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駄菓子屋を支えるプロダクトマネジメント 〜 「かるちべ堂」1ヶ月の振り返り 〜

2024年8月1日、駄菓子屋「かるちべ堂」をめでたくオープンしました!

こんにちは!

株式会社 cultivate 代表取締役 エンジニア
駄菓子屋「Quiz & Snack かるちべ堂」店主
株式会社チッピー プロダクトマネージャ

の、永嶋です。最近は 駄菓子屋PM として活動しております。

は???

ってなってる方も多いかもしれないですが、今日は、かるちべ堂のオープンしてから1ヶ月の話をさせてください。

前回の note はこれです。もう5ヶ月前・・・!

いろんな方に方々から「いつ始めるんだ」「はやくしろよ?」と言われて数ヶ月、ようやく 8月1日 にかるちべ堂をオープンすることができました!!!

オープン直後のお菓子棚。少しずつ増やしていくぞ

お店をオープンし運営することそのものが大変(なにしろ、全てが初めてです)なのですが、並行して、相変わらず、プロダクトマネジメント業を続けてます。スラッシュキャリアです。自分でもアホな生き方をしているなぁと思っていますが、この生き方が性に合っていますし、そんな働き方をさせてもらっている家族をはじめとした、周りの人たちに感謝しかないです。

この「かるちべ堂」はなんなのかと問われればいわゆる「駄菓子屋」なのですが、じゃあなぜ、一介のプロダクトマネージャがなぜ突然リアル店舗を作ろうとしたのか?はこちらをご覧ください。

かるちべ堂をオープンしてから、本来は速報的に「オープンしたよー!!」と高らかに宣言 note をリリースすべきところですが、なにしろ初めての「お商売」というもの。わからないことだらけでしたし、相当バタバタしていたので、速報として note を書くよりは、1ヶ月経って、少し落ち着いたところで、振り返りも含めて、書いてみようと思ったのでした。

なお

「駄菓子屋店主としてのお店の経営に関する日々の葛藤やドタバタ」は、サポーター向けのメルマガや Discord などで発信していますので、本日この note では「プロダクトマネージャ」として、プロダクト「かるちべ堂」を振り返っていきたいと思います。(意訳:ぜひサポーターになってください!)


なぜ「かるちべ堂」をやっているのか

note を書いてからこの数ヶ月、旧知の友人や初めましての方など多くの人にお会いしましたが、「なぜ駄菓子屋?」はほぼ100%、みんなに聞かれます。自分がこれまで作ってきたプロダクトで、企画や出来上がったプロダクトに対しての良し悪しを言われることはあっても「なぜ?」をここまで問われたことはいまだかつてないかもしれません。「なぜ?」と聞かれて、聞いてくれた人との関係性も考えながら答えを組み立て、そのフィードバックをもらう時ほど、プロダクトマネージャとして気持ちのよい時間はないかもしれません。

きっかけについては前回 note に詳しく書いています。

サマると

  • 「ホルーペ」を伸ばすための新規チャネルとしてのリアル店舗事業の挑戦

  • 資本主義モデルにとらわれない経営手法による持続可能なローカル店舗経営の挑戦

になります。

地域の人に聞かれた時には、

  • 子供たちの居場所づくり

みたいに答えるときもあります。もちろんそれは嘘偽りなく、当然目的の一つではあるのですが、まずは自分が欲しいと考え、楽しめる場所を作り、それをお客さんであるところの子供達や保護者、地域の方々にも喜んでいただく、という順番です。

かるちべ堂コンセプトイメージ

ホルーペの課題

さて、ホルーペというプロダクトがあります。

株式会社 cultivate は、この ホルーペ を通じて子どもの興味を広げる、というミッションで活動でしています。始めにAndroid版をリリースしたのは2022年9月。そしてiOS版が2023年2月。リリース直後はそれなりに遊んでもらいました。

これは現在どうなのか?という話をしますと、利用者数だけ見ると、正直、成功しているとは言い難いです。

これはやる前からある程度は想像できていたところもあって、子供向けのスマホ知育ゲームというものの難しさを痛感しています。やり始めも難しいのですが、なにしろ継続して使ってもらうのが難しい。

構造としてはこうです。

まず、我々がプロダクトの想いを発信します。
→その想いに共感し、プロダクトを手に取ってくれる親御さんがいます。
→そして、その親御さんが「このアプリやってみなよ」と子供に自分のスマホを渡します。
→そこで子供がそのアプリに興味を持ちます。
→結果、遊んでみて「楽しい」と思ってくれます。

まずここまでで、かなりステップが深いことがわかります。

そんなタイミングよくニーズが重なることは稀です。
とはいえ、直接想いを伝えると、まず興味を持って手に取ってくれる人自体はいるにはいて、初回ダウンロードと、初回利用時のクイズ回答数はそんなに悪くない、とは思っています。

問題は継続利用です。これはかなり難しい。

例えば、子供が「またやりたい!」と言います。
そのタイミングで親御さんが、スマホを渡してよい状態であれば渡します。

または、親御さんが「またホルーペやってみなよ」と言います。
そのときに子供が「またやりたい」と思える状態であったとします。

このどちらかの条件が重ならない限り、2回目の利用が発生しません。子供がやりたいタイミングで親御さんがスマホを渡してもよい状態であることは稀ですし、親御さんが子供にやらせたいタイミングで子供がホルーペ気分なことも多くないでしょう。

これは利用ログとして明確に出ていて、恥ずかしながら、2回目利用率が非常に低い、という残酷なデータが出ています。

2回目に使ってくれない課題として2つの仮説があります。

① そもそもクイズというソリューションが間違っている
② スマホアプリというインタフェースが間違っている

それぞれ掘り下げていきます。

「クイズを通じて興味を広げる」という前提について

「① そもそもクイズというソリューションが間違っている」 説について。

実は子供はクイズなんてやらないのではないか?
クイズで興味を広げることなんてできないのではないか?

