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【一曲入魂】#13. Children’s Story - Slick Rick

ご無沙汰です。

このシリーズ、個人的に思い入れの強い曲についてエッセイ風につらつらと書いているのですが、選曲が絶妙に難しい。

ただその曲が好きなだけでは書くことがないですし、ちょっとくらい話を広げられる曲ってなると、ただの楽曲レビューと変わらないじゃないかとなってしまうんですよ。

まぁそんなことを思いながら、今回はSlick Rick「Children’s Story」を起点にしてみます。

大学入ってすぐの頃に、ヒップホップというものを一度体系的に整理しながら勉強してみようと思い、The Sugarhill GangやKurtis Blow前後から聴き直しました。

その中で、「初めてのストーリーテリング・ラップ」として記憶しているのがこの「Children’s Story」です。私の世代では、「ストーリーテリング・ラップ」と言えばKendrick LamarやJ. Coleがその筆頭でしょうか。Slick Rickはその生みの親だということを、正史として一応認識しているつもりです。

それにしても不思議ですよね。私たちの感覚ではラップでストーリーを語るなんて当たり前ですけど、それが当たり前じゃない時代があったこと自体が。文化とか芸術ってそういうものですよね。2025年視点でも、まだ発明されていない表現があるんでしょうか。

ここで一旦サウンドの話をしましょうか。「Children’s Story」を初めて聴いたときの感想はもちろん(?)、Montell Jordanでした。「This Is How We Do It」。中学生の頃から90s R&Bは好きだったので、わざわざ再生しなくても耳に入ってくるような曲でした。「はぁー、こうやって東海岸の音楽って繋がっていくんだな」と思いながら「Children’s Story」を聴いた覚えがあります。

しかしこの「Children’s Story」サンプル問題でいまだに根に持っていることがあります。みんな大好きKehlaniが、レペゼン西海岸R&Bと言わんばかりのアルバムを2022年にリリースしました。その年の本命R&B作品だったので期待しながら聴き進めていきました。そして4曲目「wish i never」が始まると、なんと「Children’s Story」の音がするではありませんか!西海岸に転送されていた私の魂は、無理やり東に引っ張られて迷子になってしまいました。

おそらくKehlaniにはこのサンプルについて東西がどうとか深い理由はないと思いますが(ただちょうどいいビートだったんだと思います)、個人的にはそれが引っかかってしまいました。

私が東西構造に縛られすぎているのかなー、なんて思った話でした。

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Masaaki Ito
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