学歴フィルターでもガクチカでもない、採用が新卒に求めているもの
はじめに
新卒の就職活動において、自信も実績も頑張ったこともない、コンプレックスまみれの自分がエントリーシート(ES)を書くのがとても苦痛だった。
学生時代には確かに色んなことにチャレンジはした。しかし、全て中途半端で終わってしまっていた。そんな「何も成し遂げられなかった」自分を責めて、後悔して、目の前が真っ暗になっている自分がいた。
新卒採用において確かに、学歴や学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)に注目する企業はある。しかし、社会人として経験した今だからこそ言えるが、新卒採用の本質はそこにはない。
学歴やガクチカだけでは本質を見失いがちだ。むしろ、それだけで採用をしているような企業は優良企業とは言えない。採用が新卒に本当に求めているものは、もっとシンプルで本質的な「素直さ」だ。
ビジネスにおいて基準も正解もない
前提として、学生が大きく勘違いしているのが、会社の仕事は誰かが整備したルールに従って正解を選択していくものだと考えていることだ。
ビジネスにおいて、一切正解は用意されていない。
例えば、営業のための提案資料を作成するにあたって、どんな資料を作成すれば顧客が購入してくれるかという基準もなければ、正解かどうかなんて分からない。結果として、顧客が購入してさえくれればどんな資料であっても正解になってしまう。
ここで私が伝えたいことは、「採用側」もビジネスをしているのであり、この基準で採用すれば正解であるということは考えていない。
一方で、ビジネスにおいて上手くいく確率が高い方を選択するのも確かである。
例えば、コンビニで販売する商品の選定を考える場合、どの商品が売れるかを事前に100%正確に予測することは不可能だ。
しかし、過去のデータやトレンド、顧客の購買行動を分析することで、売れる可能性が高い商品を選ぶ確率を上げることはできる。これは「正解」を事前に知っているのではなく、経験やデータに基づいて最善と思われる選択肢を選んでいるに過ぎない。
採用においても同じで、どの候補者が入社後に最も活躍するか、事前に確実に分かるわけではない。
過去の採用実績からどの大学に入社した人が活躍しているか、という過去のデータを参考にしているに過ぎない。
ここで私が伝えたいのは、ビジネスはほとんど不確実性の連続であり、就活生もこの採用側の不確実性を理解し、自分で勝手に決めた「正解」や基準に当てはめないでほしい。
就職活動はあなたにとって初めての「ビジネス」である。
失敗はあなたの魅力に変わる
私が大学生の時に自動車の教習所でめっちゃ可愛い子がいたんです。
たまたまその可愛い子と同じ車で教習を受けることになったんですが、教習所の近くに、汚い中華料理屋さんがあって、その中華料理屋さんでお昼を食べた後で急にお腹が痛くなったんです。
自分が運転する番の時はなんとか我慢できていたのですが、交代するとその子がとても運転が下手で、後部座席でう○ちを漏らしてしまいました。
最初はオナラのフリをしていたのですが、車内に臭いがこもってしまったため、すぐにトイレに駆け込み、トイレから出ると、その子になぜか謝られました。
この失敗談を聞いて、きっと私に対して少し親しみを感じるのではないだろうか。
失敗を開示することは他人との距離を縮め、あなたの魅力を引き出すことさえある。大きな失敗や恥ずかしい出来事も、他人に「この人も完璧ではないんだな」と思わせるきっかけになる。
自分の失敗や恥ずかしい出来事を隠そうとする必要は一切ない。
むしろその経験をポジティブに活かすことが重要だ。
ここで私が伝えたいことは、たとえ自分に何の実績がなかったとしても、自身を正直に、ありのままに伝えることは、相手にとってはむしろプラスな印象につながるということだ。
新卒から使えるなんて誰も思っていない
まともな採用担当であれば、新卒で採用する人がそのまますぐに仕事ができるなんて一切期待していない。採用担当でなくても、仕事をしたことがある人誰もがそんなこと分かっている。
「自分はすぐに仕事ができる」と勘違いしている就活生が本当に多すぎる。
一部の専門性の高い業務を除いて、どんなエリートであっても新卒の時点で、会社ではアリ以下である。
証券外務員の資格を取得したから、証券会社に入れる
旅行業務取扱管理者の資格を取得したから、旅行会社に入れる
なわけない。
社会人として働いてきた身からすると、新卒で「〇〇ができます」とか「〇〇大学です」と言われたところで、口では「すごいね〜」と言いながらも、内心では鼻ほじりながら「へ〜」としか思わない。
周りの人がどんなにすごい経歴だろうが、どんな資格を持っていようが、どんなガクチカだろうが、ビジネスという実績においては、スタートラインは皆同じである。だからこそ、あなたは、あなたのままでいい。
新卒採用において見ているのは、あなたが現在どれくらいすごいか、ではなく、ポテンシャル(これからどれくらい成長してくれそうか)だけである。
だからこそ、新卒採用において、これから話す「素直さ」が最も重要な要素となってくる。
素直な人が最強である
素直さとは、他人の意見やアドバイスを柔軟に受け入れ、自分の弱みや間違いや、失敗を認める姿勢である。
ビジネスに正解はないが、ビジネスにおいて「成功」と「失敗」は確かに存在する。ビジネスは「成功」と「失敗」の必ず2つのどちらかの結果になるが、ずっと「成功」だけを出し続けられる人間はいない。
「失敗」した時にいかに、自分の失敗を受け入れるか、他の人のアドバイスを受け入れるかが、「成功」の確率を高める鍵となる。
知識やスキルは正直後からいくらでも身につけられるが、この「失敗」をした時のアクションはなかなか身につけられるものではない。プライドが高いと、失敗を隠したり、同じやり方にこだわったりしてしまう。その場合、次の「成功」の確率は変わらない。
成長に余計なプライドを捨て、自分の課題や失敗を正直に受け入れることで、フィードバックを活かして成長していく。これが、仕事における持続的な成長やキャリアアップに直結する。
採用担当は、正直でありのままの自分を受け入れる「素直さ」を見ている。
自分が新卒採用担当になったつもりで考えて欲しい。
エリートくん
「自分は、大学の授業でプログラミングを学んだり、エクセルでマクロを組むことができます。海外ボランティアに行っていたので英語も話せるので御社でも活躍できます。」
凡人くん
「自分は正直英語も得意でもないですし、これと言って頑張ってきたこともないかもしれません。でも、色んな人から怒られながらも、吸収して、御社で成長して、活躍したいです。」
どっちが欲しいかって?
後者だよ。