宵時雨
私にはなにが残るんだろう
たとえば 君がいなくなったら、
たとえば みんなと離ればなれなら、?
比類なき才能なんてないし、
その一端ですらなにもない
君を勇気づける言葉もしらないし、
君を落ち着かせる毛布みたいな存在にもなれやしない
ねぇなんで、君は私をそばにおいてくれるの?
放課後に並んで歩いた帰り道
オレンジだったり宵だったり、
暑かったり寒かったり、
そのすべてに君がいたんだ
どうしてだろう
いつだって君がいてくれたんだ
ぜんぶあったかくて、
なんだか泣けた
「私がこんなだから」って
小さな自己嫌悪や不安が肥大化していく
「たとえば、私じゃなかったら。」って
冷たい声を浴びる君の盾にもなれない
突破口を切り開く君の剣にもなれない
私じゃなかったら、
もっと君をまもったり支えたりできたよ、きっと
なんで私なんだって。
放課後に並んで歩いた帰り道
桜だったり紅葉だったり、
曇りだったり雨だったり、
そのすべてに君がいたんだ
どうしてだろう
いつだって君がいてくれたんだ
ぜんぶあったかくて、
なんだか泣けた
朝の遅刻ぎりぎりに校門付近で「おはよう」だって、
お昼休憩だって放課後だって、
一緒にいる時間があのとき確かにあった
だからこそ翳る心も存在してた
そんな日常
私も君の中に在(い)れたかな
放課後に並んで歩いた帰り道
いつだってなんだって、
そのすべてに君がいたんだ
どうしてだろう
いつだって君がいてくれたんだ
ぜんぶあったかくて
今になって、心が揺れた