第6章 奇妙な事実──斜めの家 立石遼太郎
サン=ラザール駅の中央ホールに入ると、私小説の世界に入り込んだような奇妙な印象に襲われた。
ミシェル・ウェルベック『セロトニン』(関口涼子訳 河出書房出版、2019)
0本連載も折り返し地点を迎えようとしている。「建築におけるフィクションとはなにか」。本連載の主題に対し、これまで僕らは「フィクション」という言葉を精査することにより、論を前に進めてきた。ここで一度、これまでの議論を整理したいと思う。
0.1 第1章《青森県立美術館》——サバイバルライン・計画学内人間・ステー