「もっと、ヴァイオリンを歌わせて!」
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「声楽家が歌うように、ヴァイオリストも歌うコトをご存知ですか。」
つかみどころのないコトバでごめんなさい。
でも、私、ヴァイオリンを奏でる時に
いつも感じているコトなんです。
さらに言えば、ブレス(息継ぎ)をしているって。
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たとえば、身近なリコーダーや麗しいフルート等々…。
息を吹き込み奏でる楽器は、絶対にブレスが必要です。
ヴァイオリンは弓で弦を擦って音を出すから、「弾くだけ」なら、楽器を鳴らすのに息は必要ないのです。
「でも、ヴァイオリンは、ブレスが絶対に必要なのです。」
あっ、殆ど「禅問答の世界」ですね。
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ヴァイオリンは、「弓を上下に動かして」音を出します。
弓を持った手に近い方から上向きには"アップ・ポウ"そして、これの逆は"ダウン・ボウ"。(ボウは弓の意味。)
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私は、アップで息を吸い、ダウンで息を吐いています。
思えば、お歌を歌うのにも、ブレスが必要です。
でも、お歌のブレスは、
決して息が続かなくなってするのではなくて、「歌詞の意味」や「歌の流れ」の中で、
ブレスする位置は正しく決まるもの。
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"言葉のチカラ"を使ってみますね。
「にわにわ(は)にわにわとりがいる。」
これを正しく誰かに伝えるには、コトバのどこに句読点の「、」を打つかが大切ですよね。
「庭には、二羽、にわとりがいる。」
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『もっとカンタービレして!(歌って!)』
このコトバは、学生の頃から耳にタコができる程、先生から繰り返し賜った、ありがたいお言葉です。
『歌心を持ちなさい!』とも、おっしゃいました。
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楽譜には、作曲家から演奏者へのメッセージが、たくさん書き記されています。
もちろん、メロディーの節目節目を表す記号も。
でも、ヴァイオリンのそれには、ブレスがありません。
だから、楽譜をしっかりと読み込んで
私は「そこあるはずのブレス」を見つけようとします。
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「演奏」というコトバから、
私が思う意味は「奏で」、「演じる」コトなんです。
だから、懸命に譜読みに取り組みます。
「歌心」のない演奏では、
「ヒトの心に想いを伝える」コトは出来ませんもの。
「一生勉強。日々精進なのです。」
(えみり)