アイヌ語輪読会レポ #7
こんにちは、北大言語学サークルのfugashiです。本記事は、サークルで行われているアイヌ語輪読会第7回のレポとなっております。過去のレポについてはこちらを参照してください。
第7回では、アイヌ語文法の基礎第19課「普通名詞の人称変化」第20課「位置名詞の人称変化」第21課「連体修飾表現」について学びました。
学習レポ
第19課「普通名詞の人称変化」
アイヌ語の普通名詞(位置名詞に対置される概念です)は、「AのB」のような誰かに所属することを表現するとき、しばしば人称変化を起こします。ここでは、その表現方法についてまとめたのち、本にある「概念形」「所属形」「人称形」の概念について整理し、その起こりについて中川(1983)をもとに考えてみました。
第20課「位置名詞の人称変化」
アイヌ語には位置を表す名詞の区分である位置名詞があります。位置名詞は、普通名詞と後置詞のつき方などに違いがありますが、今回はその中でも人称変化の仕方についてまとめました。位置名詞の人称変化には解決していない問題も多く、教科書でも疑問点を挙げるに留まっている箇所もありました。時間のある際にどのように解決が試みられているのか調べてみようと思います。
第21課「連体修飾表現」
関係節化による連体修飾名詞句の作り方についてまとめました。アイヌ語の関係節は日本語と類似のgapping-typeのものですが、斜格についても充当接頭辞や後置詞を用いて関係節かすることができるなどの違いがありました。
課外学習:アイヌ語の関係節
tanpe hemanta ne ruwe an. "これは何か?"というアイヌ語の文章について、この文章をどう解釈するべきかという疑問が前回の輪読で挙がりました。これについては、現時点でも納得いく答えが出ていない状態ではありますが、hemanta ne ruweを関係節とみるとうまくいくのではないか、という試案がありました。少し無理がある解釈かもしれませんが、このような案を含めてこの議題についてまとめた記事を書こうと思います。