ポケモンカードアプリ(ポケポケ)の初動分析
「Pokémon Trading Card Game Pocket」、通称ポケモンカードアプリ(ポケポケ)が、リリースされました。
株式会社ポケモンとDeNA、クリーチャーズが共同開発したゲームですが、リリース前から期待度も高く、リリース後もApp Storeの売上ランキングでも首位を独走しており大きな話題になっています。また、XなどのSNS上でも「どんなカードをゲットしたか」の開封報告や、バトルでのデッキ編成など様々な話題で盛り上がっています。
ポケポケがリリースされて約10日。SNS上ではどんな話題で盛り上がっていたのか、初動分析を行ってみました。
X上のポスト数の推移
まず、X上でのポスト数の推移を見てみましょう。
Xのポストの中にはプロモーション、例えばリリース時にリポストするとゲーム内インセンティブがもらえるキャンペーンなども含まれております。これがノイズとなります(上記グラフの青い破線がプロモーションポストを含んだポスト数)。赤い実線のグラフは、ノイズを除いたポスト数です。
リリースされて10日以上経過した現在でも、毎日10,000件前後ポストされています。これはエンターテインメントコンテンツとしては非常に大きい数値となっており、SNS上でも非常に盛り上がっている、と言えるでしょう。
ポスト内容のラベル分類
では、みなさんどんな内容をポストしているのでしょうか。
弊社では、「AIによるテキストコメントのラベル分類」手法を開発しており、それを使ってXにポストされている内容を分析してみました。どういったラベルを付与するべきか、はコンテンツによって異なるので、今回は以下のようなラベルを用意しました。
ラベルは以下のようなものを用意しています。また、リリースキャンペーンなどプロモーション目的のポストに関しては「プロモーション」ラベルを追加します。
アプリゲームコンテンツに対して良く使われる用語
「攻略」「課金」「操作性」「フレンド募集」「開封報告」などエンターテインメントコンテンツ(アニメ・ゲームなど)に対して良く使われる用語
「感想」「キャラクター」「二次創作」「グッズ」「原作」など
リリースから今日現在まででポストされた内容の内訳は以下の様になっています。
5%満たないラベルについては「その他」に包含しています。
最も割合が多いのは「プロモーション」で26.7%、続いて「フレンド募集」「開封報告」といった内容のポストが目立ちます。「バトル攻略」についても一定割合話題に上がっていることがわかります。
ポスト内容の日毎の推移
では、リリースされてからこれらの話題はどのように変わっていったのでしょうか。「フレンド募集」「開封報告」「感想」「バトル攻略」ラベルに絞って、内訳の推移を日毎に見ていきます。
リリース直後の半数以上は「フレンド募集」のポストでした。そこから徐々に割合は減っていき、直近では20%弱となっています。
「開封報告」のポストは徐々に割合が増え、直近では30%程度。カードコレクションを楽しんでいるユーザーがポストしているのではないか、と推察されます。
また、「バトル攻略」のポストもリリース直後は少なかったですが、直近では25%程度と大きく割合を増やしています。カードによる対戦はこのゲームの醍醐味でもあるので、それを楽しんでいるユーザーさんも盛り上がっていることがわかります。
「コア層」と「ライト層」の共存
速報値的な分析ではありますが、興味深い傾向が見えてきました。
ポケポケに関しては、カードバトルを楽しむ「コア層」と、カードのコレクション要素を楽しむ「ライト層」が共存している状況が確認できます。通常、リリース後の時間経過とともに「開封報告」のようなポストは減少し、新キャラクター登場の際に再び盛り上がる傾向があります。しかし、リリースから10日以上経過した現時点でも「開封報告」のポストが勢いを保っている事実は、開封行動そのものがゲームの楽しみとして、カードバトルが難しいと感じているユーザーにも広く浸透している証と言えるでしょう。結果として、ポケポケは「コアなゲームユーザーも、ライトなゲームユーザーも、どちらも楽しめるコンテンツ」となっている、と言えるかもしれません。
アプリゲームの分野では、ユーザー行動を分析する際に内部データが頻繁に活用され、多様な指標が定量的に集計されています。しかし、XのようなSNSでのポスト傾向を通じて、内部データだけでは捉えにくいユーザーの感情や熱意を直接的に把握することも可能です。今回の分析からは、バトル要素を楽しむユーザーも、カードコレクションを楽しむユーザーも、SNS上で活発に盛り上がっている様子が確認できました。「ポケポケ」の快進撃はまだまだ続きそうです。
リーン・ニシカタでは、ゲームコンテンツだけでなく、あらゆるコンテンツのデータ分析を行っています。今回の内容に限らず、データ分析で気になることがございましたら、ぜひお問い合わせいただけると幸いです。