デートやワンナイトのあとの気まずさ
人知れず隠れた秘密を共有して、優越感と同時に気まずさを感じるあの感じ。
国際結婚をしている身とはいえ、今の夫を除けば日本人としか恋愛や恋愛もどきをしたことがないので、日本式恋愛での話だけど。
デートや一線を超えたあとは、相手との関係が完全に変わって、それまでの関係性ではいられなくなる。冒頭のように秘密の共有と考えれば、たしかに関係性の変化も悪くない。ただ、この不可逆的な変化を私は気まずさと捉えずにはいられない。
相手との距離感や、話し方、どんな態度でもともと接していたかなど、思い出せなくなって気まずい。相手が身近にいる人であればあるほど、他の人の知らない「闇」の世界を共有したことで、日常である「光」の世界に帰ってきても、「闇」からの脱却が完全にはできない。ここでいう「闇」は、必ずしもやましいことがあるとか秘密にしておかなければいけない関係性だとかというわけではない。健全で他人から見ても微笑ましい関係性であっても、誰彼構わず見せない部分という意味での「闇」。
「光」で再度、相手と会ったとき、もしくは日常的に顔を合わせる仲である場合の気まずさは、さらけだしたものが多ければ多いほどに気まずい。
ただ、その気まずさと同時に感じる優越感も好きで。みんなの知らないこの人の一面を知っているという優越感。こんなことに優越感を感じる性格だから、逆に誰か他の人が知っている私の知らない一面を見つけたら嫉妬してしまうのだろうけど。
昔、バイト先で恋愛をした。デートを数回し、交際にいたった。デートを重ね、距離が縮まるにつれ、バイト先での気まずさが増した。バイト先での自分と恋人の前の自分との乖離、他の人に見せない「自分」を知られてしまっていることへの後ろめたさ、より親密になり同僚から性的対象としての関係性の変化などなど、原因は複数思い当たる。
この気まずさは、もう味わえない今となっては、初々しさの表れでもあったのだと思う。
先述の経験から10年以上経ってしまった今では懐かしい。そして、もし万が一これから新たな恋愛をするようなことがあったとしても、もう人生の時を重ねすぎていて、この感情はもう二度と体験できないのだろうと想像すると、時の無情さに胸が締め付けられる。