これは最善だった
緑色の瞳が見えた。得られた世界に何を求めて良いのか。私は何を見ているのか。弦楽器の音に揺られても、君は帰らない。
暗転
「五体満足でなくても人間なんだ」
車椅子のキミが言った。
「じゃあ、肉体が無くても人間かな?」
キミはそう言って笑った。
時折、人は闇の中に囚われる。それを消し去る。それがキミの仕事じゃないのか。
その問いにキミは笑顔のまま沈黙する。
描いた世界に何を求めれば良いのか。ワタシは何を見ているのか。ワタシは水槽に沈んでいた。何故か息が出来なくても苦しくなかった。
暗転
ごめんね。私はそう言って君を消し去った。ベージュの肌が微かに震えて、ベージュの瞳が私を捕らえて、最期、君のベージュの下肢が水を蹴る。
『ありがとう』
嗚呼、私の空耳であって。
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