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『青炎』二、長雨、そして、

二、長雨、そして、

2021年6月2日
俺は、一人、孤独を感じていた。
想いを持つことの怖さ、
夢を持ち続けることの辛さ。
挑戦すること、頑張り続けることが、
もう嫌だ、苦しい…
自分が自分でないような感覚。
自分の全てを否定し、放棄したくなる感覚。
みんなの笑い声がどこか遠くの方で聞こえてくる。
俺は独り…

この道を進み続けた、もがき走り続けた先に、
俺の望む未来はあるのだろうか。
進んでも、進んでも、進んだ気がしない。
先の見えない不安、不確実な道を進む疲労。
よくわからない…
でも俺の中で疼き食い込んでくる
得体の知れない何かと、
俺は戦って、戦って、戦って…
全部、手放した方が楽?
無理ゲーじゃん、それでもやる?

俺の想いに自信が持てない。
俺の覚悟を信用できない。

ふと、俺の夢を応援してくれている
みんなの顔が浮かぶ。
今の俺では、
みんなとまっすぐ向き合うことなんてできない。
今の俺なんかでは、
みんなの想いを裏切ってしまう。
見ないでくれ、来ないでくれ、一人にさせてくれ…

いつものようにコーヒーを淹れようとし、
相棒を取ろうとした手が止まる。
俺は、初めてコーヒーを淹れることを躊躇した。
初めて、コーヒーを淹れることに恐怖を感じた。

ふうーっと大きく深呼吸をし、俺は、相棒を掴む。

俺は自分に問いかける。
「俺は、何がしたい?」
「俺は、何を願う?」
「俺にとって大切なものは何だ?」
答えはもう決まっている。
自分のことは一番自分が分かっている。
だけど、
それを必死に見ないようにしているだけだった。
直視することに怯え逃げていただけだった。
「はあ~あ、かっこわりいな…
でも、それでもさ…」
俺は、いつものようにコーヒーを淹れた。
いつものように同じ動作で。
そして、おもむろに口に運ぶ。
「ん?」
一瞬何が起きたか分からなかった。
俺がずっと目指し、
求めてきた味のような気がした。
このコーヒーの味に戸惑いながらも、
俺の心には、穏やかな、安心したような
感覚がいた。
「そうかそうか、やっぱりな、俺はこれなんだな」
俺のこの味で、俺は確信する。
悩んでいた自分が馬鹿馬鹿しく感じた。
この味が俺の全てだ。
俺は前を向く。
『自分の心と言葉と行動を一致させる。』
これは俺による俺のための物語だ。


『青炎』三、青葉 へつづく…


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↓この物語の主人公である「ひろゆき」について↓
「コーヒー」「ガンダム」「ファイナルファンタジー」を愛し、
3年後にカフェを開く男。

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