ゆっくり、おとなになりなさい
料理が好きで、物心ついて最初に買ってもらった本と言えば #NHK の「#ひとりでできるもん」の料理本。
当時は卵さえ割れなくて、割ったら割ったで失敗して顔に飛び散って大泣きだったわたしだったけれど、料理の写真を眺めるだけでなんだか料理上手になれた気がしてワクワクした。
その背表紙はビスコの広告で、子どもの写真の横に「#ゆっくりおとなになりなさい」とコピーが載っていた。
ボロボロになるまでその本を読んでいたから、ずっとそのコピーが忘れられなくて20数年が経った。
特に意識をしたわけではないけれど、「ゆっくりおとなになった」ら、広告の仕事をしていたし、NHKとも仕事をしていたし、料理の写真も撮るカメラマンになっていた。
人生とはわからぬものだ。
自分の最初の記憶は、ベビーベッドの上で天井から吊るされたモビールを眺めている記憶で、その次が「何歳でちゅか〜?」と近所のおばさんに尋ねられてかなり不機嫌に「3さい…」と答えるシーン。
つまりかなりませてた子どもだったということ。
父や母にとって、わたしは子どもらしい子どもでいれたのかな。
わたしはゆっくりおとなになったつもりだけれど、父母にとっておとなになるのは早すぎなかったかな。
そもそも、おとなになれているのだろうか。
実家に帰ったら、あの本を探そう。
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