連れが手を振ってきてくれる)しながら、少しひんやりした空気を感じながら頂上を目指して行きました。

頂上は、普段の会場よりも2,3度温度が低いようで、かなり涼しかったです。降り場から出るとそこにはまったくの違う世界。残念ながら天候のため絶景!というものではなかったけど、小雨のせいで雲が多くなっていたのもあり、すぐそこに雲があるように見えて、ここは天国?と少し思ってしまいました。ロッジがあって、そのテラスに鐘のなるところがあって、ちょうど子どもたちがカラーンと鳴らしてたものだから、余計にそう思ったのかもしれません。
ロッジの前の広い広場に、DJブースとやぐら、ドリンクバーや、ショップ、子ども用のバルーン遊具もあって、めちゃくちゃファンタジーな空間。一方はファンタジーなのに一方はDJがゴリゴリでブースの前には踊りまくるオトナたちがいて、なんだか不思議な印象でした。

Tシャツやアパレルグッズもありました。
やぐらの上から見たDAYDREAMING

雨も強くなってきたので、滞在時間もそこそこに下山したのだけど、これはなるほどフジロッカーとしてみんなが口を揃えて言うだけあるなあ、ととても感動しました。ここは確かにきもちいい。一度行ったら1日中そこに止まってしまう人もいるという説をなんとなく感じることができました。足を踏み入れるのに時間がかかってしまったけれど、これでわたしも立派なフジロッカーへの歩みを進めることができた気がします。一緒に行ってくれたラブな友人たちに感謝!!

今年印象的だったステージ

今年は一日目のヘッドライナーだったSZAがキャンセルになりTHE KILLERSが代打に選ばれるなどといったヘッドライナー騒動があったりでSMASHにいろんな声が上がり、世界的にはヘッドライナー不足(ヘッドライナーを務められるアーティストの価格高騰、フェスよりもツアーを優先する状況等があるそうです)と呼ばれたりで大変な年だったと思います。

わたしは今年のヘッドライナーにはあまり興味がなくて、実は楽しみにしていたのがREMI WOLFだったのだけどまさかの開催数日前にキャンセルを発表。ずっと抱きしめていたBIG DREAMがなくなってしまい大層しょんぼりしました。YouTubeを何度も見ては「このハッピーなダンスを踊りたい」と思っていたけれど叶わず、、またリベンジで来てくれることを願います。だけど他にも楽しみのアーティストはたくさんいて、すばらしいシーンが今も頭に焼きついています。個人的には特に韓国やタイなど、アジアの国からのアーティストをすごく楽しみにしていました。

今年6月に韓国のASIAN POP FESTIVALでみた NO PARTY FOR CAO DONG や Bongjeingan はそのときの衝撃が忘れられずにいて、また見れて(しかもフジで!)個人的にとても嬉しかった。続けている自分のフェス旅が海外までつながった瞬間でした。

早朝のレッドマーキーgroup_inouで体力を振り絞る大人たち。ここまで起きて到着したぞという謎の一体感がすごかったです。

1日目の深夜4時(朝)スタートのgroup_inouは、学生の頃からだいすきでだいすきだったので、活動休止がすごく寂しかった。今年からまた復活してくれて、跳んで踊れて本当に最高でした。30代に突入した身体に鞭打ち、1日目から早朝まで遊びきったおかげで、2日目3日目が大人しくなってしまったのだけど、ゆったりフジを決めたために、冒頭に書いたドラゴンドラの旅ができたので色々含めて良かったなと思います。(とはいえ1日目に24時間以上起きている状態はなかなかのカロリーでした・・・)

音楽はもちろん楽しくて映像にたくさんのユーモアがあって、本当にすばらしかった。

なにも予習せずにまわりの「見た方がいい!」に流されて見たKRAFT WERKもきっと忘れません。3日間のうち唯一見たヘッドライナー。サカナクションのテーブルスタイルのパフォーマンスはKRAFT WERKインスパイアだし、あれだってこれだってそう、彼らは電子音楽のはじまりで、数々のアーティストのバックボーンにいるんだよと教えてもらって、その歴史を学び感じました。今やCGでギミック富んだ表現のVJが一般的だけど、彼らの映像は原点に立ち戻るもので、ただ彼らの当時を考えるとめちゃくちゃすごい技術だったと思う。70歳前後のアーティストがグリーンステージをいっぱいに沸かせていて、彼らが長く電子音楽の世界に愛されていることを知りました。

2日目深夜のクリスタルパレスでのALI。今年もクリスタルパレスは最高の踊り場でした。
ROOKIE A GO-GOも3日間とても盛り上がった!苗場からはじまるドラマを今年も目撃できて嬉しい。
左は1日目のSummer Eye。右は3日目のBongjeingan。

