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「ピアニストの右側。(2月17日)」

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1度でも演奏会にこられた方はご存知の事ですが、舞台の上のピアニストは、右側をお客さんに向けて演奏しています。

その事は、当のピアニストも強く意識していて、右側にお客さんの顔が見えていると、どこか安心感を覚えるのです。

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他にも、例えばピアノを2台並べてレッスンする時は、生徒さんは右側に座ってもらいますし、ヴァイオリンをはじめ、他の楽器との合奏の時も、それらは右側に位置します。

この事は、たとえ、ピアニストが左利きの方であっても同じで、ピアニストにとっては、右側こそが”正面”なのです。

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どうしてこんなにも、ピアニストが”右側”に、こだわるのか。

そこには昔からの伝統や習慣、あるいは当事者がそうすることに慣れていて、安定感を覚えているという面も大いにあるでしょう。

でも、じつは、右側が正面ということには、演奏者の”心の平安”以上に、音響的な部分が大いに影響しているのです。

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皆さんは、グランドピアノには、大きな蓋(大屋根)が付いていて、演奏するときには、それが開いているのを目にされたことがあると思います。

あの大屋根は、左側にピアノ本体との付け根、蝶番があって、右に開くようにできています。それを開けると、ピアニストから見て、右前方に音が飛んで行きます。

舞台でピアニストがお客さんに、右側を向けているのは、演者のワガママではなく、楽器の音響的な都合で、そのようになっていたというわけです。

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でもまあ、私としては、できればピアニストを左側から見るのは、ご勘弁願いたいですね。

慣れてなくて、恥ずかしいのもありますけれど、そちら側には、大抵の場合、水分補給のためのミネラルウォーターや汗拭きタオルに、時間を見るための時計。無事に舞台を勤められるようにとの願いをかけたチャーム(お守り)などなど、私物を乗せたサイドテーブルがあるので、できれば目を逸らしていただけると嬉しいです。

今日も、良い一日になりますように。
(MIYABI)

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