記録 七月三十日
日記A面
市指定のゴミ袋に、当店のおすすめ!!とポップ書きをしているドラッグストアがある。
久々に前を通りがかったら、相も変わらずゴミ袋をおすすめしていた。それ、おすすめしなくても売れません?
などと。

日記B面
しばらく会っていないある人の日記を読んでいた。
自分が情けなくなるくらい、読み応えのある日記だった。彼が自分の足で外へ出て、目で見て、聞いて、感じて、葛藤して、考えて。その全てが詰まっていた。意思を持って、日々何かを掴みにいっている人なのだと思った。そういう人の文章には、心を動かされる力があった。もっと目を凝らして、耳を澄まして、自ら掴んでいけば、生活には、うつくしいもの、おもしろいこと、たくさん散らばっているはずなのに。
いつかある人に言われた。「あなたは、人に、というか世界に興味がなさそうだよね」と。「それだと日記を書いても多分おもしろくなさそう笑 小説とか書いてみれば?」と。あれから一年と少し経った。懲りずに日記を書いている。小説は、まだ書いていない。
夕方、なんとなく動けずツイッターを眺めていた。坂口恭平が熊本から東京に来ていた。突如、西荻窪の路上でサイン書くよ、レコードもいくつか売るよと言う。
正直外出は億劫だしサインはそんなに欲しくないなと思った。昨日あれだけ彼の字について言っておいて自分でも何をのたまっているのかと思う。
結局、前にCDとポストカード集を買わずに後悔して、熊本の坂口恭平日記を観に行かず後悔してと、後悔続きだったので行くことにした。
そう決めると間に合わなかったらいけないと焦りが出て、化粧はおろか日焼け止めさえも塗らず飛び出した。
電車に乗って、いつもの癖でネットやSNSを開くが何も頭に入ってこない。
あんなにドキドキしたのはいつぶりだろう、間に合わないかもしれないという焦りと、久々の自転車で息が苦しかった。
ペンは持っていないとツイートしていたから、行きしに買った。『躁鬱大学』にサインをもらって、握手をした。ペンはそのまま、彼がもらおうかと言うので渡してきた。ありがとうと言って、それ以上は何も言えなくて、一瞬で帰ってきた。
とにかく短時間で一気に疲れたけど、あのサインが、好きなことのためならあれだけのエネルギーを出せたのだという事実が、いつか自分のお守りになる日がくる。