最後かもしれない。 いつもそう思って君を送る。見えない影がもしかしたら今日、君を攫うかもしれないから。流動性の世界が急に方向を変えるかもしれないから。 最後かもしれない。 言葉には出さない。言霊を信じている。世界が私達の心を反映するように思うのは、僕の脳が「僕は一人だ」と思いたくないから。 最後かもしれない。 恐れているわけではない。これは間違っていない。何時か君が帰ってこなかったとき、僕は後悔したから。 最後かもしれない。 全ての時間が君との最後かもしれない
これはどちらかと言えば戯れでしょう。私をこんなことを言っても生きていかなくてはなりません。それはそれが正しいと思える環境に身を置くからであります。その他に理由はありません。 自由の夢を見ることも、自己の可能性を考えることもなく、もしも私が規律に完全に縛られていたらと思うのです。私がどのように生きて死ぬのかについて、あらかじめ正解が提示されていればと思うのです。私はそこから外れた人間であると見放されれば良いのにと思うのです。 そうしたら、きっと私は死ぬことが出来るから。
緑色の瞳が見えた。得られた世界に何を求めて良いのか。私は何を見ているのか。弦楽器の音に揺られても、君は帰らない。 暗転 「五体満足でなくても人間なんだ」 車椅子のキミが言った。 「じゃあ、肉体が無くても人間かな?」 キミはそう言って笑った。 時折、人は闇の中に囚われる。それを消し去る。それがキミの仕事じゃないのか。 その問いにキミは笑顔のまま沈黙する。 描いた世界に何を求めれば良いのか。ワタシは何を見ているのか。ワタシは水槽に沈んでいた。何故か息が出来なくて
水槽を泳ぐのは、上半身は人間のような形をしていながら、美しい尾びれで泳ぐ生き物だ。一番大きな水槽を自由に動きながらも、その誰か(?)は少し退屈そうにしている。 「人間である定義は何か」 水槽のガラスに書かれたポエムが目に入る。不安定な明かりに照らされて、それは不気味な存在を醸していた。 「足があれば人間になれるか」 隣に描かれたその問いは虚空を伝う。不安定な光源が揺れる他に、その部屋では沢山の機械が水槽を囲んでいた。その群れが、薄暗くも美しい部屋を侵している。水槽の
見回り中に梟を見つけた。持ち帰って世話をすることにする。 今日は何度かサーバーに異変があり、忙しかった。走り回っている間に一日が終わった。何もないのに、この世界は忙しい。 楽しいだけの人生なんてないから、楽しいだけの時間があれば心酔するのは避けらない。大賛成だ。 不安定な通信の中で不可解な現象が起きていた。記憶が混線しているというか。複数人の走馬灯が流れたような状況だ。こちらに実害はないが、調べておく必要がある。 梟は数日後に死んでしまった。サーバー上の設定で生き物が
准と申します。 自分で物語を描きたくnoteを始めました。 好きなジャンルは、SF、サイバーパンク、ファンタジーなどです。 読書の頻度が高いわけではなく、語彙力など課題は沢山ありますが、頑張っています。 更新の頻度は不定期で、内容も試作が多いかと思いますが、誰かに読んでいただけたらいいなと思います。 どうぞよろしくお願いします。