220502 肩書コンプレックス
『24歳の女性、フリーターで役者の卵です』
めしやまの現在の肩書である。
引越をするにあたり、物件探し中にふと浮かんだ悲しい考え。
「なんと社会的信用のない肩書だろう」
そもそも私は、他人の肩書に興味はない。
肩書や所属で個人を判断することをナンセンスだと思っているからだ。
しかし肩書は、いわば本人を護る盾であり、壁である。
肩書の構成要素として資格があるが、かつての私は資格を取るだけでは意味が無いとばかり思っていた。
「取って満足すれば、資格取得のための知識など忘れてしまうかもしれない」と危惧していたが、それは卵が先か、鶏が先か論争のようなものである。
と、24歳のめしやまは考える。
私は大学生の頃、母に口を酸っぱくして『資格をとれ』と言われていた。
母は若い頃、ジェットコースターのような人生を歩んでいた人だが、多数の資格を持っていたという。
私は、母が優秀だということを知っている。
頭の回転は速いし、真面目だし、絵心はあるし字もキレイ。
しかし、それは私が20年以上母と過ごした時間があるから知っているだけで、赤の他人からすれば母をひと目見たところでその中身を知るよしもない。
そしてそれは私にも適用されることであり、残念ながら私は母ほど優秀ではない。
行動はマイペースだし、真面目ではあるがサボりグセがあり、絵は描けないし字は汚い。
唯一母に勝てるのはIT知識くらいであるが、それもまた同世代と比べればそら豆のようなものだ。
恥ずかしながら、このことに気づいたのは私が大学を出たあとであった。
そんな私でも肩書があれば、まさに威を借る狐となるのである。
と、いうことで簿記の資格を取ろうと勉強に打ち込むこの頃である。
手始めに3級、頑張ってみようか。
受けるなら受かれという母の幻声に奮起されつつ、今日も机へ向かうのであった。