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Seven Sisters

柔らかい白亜の断崖
寄せる夏の青い海
削られた大地に
吹き付ける潮風は
どこか爽やかで
容赦のない眩い太陽は
肌を焼き尽くす
七つの
崖の上には
羊が一匹、二匹
私は消えかけそうな
轍の道を
一歩一歩 踏みしめて
どうか
道を踏み外すことがないようにと
祈りをささげる
青い芝で覆われた丘が
いくつも折り重なり
どこまでも続く同じ景色は
私の居場所を惑わせる
1人ここにいる
空と太陽の下で
私と牛と羊
その先を知ることはできない
予測できない未来に
動揺する心は
まさに孤独そのもの
かつて愛したものとの不意な出会い
対峙するのはひとりぼっちの私
だけど恐怖より
ほんの少し勝る 好奇心が
いつだって道を切り開く
遠くにみえる人影
安堵に
心が溶けていく
青い大地はそのままに
美しく時は刻まれていく


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二週間弱、イギリスを旅してきました。
 ロンドンを中心に、ロンドン近郊の町や観光名所にいき、最後はエディンバラまで飛行機で移動したりと、なかなかハードスケジュールを組んでしまいましたが、おかげでロンドン以外のイギリスの田舎の風景が見れてとてもよかったです。
 写真は、詩の題名の通り「Seven Sisters」と呼ばれるロンドンの南に位置する海岸を撮影したものです。真っ白の絶壁は、チョークの原料として使われていたことからも分かるように、とても柔らかい地質のため、海に簡単に削られてしまします。1年に40㎝近く後退しているとか。
 崖の白は、太陽の光が当たると真っ白に見え、意外にも透明度の高い水色の海とのコントラストが最高に美しかったです。この崖に向かうには、ロンドンから電車で一時間ほど移動してから、バスに乗り換え、さらにバス停を降りた先にある小さな町を横断して15分ほど歩く必要があります。もっとも、私は、バス停を一駅間違えて降りてしまったため、町中を歩くことができず、ただひたすら続く牧場(草原)のなかを歩くはめに。軽装できてしまったことをすぐに後悔しました。
 ちなみに、牧場は私有地でしたが、ハイキング客のために一部開放されていました。入口の看板には轍の道だけを歩くようにとの指示があったのですが、轍の道が消えてしまっていて、芝刈り機でつけたような薄い消え入りそうなタイヤの跡を追って歩かなければなりませんでした。グーグルマップも不安定で(確実に道ではない場所にいました笑)、本当にSeven Sistersまでたどり着けるのか大きな不安を抱きつつ、羊たちや牛が、不審者を見つめるなか、大量に落ちている糞を踏まないように、消えかけのタイヤの跡を必死で追いかけました。なので、実際には、美しい牧草地をゆっくり見ながら歩くというような優雅な道のりでは決してありませんでした笑。
 そうこうするうちに、反対側からハイカーたちがやってきて、このまま真っすぐ進めば、国立公園があってトイレやカフェがありアイスも食べれるよとの情報をもらい、ひとまず安堵しました。そこからは、意気揚々と足取りも軽く、糞を踏まないようにだけを気を付けて、目的地まで向かいました。バス停からは、40分位歩いたのでしょうか。
 復路は、通常のルートである町中の道を通って帰りました。結論としては、最初に牧草地のなかを歩けてよかったと思いまいした。私が歩いた牧草地は、崖になっていて、その崖の下に町が位置していたので、景色がまったく違ったことや、丘が連なったイギリスらしい牧草地の風景を楽しむことができたこと、そして何より、苦労して辿り着いたときの感覚(不安、孤独感、そこからの解放)を味わうことができたことが、Seven Sistersの絶景をより特別なものにしてくれたように思います。
 もし次にチャンスがあるななら、泊りがけで滞在し、ハイキング装備をしっかりして、糞に気をとられずに歩き回りたい。。

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