子どもの頃youtubeがあったら、たぶん救われてた


 子どもの頃の世界って、だいぶつまんなかった。

 テレビを見て大人と同じようにゲラゲラ笑うには、なにか前提となる知識が必要みたいだし、子ども向けですよと差し出されたアニメや教育番組は、全然刺さらないし面白くないし。

 どの時間のどのチャンネルも似たり寄ったりで、舐めてるのか知らんけど同じ回が何回も流れたりするし、わざとらしいトンチや美談もどう面白がればいいのか全然わからない。

 そもそもなぜ女児向けアニメの主人公って、一様に可愛くて人気者で正直で勇敢なんだろう。あの主人公たちにコンプレックスをつくられた女の子は多いだろうな。
 あと悪役がだいたい紫か黒をまとっていたり、唇の輪郭が強調されたりしてるのも、「世の中はこういうものです」ってずっと同じ型でクッキーを作らされ続けているみたいで、面白くなかった。

 じゃあ大人向けのアニメやドラマを見ればいいじゃないかと思って見てみても、難解なストーリーをそもそもまだ理解できなくて、それが日頃の鬱憤に拍車をかけていた。

 子どもだからって、必ず子ども向け番組を楽しく感じられるわけじゃない。ティーンがみんな歌番組のヒットチャートが好きかと言うとそうじゃないみたいに、子どもにだって自分の世界はある。
 なのに、自分が子どものときにはそれが認められていなかった。NHKかセーラームーンかドラえもんかクレヨンしんちゃんしか無かった。

 まるで、世の中でそこだけ忘れられた隙間にいるみたいだった。好きなことは何かと聞かれれば、不満足な選択肢から選ぶしかない。自分の「好き」の在処がわからない。大人に「なにが好き?」聞かれたときは、いつもしっくりこない答えを返す子どもだった


 だから、youtubeがあったらうれしかったろうな。うんとうんと小さな隙間の、自分の「好き」を探しにいける世界。



 自分にはひとり娘がいる。バッキバキのHSCで、3歳児の花さん。よくよく観察していると、花が「おかあちゃん、〇〇くん(推しチャンネル)見たい」と言い出すのも、大抵テレビや遊びがつまんないから面白くしたいときとか、なんだかしょんぼりして元気を摂取したいときとかだったりする。

 本当に、子どもの世界って狭くて窮屈だ。ずっと同じ型でクッキーを作らされ続けているみたい。違う型も使ってみたいし、ていうかクッキー以外も作りたい。

 もともと子どもにyoutubeを見せるのは反対派だったけれど、そのことに思い至ってからは、わがやではyoutube OKというスタイルをとっている。花が、ちゃんと自分の心で選んだ「好き」で暮らしを満たせるように。


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 ただ、youtubeが絵本やなんかと違うのは、そこに投稿者のマネタイズや承認欲求が結構わかりやすく絡んでいて、「再生数を稼ぐ」ため、つまり依存性を高めるための工夫が割りとエグめに凝らされているところ。

 その辺りの前提をちゃんと認識していたら、動画の途中に広告がばんばん入るマネタイズ意欲もりもりの動画でも、「じゃあいっぱい見て推しの〇〇くんに投資して、これからも面白い動画投稿してもらおっか」ぐらいの距離感で上手く自分の「好き」を摂取できる。

 だけどこれが、視覚刺激や効果音が小気味良くてついついいつも見ている、となってくると、物によってはゲーム中毒とかパチンコ中毒と似たような感じになっちゃう。
 そうなるともう自分の「好き」とは関係なくなって、本来の目的とは離れちゃうから、ちょっと注意したいところ。まぁよほど課金たりしない限りは、そういう生産的じゃないものにハマる経験をするのもちょっとはおもしろいと思うけど。


 良い部分と、危うい部分。それをちゃんと子どもに伝えながら一緒にyoutubeを楽しめたらすごくいいと思うし、花がこの先自分で情報を選びとる力の土台にもなると思う。なったらいいな。



 それともう一つ。youtubeを日常に入れる代わりに、守らなきゃいけない大切な「余白の時間」もある。けどまぁ長くなってきたから、

 その話は、また今度。読んでくれてありがとう。


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