今年は苗場食堂もめちゃくちゃアツかったなあと思います。苗場食堂って、ROOKIE A GO-GOのもうひとつ上というか全然まだ知らなかったアーティストが多いみたいな印象だったけれど今年はだいすきなSummer Eyeさんだったりおとぎ話や片想いだったり、知名度のあるアーティストもいたし、韓国からもBongjeinganがラインナップ。そして3日目の最後のラインナップに突如現れたのは「真夏のデンデケデケデケ」。検索しても出てこない、プロフィールにもメンバーの記載がない、これは誰やねん、新しいバンド?という噂が立つ中、お面を破ってあらわれたのはnever young beachだったという。2017年にも「ヤシの木フラミンゴ」ってバンドが苗場食堂に出て、それもネバヤンだったので、お客さんも「やっぱりー!」みたいな感じだったそう。(わたしは一度宿に戻らねばならなくて残念ながらノエル・ギャラガーのシンガロングを聴きながら夜道を歩いていました。見たかった〜〜!)と、今年の苗場食堂は個人的にかなり外せないステージでした。今年は全部のステージが全部楽しかった。

あと思い出深かったのが、NO PARTY FOR CAO DONG。6月に韓国のフェスで見てわたしにとっては2回めのライブでした。彼らは2年の活動休止を経て今年復活を果たした、2012年結成の台湾のインディロックバンド。今年、2枚めのアルバムがゴールデンメロディアワードで3部門の受賞を果たすなどして自国での素晴らしい評価を得ています。歌詞自体は結構社会的なメッセージ性のものだったりが多いのだそうだけど、拳を突き上げたくなる衝動を掻き立てるシャウトや、ちょっとディスコっぽいような踊れるリズムもあり、とにかくとにかくかっこいい。3日めのGREEN STAGEの一番目。広い空の下で全身に浴びる彼らの音楽はとにかく最高でした。

(そういえば今年はPYRAMID GARDENに行く機会がなかった。なかなか全部のステージに行くのは大変になってきたなあ)

苗場録

あとはちらほらと苗場録も残しておこうと思います。

苗場に来たら、まずは苗場食堂のとろろめし。どうしても1食目はとろろめしにしたくて、看板も持って列に並びました。とろろ飯を食べると、苗場に来たな〜という実感が体内の中にも入ってきます。今年は3日間で2食お世話になりました。また来年までおあずけだけど、ごちそうさまでした苗場食堂!
今年は新規参画、風通しの観点から、フード出店のラインナップが一部入れ替えとなり老舗(?)のお店がラインナップから消えるなどがブーイングとなりましたが、苗場食堂のとろろめしと豚汁は、ずっとなくならないでほしいです。

今年も身体の細胞にとろろめしの記憶をしっかりと。

2日目の朝のトクマルシューゴ。晴れ晴れとした朝のヘヴンにぴったりの時間でした。小さな子どもたちがのびのびとヘヴンでくつろいでいて、苗場の自然を楽しんでいるのもよかった。あと店先にあったバブルを撮影していたら、無邪気に子どもたちが入ってきてシャボン玉の掛け合い?をするなどして、人懐っこい子どもたちに触れ合ってほっこりするなども今年のハイライト。子ども時代にフェスを体験したひとたちが親になって、小さいうちからお子さんを連れてきたり、イヤーマフがちゃんと浸透してきているあたり、こうして子どもが増えてきていることも感じます。すてきだなあと思います。

そして今年は3日目が時々雨が降ったけれど、晴れ間もあったし、1日目2日目はとても天気が良かった。あとコロナ前くらいまで夜はアウターがないと寒かったのを思い出すと、去年今年はずいぶん暖かくなったなあと感じます。日中はキャミソールだけで快適。数年通っているだけで、苗場の環境の移ろいに気づきます。いつもPCを目の前に何時間もデスクワークの身体に、自然が体の使い方を思い出させてくれます。苗場の自然に触れるのが毎年心地よくて、普段浅い呼吸も無意識に深くなっている気がします。この自然も、毎年保護している人の手があってこそ。感謝の気持ちです。

お馴染みの行水と森林浴もね。

またわたしは夢を見続ける

もう今年が終われば来年に向けて「じゃあまたフジロックでね!」というやりとりが始まります。願いと、「来年もきっと来れるように一年がんばろう」という誓いを込めて、そう交わす言葉がまたつながって来年になっていくことをわたしは知っています。

今年は新しい出会いも、久しぶりの再会も、たくさんたくさんありました。音楽に出会うよりも大切なひとたちと出会ったことの方が多かったかもしれません。そんなみんなとも「またね」ができて嬉しかったなあ。出会ってつながって、そこから1年で広がっていろんなところでも「またね」が増えていくと、また来年の楽しみもどんどん大きくなっていきます。地方のフェスでよく会う人たちもいるし、そういったみんなのことも大切だけれど、わたしはフジロックで会うひとたちにちょっと特別なきもちがあります。一年に一度しか会わないひとでも、一年に数回でも、毎日のように会うひとでも。

