20240627 アイデンティティを隠して生きること

「ありのままの姿見せるのよ」
アナと雪の女王第一作目の公開から10年以上が経過し、世間の流れは変わった。
物事は様々に多様化し、人それぞれの属性にとらわれず、自分らしく生きることが吉とされ、許されるようになってきた昨今である。
しかし私は、すべてをさらけ出して生きることへの疑問を持つ。
確かにここ数年でカミングアウトをすることへの重みはかなり軽減されただろう。
ただ、カミングアウトをしたい人ばかりではないことに変わりはない。
内に秘めることを吉とする人、外へ持ち出すことを吉とする人、聞きたくない人。
それぞれの選択を認めることと、もしかすると相手が地雷を抱えているかもしれないと図り、配慮することが現代の最適解だと考えている。

こと、表現の世界に限っては、果たしてこの配慮が必要なのだろうかと懸念する。
作り物とわかっていながら、客となる現実世界への配慮が大きすぎるがゆえに、作品性を損なっていることがしばしばである。
これは悲しく、そして由々しき事態である。
どのようにすれば作品の世界と現実世界がうまく共存できるのか、考えて生きたい。

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