子宮頸がん検診に、新たな選択肢としてHPV検査が加わるようです
8月9日開催の「がん検診のあり方検討会」を傍聴しました。資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
今回の議題は、
(1)子宮頸がん検診におけるHPV 検査単独法の導入について
(2)超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)の進捗状況について
●子宮頸がん検診におけるHPV 検査単独法の導入
最新の子宮頸がん検診のガイドライン(2019年度)において、「HPV検査単独法」は30〜60歳において、推奨グレードAと示されていることに加え、 現行の細胞診単独法と比べて検診間隔を延長することが可能と示されました。
こうしたエビデンスをもとに、自治体、検診対象者のメリットが提示されました。
こうしたエビデンスとメリットから、事務局から、30、35、40、45、50、55、60歳の5年間隔でのHPV検査単独法が示されました。
検診結果が(-)の場合は、5年ごとに検診。
(+)の場合は、細胞診を実施し、異常があれば確定精検に。
細胞診で異常がなければ、1年後HPV検査を実施し、(-)の場合は通常の検診間隔に。(+)の場合は細胞診を実施。HPV検査が(+)の場合は1年間隔で検診を実施する、というのが研究班において作成された、HPV検査単独法の日本版アルゴリズム(案)です(下記画像参照)。
ちなみに、
そうです。これは素晴らしいですね。
ただ、HPV検査導入には、自治体の実施体制の整備についてかなり厳しい要件となるため、導入する自治体はそれほど多くないのでは、という発言もありました(HPV検査導入の対応策 下記画像参照)。
●検診の新たなステージになるのか
事務局からは、胃がん検診に「胃内視鏡検査」が加わったとのと同様のイメージという説明もありました(私もそんな感じかなあと思って聴いていました)。
そんな中、松田構成員から、対策型検診として、これまでとは大きく変わることになる。違いとして、一つは、精検を検診のフレームワークの中で実施すること、二つ目は検診結果に応じた情報提供を受診者へ伝える必要があること、を挙げられていました。なるほど、確かに、大きな変化であることを認識しました。
その他にも、構成員から
○20代の今までの細胞診による検診は実施するのか(→事務局Yes)、
○65歳以上の検診は、細胞診のみにするのか(→事務局Yes)、
○転入者、前年度未受診者への対応は(→事務局 現状は転入者の受診状況がわからないので受診勧奨、未受診者には受診勧奨)、
○HPVを受けて受診の対象外になった人(HPV陰性など)が、受診を希望する場合の対応は(→事務局対策型健診としては対象外なので自費)
などの質問が出ていました。
また、今後の日程として、HPV検査の導入に当たって必要な実施体制や対象者の定義等を指針及びガイドライン等において定めることとし、この改正および作成を、今年度中にと事務局から提案がありました。ただし、がん検診導入への具体的な日程はまだ明示されていません。
●超音波検査による乳がん検診の有効性
現状では、有効性証明されているのはマンモグラフィのみで、超音波単独法については科学的根拠がなく、現状では議論にあがっていないとのこと。マンモグラフィと超音波検査の併用は、有効性及び利益と不利益を評価するための研究が現在進行形で研究(J-START)がされています。
研究成果の現時点の報告については、理解が足りず。併用することで、超音波検査の特長から、どのような対象者が死亡率の低下が見込めるのか、検査の精度や対象者の負担があるかなどを研究しているという感じでしょうか。詳細は資料をご参照ください。
資料2「超音波検査による乳がん検診の 有効性を検証する比較試験 (J-START)の進捗状況について」
●がん検診の理解のための資材
最後に「がん検診の利益・不利益の適切な情報提供の方法の確立に資する研究」班からの情報提供資材一覧の紹介がありました。専門家向けのものが多いですが、検診対象者向けのものもあります。資料3-1〜6 ご参考まで。
参考資料3-6「参考資料3-4の資材を基にした検診対象者向けリーフレット」
以上、遅くなりましたがご報告まで。