入浴介助時に急変し・・・

入浴時にシャワーを浴びていた利用者さんが突然意識を失った。
さっきまで会話できていたのに、自分でシャワーチェアーに移動できていたのに。
急に背もたれに寄りかかり、頭部は後屈し、脚が前方に投げ出された状態になった。
すぐさま脱衣所にあるベッドまで移動し、職員2人でベッドに移動させた。
顔の色は白っぽく、唇の色は紫がかっていた。
血圧が下がったのかなと思い、脚を高く挙げて様子を見ようとしたが、呼吸状態がおかしかった。
舌が奥に入り、上手に呼吸ができていなかった。
指で舌を押し出すと、しばらく呼吸していなかった時のようにびっくりした感じで息を吸った。
しかし、呼吸は続かずまた止まってしまった。
声かけへの反応がなくなった。
心肺停止!?
急いで近くにいる看護師を呼んでくるように指示を出し、心臓マッサージを開始した。
浴室や脱衣所には他の利用者さんが数名いたが、入浴介助を中止にし、服を着せて脱衣所の外に誘導してもらった。
その間も心臓マッサージをし、アンビュー(酸素を送り込むアイテム)で蘇生を試みた。
医師を呼び、AEDも持って来てと指示を出そうとしたが、AEDと言う言葉が出て来なく、電気ショックと言って他の職員に理解してもらい、届けてもらった。
濡れた身体をタオルで拭き、AEDのパッドを胸に貼り付けた。
AEDの機械から心電図を解析するため身体に触れないでと指示があった。
心電図解析中に医師が到着。状況を説明し、救急車を要請する指示を得た。
心電図の解析が終わり、心臓マッサージを再開するよう機械から指示が出たため、再度心臓マッサージを開始した。
マッサージの最中に他の職員に救急車を要請するよう指示し、事務所からも応援を呼ぶようにと伝えた。
相談員やケアマネ、事務員が現場に到着し、救急隊が入って来られるように準備をしてくれた。
救急車のサイレンかと思ったら、赤い車が施設の駐車場に入って来るのが見えた。
救急車ではなく消防車だった。
施設で心肺停止状態で救急要請をすると、救急車と消防車が両方来ることが度々あったが、珍しく消防車が救急車よりもかなり早く到着した。
私は心臓マッサージをしながら発見時の状況を救急隊に説明した。
トータルで10くらいは心臓マッサージをしていたと思うが、救命士が代わりましょうかと言ってくれたのでお願いした。
看護師もプロには違いないのだろうが、毎日やっているであろう救命士さんの方がいいかなと思った。
救命士さんが疲れた時に交代できるように、ベッドの逆位置に移動したが、他の救急隊員が挿管やルート確保(点滴)を始めたのでベッドから離れて様子を見ていた。
そのうち救急車も到着し、合わせて8名の救急隊員が蘇生や受け入れ先の病院探しに関わることとなった。
私が心臓マッサージを始めてから30分するかしないかくらいで受け入れ先の病院が決まったため、救急車へ移動することとなった。
他の看護師に病院への付き添いを依頼し、救急車へ同乗してもらった。
集まってくれた職員にお礼をし、入浴介助を再開するか介護リーダーに聞いたが、今日はもう終わりとし、別の日にすることとなった。
汗の処理をし、着替えて同行している看護師からの連絡を待った。
施設を出て1時間くらいした頃に電話があったが、残念ながらお亡くなりになったと報告を受けた。

さっきまで会話できていたのに、立って移動できていたのに、いつどうなるかはわからないものだ。

いつもは浴室のベッドで昼寝をしていたが、今日は浴室のベッドを使うのはやめようと思い、リネン庫の棚の空いてるスペースで休んだ。
と言っても、興奮冷めやらぬ状態のため眠れはしなかった。
明後日の夜勤の仮眠はどうするか。
今から寝る場所考えておかねば。

話が脱線しましたが、利用者さんは85歳くらいのおばあさん。特に心臓などに持病はなかった。原因は不明であるが、急変はいつどこでも起こりえます。
起きても大丈夫なようにしっかりと対応を復習しておきましょう。


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