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気まぐれ読書

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本を通じて出会った心にしまっておきたいフレーズや湧き出た感情置き場。
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世界の彩度が変わる本

読後の、幸福感、多幸感。 久しぶりに長編のほっこりあたたくなる小説を読んだ。 「蜜蜂と遠雷」登場人物の個性がはっきりと描かれていて、 物語の盾と横の広がりのバランスが絶妙。 深掘りしすぎず、人間のどろどろした、嫉妬、妬みの面を描きすぎず、 ひたすら内省して成長する登場人物たちの実直で前向きな姿、私は好きです。 物語が進むにつれて、コンクールの結果はどうでもよくなり、本の中で起きている一瞬、一瞬に目が離せなくなる。 まさに、一瞬が永遠で、永遠が一瞬。 最終的にはそれぞれ

あやうく一生懸命生きるところだった

この本を手に取った時点で私、疲れているのかな…という心理状態を確認できましたw。 読んで良かったと思ったポイントは、ものの見方をいくらでも変えられるんだ!という気づきとそのアイデアがふんだんにあること。 特に印象に残った部分を引用とともに書き記します! あやうく一生懸命生きるところだった/ハ・ワン 正しい答えを追い求めていたり、真摯に向き合いすぎるとしんどくなることもあります。肩の力を抜いて今回は「どんなリアクションを取ろうか?」くらいの気持ちで良いのだなと。 疲れ

書評:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 夏、特に8月になるとなぜか無性に本が、特に物語が読みたくなる。 読書の記録。 そんな8月からせっかくなら読んだ本について思ったことや印象に残ったフレーズを書き留めていこうと始めました。 今回は、久しぶりに村上春樹さんの小説です。 あらすじ 主人公、多崎つくるは鉄道会社に勤める会社員。 高校の時に仲の良かった4人とは大学の時に突然仲間外れにされる。 その傷を抱えたまま大人になり、新たに出会った沙羅という恋人に昔の記憶を呼び戻され、改めて4人に会い、その当時の真相