「今年も会えたね、最近は何をしてるの?」
「元気だった?次は何のフェスに行くの?」

決して安くも快適でも簡単でもないフジロックに行こうと思って、日々の学業や仕事やプライベートやいろんなことを頑張って、あの場所に集まる、不思議なエネルギーを持つひとたちですから。そんなみんなとあの場所あの空気を一緒にしたんだってことが嬉しいんですよね。いわば労いの場でもあると思っています。1年、おつかれさま。また元気で会おうね、頑張ろうねと。

年々思うのは、フジロックは計画してても無計画でも毎年最高に変わりないし最近は無計画の方が多くなってきたけれど、どんなときにも友人の存在が本当に大事だし、友人の存在がかけがえのない時間の中心であるということです。いろんな地方フェスには大体1人でも行けるけれど、フジロックだけは1人じゃなくて誰かと一緒に行きたいし、会いたいし、その誰かはなるべく大切なみんなでいてほしい(大切なひとしかいないんだけど)。だから私のフジロックの思い出の中にいるあなたやみんなのことは、1人残らず心から大切に思っています。

今年も会ってくれたみなさん、本当に本当にありがとうございます。

2024年もアーカイブ。

また苗場で会えることを夢見て。

おしまい

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備忘録として

今年のフジロックは色々と運営も変わったところがあったのでそれも記録としてメモしておきたいと思います。

まずは今年は無料生配信が復活したのはよかった。2018年から2022年までYouTubeで毎年生配信をしていたフジロック。2022年、YouTubeはショート動画にも力を入れて切り出しも多く出していました。ショート動画はSNSとしてもいい動きなので、この取り組みはいいなあと思っていましたが、去年の2023年は無料配信がなくなりスポンサーにYouTubeの姿もなし。プロモーションとしても配信は大事な一面だと思っていたので、一体どうなるんだと去年は思いました。
一方で2023年からオフィシャルサポーターに入っていたAmazon。今年はAmazonが、Amazon Music公式チャンネルのPrime VideoとTwitchで無料ライブ配信を行いました。発表された時はびっくりしたけれど「ここがみんなのフェス会場」というブランドメッセージが素敵だと思ったし、世界配信に向けたインタビューがとても熱いもので心を打たれました。去年のAmazon Music のラッピングカーや会場でのAmazon Boxの設置もすごくいいなと思ったけれど(今回はBoxがなくて残念だった)、おうちフジでも現地でも、フェスに必要なものはAmazonでなんだって揃うし、配信にも参入するといよいよフェスのインフラとしての顔が際立ってきます。来年もサポーターに入るのであれば、きっとより面白い取り組みをしてくれるんじゃないかと期待が高まります。なんにせよ、配信の復活ありがとう!!

そして初めての取り組みだったFUJI ROCK GO ROUND。去年はFUJI ROCK PLUSと名前でフードに別の専用列(ファストパス)が設けられたりの仕組みが入っていましたが、今年はそれが内容を変えてリニューアル。場内を専用バスで移動できたり、専用のトイレや専用ラウンジと休憩スペースが利用できたりするもので、若いファミリーやご年配のお客さんも増えてきた背景もあるだろうから、お子様連れや体力に不安のある方にはいいチケットなのではと思いました。他のフェスでも、サマソニではプラチナチケットmLuckyFesでは協賛席が設けられたりという特別チケットが出てきて、ニーズにはビジネスで応えるWinWinの体制も国内で浸透してきたと感じます。特に大規模のフェスはお客さんのニーズをうまくお金に変えるかたちでいいとおもうし、フェスごとに特色のある内容になるだろうから、こういうニーズがあったんだろうなという逆算思考も楽しい。FUJI ROCK GO ROUND、どれくらいの人が使ってどんな評価だったのか気になるけど、来年もなにか楽しみにしています。

あとほかにも新たな試みがたくさんあって、金曜ナイト券、Under 18チケットができたり、手軽にキャンプができるキャンプヴィレッジが設置されたりと、みんながみんなそれぞれのフジロックを自由に選べるような様々な体制が導入されていました。選べる、というのはすばらしいことだと思うんですよね。おうちでフジもよし、金曜夜だけきて土日は新潟観光してもよし、三日間フジロックROUNDまで利用して快適に楽しんでもよし。年々価格が高騰しているという面でも、特にチケットに関しては自分のスタイルや手に入る範囲を考えて選ぶ選択肢があるのはいいことです。多分色々炎上することもあると思うけど、きっとこれからも、私はフジロックの挑戦をポジティブに応援します。

おしまい

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