「BACHの名による音楽。(1月14日)」
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ドイツ語辞典でBachを調べると、J.S.バッハご本人を示すドイツの音楽家(1685-1750)の他に、小川、渓(細)流とあり、日本名の小川さんに当たる名称であることがわかる。
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J.S.バッハは、自分の名を、数に置き替え自分のナンバーを決め、自分の数の象徴化を試み、エーベーツェーの数への変換をした。
この数への変換によるBACHの和は、B+A+C+H=2+1+3+8=「14」で、バッハは14番を自分のナンバーとした。
14の数でよく知られている話は、彼が1738年に音楽学協会へ、入会しようとした際、バッハは14番目の会員となるチャンスを待って入会する。
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彼は14個の金ボタンを付けた服を着て、画家に、この姿の肖像画とオルガン曲、カノン変奏曲「高き天より」BWV.769を提出し、1747年に、その資格を得た。
六声による謎のカノンで作曲したこの曲は、最終小節にB・A・C・H(変ロ、イ、ハ、ロ音)の音階名を組み込んだ彼の音名のサインがあった。
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バッハは、フーガの最高峰となる「フーガの技法」を、1749年から書きはじめたが、残念なことに失明してしまったため、19曲目、239小節でペンを止めてしまう。
バッハは193小節からB・A・C・Hの第3フーガ主題を提示し、展開へと進む途中であり、バッハの名のフーガを未完成のままで、彼は世を去った。
次男C.Ph.E.バッハが後に「フーガの技法」のタイトルで出版したのである。
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後世の作曲家たちは、バッハを讃美するために、バッハの名によるB・A・C・Hの音列を主題に作曲している。
バッハの弟子クレプスは、オルガン曲でフーガを作曲し、ロマン派に入って、シューマンもオルガン曲《6つのフーガ》、リストはピアノ曲《前奏曲とフーガ》とそのオルガン編曲をした。
また、リムスキー=コルサコフは、ピアノ曲
「単純な主題によるパラフレーズ」の第9曲「フゲッタ」を書いた。
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近代に至って、フランスの作曲家オネゲルが
「前奏曲とアリオーソとフゲッタ」をピアノ用として作曲し、翌年、管弦楽用に編曲した。
多数のオルガン曲を作曲したレーガーも「幻想曲とフーガ」がある。
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現代に入ると、オーストリアのダーヴィトによる、オルガン曲「パルティータ」や、アメリカのピストンが作曲したオルガンのための「半音階的練習曲」。
また、来日したこともある12音技法の作曲家フォルトナーは、2台ピアノと9つの独奏楽器と管弦楽のための「音列による幻想曲」を作曲した。最近もB・A・C・Hの主題で作曲が続けられている。
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さて、新年明けて、今年の抱負に「BACHの名による音楽」の作曲をリストアップなさってはいかがでしょう。これは間違いなく錚々(そうそう)たる顔ぶれの大作曲家と並べるチャンスですよ。
(MIYABI)