感覚と感情の蛇口
まもなく、本番。
約1年ぶりの舞台出演である。
フィジカル的にはおっかなびっくりドッタンバッタン、メンタル的にはキョドりながらで、相変わらず挙動不審のキモ女として存在しているのだが、前回舞台出演した時と今回とでは内面が全然ちがう。
何が違うのかというと、
ずーーーっと、感覚と感情の蛇口が開きっぱなしなのだ。
この1年くらいひたすら、芝居のワークショップばっかり受けていたのだが(今度初めての有料記事にしてどんなところにいったのかまとめようと思う)、今までずっと相手からなにか貰うということが出来なくて苦しんでいたのに、今回は誰かのゆれを感じることが出来るようになったのだ。そして、それが常に、というのが、初めての感覚である。
もちろん、あれをやらなきゃいけないとか、これをやらなきゃいけないとか決め事があってタスクに追われてヒーヒーしているし、不器用で簡単なことも出来なくてご迷惑をおかけしているし、そもそもの技量的にも他の人より出来ないことが多いし、芝居もクソ下手なのだが、むしろカンパニーの中で全てが1番のド下手くそなのだ!が!!
それでも相手を捉えることが出来るようになったというのは、私にとってはかなりの成長で、とても嬉しい。
ああ、この人こんな顔してたんだ!
この人にこうしたら、こう返してくれた!
わ!瞬時にこう反応できた!
とかそういう感覚が初めてだった。
(ダメな俳優ですみません)
今まで、ずーっと日常的に感覚を閉ざして生きてきたものだから、稽古期間に入ると、感覚を開こう、感情を開こうと一生懸命になってしまって、芝居中も相手に伝えなきゃ、何かしなきゃと、することばかりにフォーカスしてしまっていた。
しかし、この1年、自分に向き合う、自分の輪郭を知る、感覚を開くということをコンスタントに行っていたおかげで、ものすごくフラットに居られるのだ。
例えて言うなら、
今まで目隠ししたままボールを投げていて、相手にぶつけてるか、受け取ってもらえてるかわからない状態だったのに、目隠しが取れて、きちんと相手に向かって投げられるようになった、ような感覚に近い。
これまでの稽古期間といったら、
感覚と感情の蛇口の開け方が分からないものだから、開こう、開こうとして、ねじっては開きすぎて、蛇口がバカになってしまって、でも、もう閉めたら開けるのが大変だから、閉まらない状態で過ごすしかなくて、オフ日にカフェのバイトに入るとお客様からクレームを貰ったりしていた。(イラつかれると、こっちもムカついてしまうみたいな、俳優としては健全だけど店員としてはよくない状態)
そんな状態だったのが、コンスタントにワークショップにいって、蛇口を開き続けていたことで、いつしか開いている状態が日常的になり、いつの間にか当たり前に使えるようになっていたのだった。
それを顕著に感じたのが、
「ここ、台本で泣くって書いてあったけど、私泣けるのかな?」と思いながら入ったとあるシーンだった。
無理に泣こうと思って頑張ったわけではない。ただ、相手の言葉を素直に受け取っていたら勝手に涙が溢れてしまっただけの話である。
こういうのは今まで本番では感情が昂って泣けたりしたのだけど、稽古からというのはなかなかなかった。
そんな自分の変化に
お、おぉ?とびっくりして、
台詞は間に合ってなかったのだが、(そして最終的には泣かない選択をしたのだが)それを知れたことが大きかった。
まだまだ出来ないことは多いのだが、ちょっと成長できた気がするということをここに書き留めておくと共に、芝居が上手い人間になりたいと声を大にして言っていきたいと思う。
芝居、上手くなりたいな〜。