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ここではないどこかへ
どこにも居場所がなかった。
全部上の空。
ここでヘラヘラペコペコしている自分は自分じゃなくて、ただのAIだった。今流行りの。
ふと窓から外をみて、逃げ出したくなったから逃げた。私がわたしじゃなくなる前に。
でも逃げたところで何になる?特別な、他人より秀でたものなんてひとつもないことを思い出した。
でも私、死にたくない。
好きなものは好きって言いたいし、大切にするべきものを大切にしたい。
いつか死んでしまって、今感じている匂いも目の前のキラキラもかわいいフリフリのスカートも、くだらないなんて思いたくない。
でもいつかきっと、そう思う日がくる。
だからといって結局何も動けないことに絶望して、早く死にたい早く死にたいの渦にのみ込まれて涙を流す、そんなことしても何も変わらないのにね。
眠い目を擦りながら今日も黒い髪の毛に絶望し、少しずつ少しずつ殺されてくる。