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生物基礎演習:⑤ 腎臓~濃縮率計算~     by 茶茶 サティ

 


1,【単位系の確認】

 濃縮率の計算は、さほど難しくありません。面倒でありますが、少なくとも難問ではないと思います。にもかかわらず生物基礎の質問ベスト10には必ず入るだろうと言う位質問が多い分野です。

 では例によって、単位系の確認から入ります。

   1m(メートル) 
= 100cm(センチメートル)
= 1000㎜(ミリメートル) 
= 1.0×10^3㎜(ミリメートル)  ですよね。

逆に
1㎜(ミリメートル) = 1.0×10^-3m(メートル)
という関係も成り立ちます。

 接頭辞m(ミリ)には「千分の1」とか「10^-3」の意味があるのです。

 

 縦横高さがそれぞれ10cm(センチメートル) × 10cm(センチメートル) × 10cm(センチメートル) の体積、つまり1(L)という体積は、

 1(L(リットル)) = 1000(m(ミリ)L(リットル))
 = 1000(cm(立法センチメートル)^3) 立法センチメートル
 = 1000(cc(シーシー))    シーシー

と表現することもできます。ここまではよろしいですか?

また、1mLと1cm^3 と1cc は同じ量を指すワケですね。

 

2,【濃度の確認】

 ではここで濃度の定義を確認しましょう。腎臓での計算問題で使うのは

ⅰ:質量%濃度 = 100 × 溶質の質量(g) / 溶液(g)
  なお、溶液とは溶質(溶けているモノ)+溶媒(溶かしている液体)  
  の総体です。

ⅱ:溶液1mLあたりに含まれる溶質の質量mg:(mg/mL)
  たとえば0.4(mg/mL)は、溶液1mLあたり溶質が0.4mg含まれるこ
  とを意味します。
  このとき分母の方に「1」を追加することがポイントになります。

  これ、実は密度と同じ単位なんですよね。


ではそれぞれの濃度について、軽くジャブ程度の設問を…


設問1 ⅰについての計算演習です。
 質量%濃度を求めよ。

 ① 塩化ナトリウム 5gを 水95gに溶かした溶液
 ② 塩化ナトリウム10gを 水90gに溶かした溶液
 ③ 塩化ナトリウム10gを 水100gに溶かした溶液
 ④ 塩化ナトリウム 8gを 水152gに溶かした溶液

  含まれている溶質の量(g)を求めよ。
 ⑤ 12%塩化ナトリウム液100g中の塩化ナトリウム(g)
 ⑥ 8%塩化ナトリウム液75g中の塩化ナトリウム(g)
 ⑦ 0.3%塩化ナトリウム液75g中の塩化ナトリウム(g)
 ⑧ 0.07%塩化ナトリウム液150g中の塩化ナトリウム(g)

  さあ、無事に迷わず式を立てることができたでしょうか?

 サティの予想では、⑦⑧で2ケタ多く算出した方が多いかと思いますが、いかがでしょう。解答例を示しておきます。

 
解答例(有効数字は気にしてません)
 設問1-
 ① 100×5 / (5+95) = 5%

 ② 100×10 / (10+90) = 10%

 ③ 100×10 / (10+100) = 90.9%

 ④ 100×8 / (8+152) = 5%

 ⑤ 12% = 100×A⑤g /100g   A⑤g=12g

 ⑥ 8% = 100×A⑥g / 75g   A⑥g=6g

 ⑦ 0.3% = 100×A⑦g / 75g  A⑦g=0.225g

 ⑧ 0.07% = 100×A⑧g /150g  A⑧g=0.105g

 
 ⑤~⑧については、意外と 100×を忘れるヒトが多いものですが、あなたは大丈夫でしたか?

 

設問2 ⅱについての計算演習です。
 ① 6(mg/mL)の溶液 30mL中の溶質の質量mg
 ② 9(mg/mL)の溶液150mL中の溶質の質量mg
 ③ 25(mg/mL)の溶液250mL中の溶質の質量mg
 ④ 20(mg/mL)の溶液 3mL中の溶質の質量mg

 難なく答まで行きついたかと思います… が、実戦でちゃんと使えるかが肝腎ですよ。

 
設問2-解答例(有効数字は気にしてません)

① 6(mg/mL)× 30mL = 180mg

② 9(mg/mL)×150mL = 1350mg

③ 25(mg/mL)×250mL = 6250mg

④ 20(mg/mL)×3mL  = 60mg

 もしも答を(g)で要求されていたら、1000で割ってください。例えば③なら 6.25g になります。


 また、なんで掛け算になるのか悩んでいる方のために、2つの解説を添えておきます。
 
 ひとつは… 単位をよく見てください。掛け算すると(mL)が約分されて、(mg)だけが残ります。

 二つ目は計算の根本です。①を例にとります。

   1mL中に6mg溶けているので、30mL中にはA①mg溶けている
数字を下に降ろして比例式を作る
   1mL : 6mg = 30mL : A①mg
内項の積は外項の積に等しいので
   A①mg × 1mL = 6mg × 30mL
  ∴A①mg = 6mg × 30mL / 1mL = 180mg

 

 今度は実にばかばかしいことを考えていただきましょう。でもコレ、実は腎臓にまつわる計算でもっとも理解してもらえないところなのです、不思議ですが…

 お盆休みで帰省したところ、祖父母から封筒に入れた5000円をもらいました。そのお金でTシャツを買いましたが、封筒の中には2000円が残っています。(ちなみに他の金銭的出入りはないものと仮定します)
 さあ、Tシャツのお値段はもらったお金の何%にあたるでしょうか。


 はいはい、答は60%、そのとおりです。
ただし、ここで言いたいのは答ではなく、解き方の過程です。

 まず、カネの流れをまとめます。以下のAとBとCだけで、他はありませんよね。

 A:もらった金額 5000円
 B:Tシャツ代金 3000円
 C:封筒の残金  2000円

 ここで、はい、ちょっと待った。
AとCは記載がありますが、Bはどうやって求めたのですか?

 A:もらった5000円 = B:Tシャツ代 + C:残金2000円
ですから、もちろん
 B= A-C = 5000-2000 = 3000円 ですよね。

 ここでもう一度最初の問いを思い出しましょう。
Tシャツのお値段(3000円)は、もらったお金(5000円)の何%にあたるでしょうか。

 式にすると、 100 × 3000 / 5000 = 60%

答案らしく計算の過程をすべて記載したって、
  100 × (5000-2000)/5000 = 60%
ですから、どこも難しいことはないハズです。

 
 じゃ、このまま実際に出るパターンへ行っちゃいますか…


3,【解答の本筋】

 
設問3
 腎臓では血液をろ過して、尿素を0.3(mg/mL)含む原尿が1分あたり120mL生成されている。ここから主に水分を再吸収して尿が作られるが、同時に何割かの尿素は(再)吸収され、体内に戻されてしまう。
 尿素を20(mg/mL)含む尿が1分あたり約1mL生成されるとするとき、
再吸収された尿素はろ過された血液中の尿素のうちの何%に当たるかを計算して答えよ。

 さて、尿素。
尿素の解説はあとに譲って、ここでは計算をやり切ってしまいましょう。


 尿素は3種類登場しています。

 A:原尿中の尿素。問題文では「ろ過された血液」という名前で登場し
   ています。だってリード文にあるように、血液をろ過したものが
   原尿ですからね。
   尿素は0.3(mg/mL)の濃度で120(mL)ですから、その量は
   0.3(mg/mL)×120(mL) = 36(mg) ですね。

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