寒い夜は
瞬きをする一瞬に世界が無彩色に変わった
あなたがドアをしめた瞬間に
もう戻れないと感じたあの青さも
いつしか再現できやしなくて
もう少しだけ、色を残して
もう少しだけ、微笑んでみて
もう少しだけ、待っててみてよ
何を残そうとも何をこぼそうとも
もう何も交わらないと、
とっくに分かりきったことを
今更この部屋が教えてくる
何度夜を越しても何度目を覚ましても
あの珈琲がなくなることはない
もう二度と交わらないと、
何度もあのポットが伝えてくる
いつのまにかあなたがいる部屋、だったんじゃなくて
2人で始めたこの生活だった
もう覚えてない?
初めてこの部屋に入ったときのことも、
家具を選んだ日のことも、
心を消費することの繰り返しみたいな毎日に
向かい合って食べた夜ご飯も、
並んで映画をみたソファーも、
寒がり同士 足を絡めあってたベッドも。
覚えてないとか、そんなのじゃないことくらい分かってるのに
もう戻れない。
寒い夜は寄り添うからあったかいって
あなたの言葉ばかり消えない。