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月舟

私の人生のイメージが、夜の暗い海の上で水面を照らす月に向かって舟を漕ぐ、そんな情景にあります。
これは「月舟 葉音」という名前にも少し関係しているかもしれません。

今まではまだ月の光さえも遠く、いつ届くのか検討もつかないようなところでずっと舟を漕いでいる感覚でした。
それは希望がなく、孤独で、永遠のように感じられた時間でした。

でも最近、やっと月の光が届いているところに辿り着けたんです。

遠くから見ていた、海に反射する月の光は、近くで見てみるとささやかで優しいものでした。
それまでもずっと眩しかったけれど、ずっと暗闇の上にいた自分にとっては、それはまた泣きたいほどに眩しくて綺麗なものでした。

ここに来るまでに随分かかってしまったな、そうやって、安堵の息が漏れました。

未だにこの光の中へは少し足を踏み入れた程度です。
この光の射すところ一帯を超えてしまえば、周りを包むのは深く暗い闇です。

これからも疲れて舟を漕ぐ手を止めてしまって、月の道を逸れる時があるかもしれません。

それでも大丈夫だ、と思います。

私はこの眩しさを、優しさを知りました。
今少し触れてみることだってできます。
この幸せを、幸福感を、もう手放すことなどできないのです。

今の私には希望があります。

そして、この光の中を進み続けるのです。
いつかあの月に届く日まで。


読んで下さってありがとうございました‪‪☽𓂃 𓈒𓏸◌‬

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