【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 春の部①
お控えなすって。
今回も企画モノで。
三羽 烏さんの、「令和版百人一首 恋の巻」。
まずは春の部です。
姐さん珍しくオトナの恋に挑戦。
お遊びが過ぎませんように😘
ゆるむ風 胸元開き 長すぎる
軋む廊下に 耳朶熱く
三日月 巴
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住込みの料理屋からいつもの待合いまで、文香は小走りに駆けて来た。頬に当たる風もやんわりとなり、そろそろ西の方から桜の便りも届いている。
がらんとした四畳半の小さなちゃぶ台を見下ろし、あゝ徳さんはまだだった。と胸を撫でおろし、やや汗ばんだ胸元を開く。あの人に力いっぱい開いて貰えるよう加減しながら。
二階の部屋の窓を少し開け、下の狭い路地から目を離さずに畳の上へ腰を下ろす。幾つもの材木屋の並ぶ木場からだって急いで来れば訳はない。ふと横丁から体格の良い角刈りの徳次が着物の裾をつまみ上げ大股で近寄って来るのが見える。思わず、徳さん...と声を飲み、襖が開くのを待つ。急ぎ足で一歩一歩と踏みしめながら軋み近づく長すぎる廊下。もう文香の小さな耳朶は熱く燃え上がり今にもとろけてしまいそう。
「文香っ。」
「徳さんっ。」
細いうなじに埋める唇、厚い肩へと絡まる細腕。今日も重なる二人の影が、切なく重なる短い逢瀬。
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何故かレトロな風景の中の純愛モノ。
あゝ、アツい、若いふたりの恋バナ如何に。
あはん♥