これは、あるていど感触を掴んでいて

  • 小学校で開催したクイズ大会

  • かるちべ堂で実際に遊んでいる子供達の反応

から、この部分は大きく外してはいないなと、感じているところです。

クイズ大会については以前の note でも書きました。スマホ版ホルーペとは別の、チーム対戦のクイズ大会形式ホルーペを作ったところ、大盛り上がりだったのです。子供はクイズが好き。そして本気になれる。課題はUXであり、ソリューション自体は間違ってなさそう。

また、話が前後してしまいますが、オープン後、かるちべ堂で実際に遊んでくれている様子を見ても、反応がポジティブであることがわかります。

もちろん、ゲームとしての仕掛けやUIなど、改善すべきことはたくさんあり、今すぐにでも直したい部分はたくさんあります。でも、ここはプロダクトマネジメント。今は細かい改善を繰り返すフェーズなのか、本質的な課題を解決して、大きく伸ばすべきなのか、判断が迫られる部分です。我々は大きく伸ばす選択をします。

まだしばらくここについては掘っていくつもりです。

「当たり前の体験」の重要性

「② スマホアプリというインタフェースが間違っている」説について。

ファネルを改善するためには以下の2つの方法があると思います

1. 各ステップの率を上げる
2. ステップを減らす(スキップする)

率を上げるための施策はいくつかやってみましたが、結論としては、①でも書いたとおり、プロダクトのありかたを見直し、抜本的にステップを減らすことが重要であると考えました。

重要なのは

  • 子供たちだけでアクセスできるソリューションであること

  • 日常の動線上に当たり前に存在するインタフェースであること

そこから作るべきものは「駄菓子屋」という仮説に辿り着きます。

駄菓子屋を作ることで子供たちが子供たちだけで集まる状況を作り、そこに、UXを再定義したホルーペを店舗用を提供して、もともと実現したかった世界を実現していきます。

実際どうだったのか

実は店舗の開店準備や開店後の運用改善に追われ、まだ「ホルーペ店内版」はできてません><一旦、大きめのディスプレイを設置し、スマホ版ホルーペをつないで、とりあえず遊べる状態にしてあります。

ただ置いてるだけ

これが予想通りというか、予想外というか、「結構遊んでくれる」んです。

そしてその結果のグラフがこれです。赤裸々。

かなり赤裸々なグラフ

ただ置いているだけで、特に「遊んでー!」とアナウンスしているわけではないのですが、来てくれた子供たちの結構な割合で、ホルーペに興味を持つか、遊んでくれて、常に誰かしらが遊んでくれている状態になっていたりします。その結果として、iOSリリース直後のピークで使ってくれていた時と同じレベルで1店舗で稼働している状況になっています。累計回答数の増え方も、急激に改善しました。

これまでは、自分の子供か、ログ上でしか遊ばれている様子が見えなかったのが、自分が運営しているお店で、リアルタイムに子供たちが興味をもち、触り、遊び続け、フィードバックしている様子が見えるのです。プロダクトマネージャとして、これ以上理想的な環境があるでしょうか。

あと、さらに嬉しいことに(ちょっぴり期待はしていただけど)アプリのダウンロードが増えました。お店で遊んでくれた子が、家でダウンロードして、遊んでくれているみたいです。

店舗があることによって、子供たちの当たり前の導線上に当たり前に存在するホルーペが、ようやく遊ばれるようになってきました。苦労して駄菓子屋を作った甲斐があったというものです。

今後の目論見

今後の計画について、一旦短期の目標だけお話しします。

直近、以下の対応を進めています。

  • 会員証の運用開始

  • 店内版ホルーペのリリース

  • スマホ版ホルーペのリニューアル

です!

かるちべ堂では、クイズを解くことでスタンプをもらえて、それがお菓子になる、という一連の体験を作っています。そのための会員証(かるちべかあど)を準備していて、一部運用を始めています。でも、子供ってすぐカードなくしたり持ってくるの忘れたりして、結構難しいなと悩みはつきません。

このプロダクトのキモである、店内版ホルーペを現在開発中です。デモ版は一旦動いていて、先日かるちべ堂でサポーターミートアップを開催したときにお見せしたときに、いろいろフィードバックをいただき、改善を行なっているところです。寒くなる前にはリリースしたいと思っています。

そして、スマホ版のリニューアルです。会員証と店舗版ホルーペが連動し、さらにその会員情報がスマホ版と連動する。一体化した体験で、オンラインとオフラインの「興味のOMO」が実現できるように、、、なるかもしれません。

説明資料に昔から入れてる挿絵

日々の営業(ともう一つのPM業)に追われて毎日が光の速さで過ぎ去っていきますが、かるちべ堂というプロダクトを引き続き、プロダクトマネジメントしていきたいと考えています!

こんな世界が・・・できる?

さいごに

株式会社 cultivate および かるちべ堂 のウェブサイトをリニューアルしました!(ホルーペも)

みなさんの応援の気持ちで実現できる駄菓子屋ですので、かるちべ堂サポーターを引き続き、絶賛大募集中です!

サポーターはただの支援者ではなくこのコミュニティの重要な登場人物の1人

こちらもぜひ、よろしくおねがいします!


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