職域のがん検診の法制化は可能なのか? (ところで子宮頸がん検診にHPV検査単独法が導入されたのはご存じでしたか)
7月4日開催の「第42回がん検診のあり方に関する検討会」を傍聴しました。
(1)対策型検診の項目の導入に係るプロセスについて
(1)の内容は、がん検診の変更についてのプロセスを明文化していく、ということのようです。
ちなみに対策型検診とは、「対象集団におけるがん死亡率の減少を目的として、予防対策として行われる、公共的な医療サービスであり、限られた資源の中で、利益と不利益のバランスを考慮し、集団にとっての利益を最大化するもの」を言います(がん情報サービスサイトより一部引用)。
コチラの説明資料で、子宮頸がん検診の改正について、知りました。
令和6年2月に「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が改正されていて、令和6年度から、子宮頸がん検診の検査の一つとして、HPV検査単独法(30歳以上に対し5年に1回 ※実施体制が整った自治体で選択可能)が導入されていたんですね。情報を落としていました。導入の経緯など、追っておらず……。
(2)職域におけるがん検診の現状と課題について
とされています。
今回は、がん検診を先駆的に職域として導入している、野村證券さんの発表。
被保険者・被扶養者への受診勧奨、webによる管理体制、人間ドック休暇、精密検査対象者へのフォローなど。どれもよく考えられた制度設計がされており、さすが、大企業は違うと感じました。
資料2-2 野村証券におけるがん検診について(河野参考人提出資料[PDF形式:1.8MB]
ただ、複数の構成員からは、こんな優秀な企業でさえ、実施検査項目や回数、検診補助対象者など、国のマニュアルの基準と違うことへの指摘がありました(20年近くこの内容で実施していて、急には変えられないとのこと。今まで受診できた対象がそうでなくなるとマイナスの印象になってしまいそうだからでしょうか…)。
他にも、職域でのがん検診全体のの課題として、個人情報保護の観点から、本人の同意をとらないと精密検査受診への勧奨ができないこと、職域での検診の受診率などは国のデータとして把握できないこと、受診勧奨への強さなどが挙げられ、こうした課題を解決するには、やはり目指すところは、職域でのがん検診の「法制化」である、という意見が強く出ていました。事業者側としては、最初は負担増加と感じられるかもしれないが、マニュアルに忠実な検診の実施は、実はコストは下がるという話も出ていました。
(3)「がん検診事業のあり方について」の見直しについて
見直しについて、定期的に行うことの重要性が示され、がん基本法に合わせて行ってはどうかという意見が出されていました。
また、がん検診の項目について検証が必要であり、例えば導入されてから8年経つのに、胃がん内視鏡検査について、4割の自治体が導入できていない理由など検証して、対応を考えていくべき。検査項目についても、例えば胃がんの罹患率が減っていくなど必要性が減れば、追加だけでなく減らすことなどの見直しの検討をしていくことが重要との意見も出ていました。
以上、取り急ぎのご報告まで。