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儚いもの


なぜ儚いものばかりが 美しく見えるのだろう


ある曲の、深く心に響いたワンフレーズ。
これを聴いて、私のなかで色んな思いが巡った。


今好きな推しは、儚さをいつも身に纏っている。

でも、そんな見た目とは裏腹に
強くて芯があって、ストイックで一生懸命…
考え方や言葉が素敵。
クールに見えるけど、愛情が深い。

弱い私からしたら、
強くて格好良くてたらないのだ。
尊敬してしまう。

けれど一方で、
彼には陰みたいなものを感じられるし、
本当は寂しがりや。
真面目で責任感が強くて、
抱えているものの大きさも計りしれない。
それゆえに急に消えてしまうんじゃないか…と
たまにふと、考えてしまう。


思えば、私はずっとそんな人ばかり
好きになってきた。


かつて、大好きだった推しがいた。
それもかなり長い間。
彼はいつも他人に優しくて、愛に溢れていた。
そしていつもどこか寂しそうで、彼自身も
愛されることを強く望んでいるように見えた。
儚くて危うくて、心配になるようなところがある人だった。陰があるというか。

でも全て含めて大好きで、
これ以上の人はいないと感じていた。
何にも代えがたい安心感と優しさに
包まれているような感覚で、何というか…
まるで神様みたいな存在だったのだ。
ずっと好きでいられる自信があった。
当時の私は、この人がいないと生きていけないと
本気で思っていた。


けれど結局、もう何年目かというところで
彼に対して完全に冷めてしまった。
(色々理由はあったが、それは言わないでおく。)


そして今、
私は彼がいなくても生きていけている。
その経験を経て、「永遠」はないんだと
身をもって知ることになった。
昔は永遠を信じていた気がする。
いや、信じたかっただけなのかもしれない。



いつか、その彼が言っていた。

'永遠'というのは信じてないけど、
雨が降るとき一緒に落ちる'記憶'だけは
否定できない'永遠'かもね…

これは多分本当だ。

永遠はない。
けれど確かに記憶は残っている。
忘れたくない、大切なあたたかい記憶がある。
たくさんの愛や想いは、
簡単になかったことにはできないのだ。
それだけは永遠なのかもしれない。

結局、私の愛した時間は
儚く散ってしまったけれど。



冒頭にあげた曲を聴いていて、
ふとその彼のことを思い出した。


今好きな彼も、
いつまでこのままでいられるかは分からない。
終わりがいつ来るか、知ることはできない。
いくら変わらないことを願っていても。

だからせめて、この今だけでも…
好きでいたい。



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