給付金がパンとサーカスにならないために
前提
この記事では以下のことを前提とします。
非常時には国家が困窮者を経済的に支援する必要がある
「非常時に行われる経済的支援」が国富を減少させてはならない
1と2が守られることによって、「給付金を多く配れば配るほど選挙で有利になり結果として国富が損なわれる」ことを防ぐことができると考えます。また、これらの是非については措くこととします。
案1 財源として支援対象以外に特別税を課す
この案の目的は、「各人が給付金の総額の増加で得る金銭」の期待値を0とすることで、給付金の無制限な増額を求める投票行動を抑制することです。この案は国庫や通貨流通量に直接的な影響を及ぼさないという長所を持ちますが、一方で「長期的に受給できるであろう給付金」の期待値がプラスになる国民が過半数を超える可能性があるという短所を持ちます。
案2 各人の受給額の期待値が0になるように特別税を課す
この案は1の長所をそのままに短所を抑えたものです。しかしながら、「ほぼ確実に給付金を受給しないであろう富裕層」への特別税課税額が小さくなり逆進性をもつ点、そして自然災害が発生する確率を算出することが困難であるという点が欠点です。
案3 過度な給付金が国富を減少させることを過半数の国民が認識する
理想です。しかし歴史的に長期にわたってこれが成功したことはありません。
案4 給付の要件を予め定めておく
この案の目的は、「生存権に関するプログラム規定説」のような恣意的になりうる判断を禁止することで給付額と選挙結果の結びつきを弱めることです。しかしながら、案4を定めた法律そのものが改正されうるということと、需要に合わない支援が行われる可能性があることが短所です。
終わりに
私としては案3が既に達成されていることを祈るばかりです。
加筆訂正
(加筆訂正なし)