1/10日記「たぶん無賃乗車ですよね、それ」
仕事帰り、地元の駅にて。
少し前を歩いていた女性3人のうち1人が、自動改札を強行突破するのを見かけた。
かなり強引な感じで、まわりの人たちの視線を集めていた。
僕は駅員さんの方を見た。
駅員さんもたぶん強行突破を見ていたようだった。
だけど、特に何もする気はないようだった。
女性3人は外国籍の方のようで、足早にその場を立ち去るわけでもなく、あろうことかハイタッチを交わしていた。
そして、大声で楽しそうにしゃべりながら悠々と立ち去っていった。
見かけで人を判断してはいけないことは百も承知だが、その方々は女性としては逞しい体つきで、リーダーっぽい人は坊主頭で強面だった。
なんなら宮下あきら先生の漫画で、『天挑五輪大武會』に出場してきそうな雰囲気の人たちだった
駅員さんが声をかけたくない気持ちもわかる。
僕も声をかけたりしなかった。
それにしても堂々と悪さをしていた。
お国柄もあるのだろうか、それとも日本の自動改札はちょろいのだろうか。
日本人が車の通りそうにない歩行者信号を待っていると、違和感を感じる外国の方もいるらしい。
日本人の美徳といえば聞こえはいいが、思考放棄と思われてしまうのだろう。
正しいものは何なのか、と尾崎豊が歌っていた。
何が正しいかは本当に難しいと思う。
ただ、正しいものは何なのか、と自問自答し続けられるようにありたいと思っている。
2年ほど前だろうか。
まだマスク云々で人々が過敏になっていた頃、駅までの道をマスクせずに歩き、幹線道路の国道を渡る信号待ちをしていた。
すると、自転車に乗ったおじいさんが信号無視をして道路をこちら側へ渡ってきた。
車ももうすぐ来るし、ふらふらしていて危ないなぁ。
そんなことを思って眺めていたら、そのおじいさんは僕の方へ近づいてきて
「マスクしろよ!」
と怒鳴ってから走り去っていった。
いくらなんでもそれは違うだろうと思ったが、おじいさんのなかでは正しいことをしたことになっているのだろう。
自動改札を強行突破した女性は、どんな正しさを感じながらハイタッチしたのだろうか。
聞きたいような、聞きたくないような気分だ。