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久遠

結わいた糸に架ける願いの音
いつかあなたの耳に重ねられられたら、
なんて願うだけ、祈るだけ
知らないうちにでもあなたとの時間が重なればいいのに

遠いまちに揺れるのは 赤い花びらが映える浴衣
身に纏うあなたを写したかった
そんな季節がまた、消える

夏が去って秋が暮れる
おいていかれた花火片手に
逢いにいければ、どれほど強く願ったことか

世に咲く華を君と想ふ

はっと咲く狐提灯
昼の果てに吸わう夜の色
夜が滲みはじめて動きだす
あなたの香をたどって

揺れる狐提灯に重なるのは
あの浴衣の花に似た色
遠くにいたあなたの記憶をたどって

夕闇に溺れて咲いた
掠れた記憶が、あなたを愛しいと描くこと
目を背けられないほど大きくなる
「あいにいくよ」

はっと咲く狐提灯
昼の果てに吸わう夜の色
グレー混じりの紫とオレンジ
あなたのいるまちに

揺れる狐提灯に思いを寄せる
おぼろげな記憶をたよりに向かう夜道

夜に吸わう空に
片足が溺れるような、暗闇に吸われるような
その先にあなたを探して

はっと咲く狐提灯
昼の果てに吸わう夜の色
夜が滲みはじめて動きだす
あなたの香をたどって

揺れる狐提灯に重なるのは
あの浴衣の花に似た色
遠くにいたあなたの記憶をたどって