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「演奏家の背中。(2月15日)」

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日本語には、「背中で語る。」という言葉がある。物事に取り組むにあたって、『あれこれ言わず、行動で示す。』という意味があるらしい。
四字熟語では、『不言実行』。

なんとなく昭和レトロな、”渋オジ”を思い起こさせる響きがある。

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皆さんがご存知のように、ピアノという楽器は、自分だけで最後まで面倒をみる「ピアノ独奏」の他、お歌や他の楽器の伴奏もしている。

譜読みから、本番直前のリハーサルでは、伴奏する相手の方と”Face To Face”で、一緒に音楽を仕上げていくために、言葉や表情も含めて、互いの意思疎通を行うのだけれど、本番の舞台では、ほとんどの場合、ソリストがピアノよりも前に立つので、演奏中は、その背中を見ながらの伴奏となる。

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ところで、音楽家の間では、「本番の舞台には魔物が住んでいる。」っていう言葉があるほどで、本番では何が起こるか分からない。
自分のアクシデントは、もちろんだけれど、伴奏者は、前で演奏してるソリストのちょっとした”ヤラカシ”も、そつなくフォローしなくてはいけない。

そのあたりの事は、何度も共演して、お互いに気心が知れた相手だと、演奏中の背中から感じられる空気や、ちょっとした仕草、あるいは立ちのぼる気配等でも、なんとなく察しがつくようになる。
本来の意味とは少し違うけれど、背中が語っている訳だ。

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でも、まぁこれは舞台の上でのお話。そこから降りてからは、やっぱり気持ちは、言葉でハッキリと表して欲しいのが、女子という生き物。「今日のコーデ、かわいいね。」とか、「少し、ヘアスタイル変えた?」とかね。

どうか「不言実行」ではなく、おおいに褒めてくださいね。

(MIYABI)

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