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ep.89 アートに触れ、心の水車が回り出す

こんばんは。たまです。
だいじょうぶなときも、だいじょうぶじゃないときも、わたしの心を潤わせてくれる美術展の話、今夜はしちゃお〜!

あなたの心を潤すものについても、いつか聞きたいです。


ここは、小さなラジオブース、あるいは寝る前の談話室。水曜日は「生活の日記」と「今夜の1曲」をお送りします。


生活の日記

美術館がすきな理由はいくつだって!
あらゆる色、思想、刺激。アートの前に立ち、ただじっと向き合えば、常に散乱状態のわたしの物思いも鎮められる。優しみ、共感、静かなる興奮……感情の芽もぽこぽこ生えてくる。

アートに触れる時間はまるで心の潤滑油だ。錆びついた心のパーツも、ガシンガシンっと動き出すよう。澄んだ水がだだっと流れ、水車は回りだす。どんより気味なわたしの生活に、新鮮な空気がどんどん満ちてくる。

このたいせつな潤滑油たちも、どうしたってわたしの脳ったらきっと忘れてしまうから。せめて日記の力を借りて、またいつか取り出せるように。

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写真展『Saul Leiter』( art cruise gallery by Baycrew's

色合いや、切り取られた瞬間の愛らしさに虜になっているうちに、なんでだろう、人肌みたいな温かさを感じてくる。被写体だけでなく、撮影者であるソールの気配を密やかに感じる情景たち。

写真は、窓に似ているのかも。同じ空間を等しく与えられたとしても、それを覗く現在地が少しでも違えば、人によって違うものが目に映るという点で。

喫茶店、タクシーの後部座席、雨降りの自宅、くすんだフェンス、百貨店の回転ドアから。寂しい朝、安らかなホリデー、恋しい夜にて。この日、ソールはどこの窓にいたのかな?彼の収めた美しい瞬間をヒントに、彼の現在地に想像をめぐらせた時間。

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Nerhol 水平線を捲る( 千葉市美術館

緻密なリサーチは歴史、建築、植物まで、広く深く。200枚の写真を高く重ね、削った作品たち。知ってそうで、見たことありそうで、未知のものがそこにはある。

ぐにゅぐにゅ脳に皺を寄せて、近づいて、一歩さがって。捉えようと踠いてみる。そうするうち、視覚が覚醒していくのか、はたまたツボ押し効果か、快く感じてくるから摩訶不思議。

見えていると思っているもののこと、ほんとうは全然知らないのかも。わたしが知らない顔をみんな持っている。

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モネ 睡蓮のとき( 国立西洋美術館

モネが見ていたのは、光の粒なのでは……。花弁、朝露、夕焼けの映る池、柳。そこらに反射し、一瞬で姿を変えてしまう儚い光たち。

60歳を超えたとき、こんなにも愛で、燃え、心を痛め、夢中になって挑み続けるものがわたしにはあるのだろうか。誰かに見せてあげたい景色を求めて、全身で筆を動かし続けているだろうか。

本展でとりわけ胸を打ったのが藤の花だった。くらくらするほど甘く眩しくて。およそ100年前に描かれた光が、東京でいまを生きる30代OLの心に降り注がれるんだから、やっぱりモネのパワーったら尋常じゃあないぞと実感。

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「西川勝人 静寂の響き」展( DIC川村記念美術館

光と闇。太陽が少し傾いても、風が吹いても、移ろい消えゆくもの。彼の作品、と同時に石膏やガラスに反射する光を、じっと観る。儚くて清らか、静かで真っ白な気持ちが心に飽和してくる。

この世界でいちばんすきな美術館( 存続してほしいよ、切実に )。まだ行ってなかったなあという方がいたら、「ラビリンス」にて「眺望」から芳しい「秋」をどうかぜひに観てみてね。

展示をモチーフにした、ほおずきの和菓子

今夜の1曲

Billie EilishWhat Was I Made For? を。

ビリーが歌うBirbieの心のように、どうしていいかわからず立ち尽くしてしまう夜があって。悲しくて、わからなくなって、自信も失って。

でも、生き抜くために生きる。パーフェクトじゃないわたしのまんまで。きっといつか Something I'm made for を感じられる日がくるから。そう信じてみるから。



今週はなんだか想定外の負担が起きがち。余裕がなくなってしまう自分に、帰宅後めっきり落ち込んでしまう。ムキムキの体力とメンタルはすぐには手に入らないから、深呼吸してよく寝ることにします。

今日もおつかれさまでした。あなたも、わたしも。

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