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地域・職域連携推進事業を活用して、「健康づくりのプラットフォーム」を

「令和5年度地域・職域連携推進関係者会議」のYouTube配信を傍聴しました。
資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35638.html

●地域・職域連携とは

地域職域連携推進とはなんぞや? については、厚労省サイトにて概要をご覧ください。↓↓↓

地域・職域連携とは、ざっくり言ってしまうと、住民の住む自治体(地域保健)と、働く人の職場(職域保健)とで、それぞれが持っている健康情報の共有をスタートとして、地域の健康課題を見つけて、さまざまな団体が連携して、みんなでいっしょに地域全体の健康づくりを進めていきましょう、という取組です。
(←あくまで私のイメージです)。

こう書くと、「縦割り」の部分を打破するよい取組ではと感じます。
ただ、これはとても難しいことでもあります。

今回の会議でも、行政側として、厚労省も健康課、労働衛生課、医療費適正化対策推進室の三課の方から説明がありました。それぞれ、地域の健康づくりに関連のある、今年度の新規政策・事業内容、医療保険(特定健診等)や労働安全の変更点、活用してもらいたい補助金などを、それぞれの視点から説明していただきました。
詳細は下記のそれぞれの資料をご参照ください。

【午前】行政説明、講演

つまり、地域・職域連携は、その名の通り「連携」が大切で、どの分野もかかわりがあり、一つの部署ではおさまらない事業です。ただ、連携がうまくいくと、地域の抱える健康課題に対して、とても効果・効率的な事業となりそうです。

地域・職域連携のメリット
●効果的・効率的な保健事業の実施
(1)地域及び職域が保有する健康に関する情報を共有・活用することにより、地域全体の健康課題をより明確に把握することが可能となる。
(2)保健サービスの量的な拡大により対象者が自分に合ったサービスを選択し、受けることができる。
(3)保健サービスのアプローチルートの拡大に繋がり、対象者が保健サービスにアクセスしやすくなる。
(4)地域・職域で提供する保健サービスの方向性の一致を図ることが可能となる。
●これまで支援が不十分だった層への対応
(1)働き方の変化やライフイベント等に柔軟に対応できる体制の構築により、生涯を通じた継続的な健康支援を実施することが可能となる。
(2)被扶養者等既存の制度では対応が十分ではない層へのアプローチが可能となる。
(3)小規模事業場(自営業者等も含む)等へのアプローチが可能となり、労働者の健康保持増進が図られる。

(資料2_P10より引用)

どうでしょう?  こうしてメリットを読むと「あるあるの地域の健康課題」に役立ちそうに感じますよね。

●地域・職域連携について新しい視点や具体的な内容〜古井祐司先生から

厚労省の行政説明後は、古井祐司先生からご講演で、地域・職域連携について、新しい視点や具体的な部分を含めたお話がありました。

○地域・職域連携により、今まで地域保健からアプローチしにくかった対象者(働き盛り世代)にアプローチが可能。これにより切れ目のない健康支援が可能になる。
○地域・職域連携において、自治体がキャプテン。地域・職域連携推進会議などで、健康増進計画から目標を明確にして協力してもらう。
○協議会の参加団体は、健康課題の可視化(保険者)、健康経営の推進(商工会議所)、サービスの提供(健診・医療機関、産保センター、地元メディアなど)などのそれぞれの本業を対応した役割により体制をつくっていく。
○職域の連携のためには、評価指標は生活改善率など、なるべく効果が出やすいものが受け入れやすい。
○連携の声がけとして「本業を活かせる」「主体的にかかわれる」など本業との接点のあるものを提案する。
○協議会の下に「実務者によるワーキングチーム」を作るのも連携につながりやすい。
○はじめから地域全体でなく、カテゴリー分けをして小さな成功事例、先行事例を作ることからはじめる。例えば、協議会参加をしている商工会議所の役員の事業所に健康経営を進めてもらい、そこから同業他社に展開する。
○健康法人の認定の審査員などに、関係者に入ってもらうと連携が進みやすい。
○大規模の自治体は庁外社会資源、大規模の自治体は庁内社会資源の活用から。
○高齢者が多く働いている小規模事業所に対して、高齢者の健康リスクからアプローチする。
○職域には、生活習慣病だけでなく、メンタルヘルスからアプローチするのもひとつ。
○俗に言われる無関心層は、実は9割は関心があるが生活が多忙で健康は二の次になっている。毎日の生活の中に寄り添う、日常生活の動線の中の社会資源に健康づくりをビルトインすることが重要。例えば、社員食堂の活用はとても効果的。
○小学校では保健の授業で生活習慣病を教えることになっている。こどもがいる世代には、こどもからのアプローチも。
○重症化予防事業の受診勧奨対象となるハイリスク者は、健康以外にも問題を抱えていることがある(例、ゴミ出し)ので、自治体として他の生活支援につなげることも大切(例、生活保護)。
(上記は、思い出したもの順なのでつながりがなく順不同です。スミマセン)。

こうして書き出してみると、大きな視点と具体的な視点とあり、事業の進捗も大きくPDCAを回すものと、小さく確実に回す必要があるものがありそうです。そこが難しいところなのかもです。

●地域の実情にもパターンがある

他にも、この事業の特徴でもあり、難しさの一つにもなっている「地域の実情」について、古井先生は「地域それぞれ特有の状況はあるが、事業として何万種類も違いがあるのではなく、ある程度パターンがある」とのこと。そうした意味でも午後の好事例の発表は、ぴったり一致しなくても、あるパターンから取り入れられる点を見出すものとして参考になったのではと思います。
ちなみに午後の発表は、都道府県、二次医療圏、保険者、都道府県労働局それぞれの担当者からでした。

【午後】シンポジウム

●地域の健康づくりの相談の場に

最後に、古井先生からは、職場において「肥満は伝染する!」と言われ、「職場の環境や同僚の生活習慣が個々の意識や行動に影響を与えている可能性がある」ことや、健康度が高い集団は低い集団より、加齢による悪化速度が遅いことなど、環境が個々の健康状況に影響する研究の紹介がされ、環境の重要性を強くお伝えいただきました。
だからこそ、地域・職域連携推進協議会が、地域の健康づくりのプラットフォームとなることが重要では、と。そして、古井先生曰く「この場(協議会)に、自分たちが抱える健康課題について相談すれば、どうにかなるという場にしてくことが大切」という言葉に、ほんとうにそうなればいいなあと思いつつ、聞いておりました。

以上、今回もざっくりですがご報告まで。

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