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内閣府SIP「ママもまんなか」プロジェクトをご存じですか?
8月28日開催された記者発表会に行ってきました。
このプロジェクトは、内閣府戦略的イノベーション創造プロジェクト(以降、SIP)における14課題の一つである「包摂性コミュニティプラットフォームの構築」の取組の一つになります。これらをプログラムディレクターとしてまとめているのが、久野譜也先生(筑波大学教授)です。
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「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/sip_3/keikaku/03_community.pdf
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久野先生からの説明では、SIPが目指すものとして、社会の課題を解決するものを研究だけでなく、制度化やビジネスの形成など、社会に実装すること。SIPは、今までは「科学技術」のテーマが多かったが、それだけは解決できないということで、人の人の関係、コミュニティの問題を解決する「社会技術」がテーマとなったそうです。
そして、このプロジェクトの土台となる「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」のミッションについてお話しいただきました。
本ミッション
一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の最大化の実現、そのために必要な多様性への理解促進など、包摂的なコミュニティを実現するために、各世代の寛容性・自律性を高めるサービス(社会変革できる技術)を開発し、社会で実装される仕組みを構築する。
包摂性とは英語で言うとインクルージョン(inclusion)。「誰一人取り残さない」ということば、最近よく耳にしますね(健康日本21第三次でもキーワードになっています)。
久野先生によると、「包摂性」を寛容性・自律性と分解して再定義し、これらを高めるサービス(社会技術)の実現を目指しています。
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そしてこのミッションを達成するために構成された4つのサブ課題が示されました。本プロジェクトは、「c-1 子育て世代の健幸革新(子育てが楽しい社会)」になります。
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久野先生からは、プロジェクトの背景(妊産婦の死亡原因の1位が自殺であることなどの現状分析、妊産婦へのアンケート結果等)や、具体的な取組内容などについてもお話しいただきました。
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その後、参加する自治体の首長からの意気込み、そしてYouTubeチャンネルに登場するアンバサダーから挨拶&トーク、オリジナルの体操や主題歌の生歌というプロジェクトスタートとして、そして多くの方へのPR活動として、華やかなものになりました。
ちなみに、アンバサダーとして、関根勤さん・麻里さん親子、ロバートの秋山竜次さん、小林よしひささん、野々村友紀子さん、普天間かおりさん、谷本有香さん、羽生祥子さんが紹介されました。
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このプロジェクトのコンセプトは、妊産婦の健幸の「自律」の向上と、子育てに「寛容」な社会環境の構築です。この課題のために具体的な取組がスタートします。
●取り組み1 「健幸スマイルスタジオ」
健幸スマイルスタジオの具体的な内容は、妊産婦の体力の回復と心のケアを目的に、運動30分、相談・交流30分の2つのコーナーで構成された教室です。何よりの特徴は、オンラインによる運営であり、全国どこからでも参加できること。妊産婦の参加しやすさの実現とともに、指導者の確保が難しい地域資源が少ない自治体へサポートにもなります。9月よりスタート予定とのことでした。
●取り組み2 「アンバサダーのYouTubeチャンネル」
ベビーカー移動や子どもの声を迷惑視する、保育所設置への反対運動など、子育てに不寛容な社会状況の改善のために、無関心層にもPRする活動して、YouTubeチャンネルを設置。発表会当日8月28日からスタート。
チェックしたところ、ロバートの秋山さんが新作ネタの動画など2本、今後は体操や育児情報などの動画もアップする予定とのことです。
ママもまんなか!スマイル健幸カフェ(YouTubeチャンネル)
他にも資料からは、健幸スマイルスタジオへの参加自治体以外にも、今後は職域からのアプローチが予定されていたり、また「ママパパウェルカムステッカー(仮)」の制作配布などの事業展開があるようです。
ママもまんなか子育て支援プロジェクト
公式ホームページ
https://mpup.jp/
●記者発表に先駆けて、8月21日に事前勉強会開催
多くの方へのPRがメインとなる発表会に先立ち、より詳細にプログラムについて解説いただいた事前勉強会が8月21日に開催されました。ここでは、
◯SIPの目指すものや特徴について
◯最新アンケート調査の狙い、結果と分析、そこから見える社会課題について。
◯上記の社会課題を受けた本プロジェクト(「ママもまんなか」プロジェクト)の概要、5ヵ年の戦略、計画、目標
◯質疑応答
といった内容で、より丁寧に、事業についてご説明いただきました。
自治体の妊産婦対象の事業はハイリスク者対応に追われポピュレーションアプローチが手薄になっていること、母親自身の健康づくりの重要性、痩せている女性の糖尿病の増加、働く女性はママになってからも地域コミュニティとの交流が少ないことなどの現状分析、そこからの事業展開や、事業の評価をどのように行なっていくかなど解説いただけ、とても充実したものでした。こうした事前勉強会というのはいいですね。