リメンバー・ミーの街にて、光と音楽の夜(グアナファト/メキシコ)
メキシコ44日目。
サンミゲル・デ・アジェンデから、グアナファトへと移動した。
ここはメキシコで一番美しい街と称されていて、「リメンバー・ミー」の舞台となった場所のひとつ。
道は石畳に覆われ、コロニアル調の建物が軒を連ねている。
丘にまで広がるカラフルな色彩は、メキシコらしい陽気な雰囲気を醸し出していた。
グアナファトには1週間滞在した。
ある日のこと。
この辺りは有名なお肉料理が多いので、パートナーが楽しめるよう昼間は別行動にした。
私はお肉が苦手なので、気になっていたファラフフェルのお店へと向かった。
旅の中、一人で出歩くのはかなり珍しい。
ちょっとワクワク。
グアナファトの街で、一番の観光地であるエリアにお店はあった。
このあたりは車両侵入禁止になっていて、とても綺麗な道。
歩いているだけで楽しい。
陽気で、そしてちょっと品がある街並みが旅の気分を上げてくれた。
いつもパートナーと常におしゃべりしながら歩いているので、ひとりは新鮮だった。
目にうつるもの、感じるものの全てが自分の中だけで完結していく。
二人旅の中の一人の時間。
なんと大事なことか。
美味しかった。
ファラフェルはひよこ豆を使ったコロッケのようなもの。
中東料理だ。
テーブルにはメキシコで定番のサルサが何本か置かれ、辛さや香りを足して食べるスタイルだった。
メキシコで食べる中東料理。
異国のコラボ感があって良い。
海外で、海外の料理を食べるのは面白いかもしれない。
日本のカレーみたいに、新解釈の面白さがある海外料理ってあるのかな。
世界一周中に見つけられたら良いけれど、本場を知らないとなんとも言えないのですでに世界二周目が頭をよぎった。
一旦忘れよう。
街散策の後は夕方まで宿でゴロゴロした。
これも大事な時間。
そして日暮れ前にパートナーと合流し、サンドイッチ作って街を一望できるというピピラの丘へと向かった。
グアナファトにはクネクネした小道がたくさんある。
山の斜面に建てられた家々の間を半分迷子になりながら、丘の方へと足を進めた。
小道は地図に載っていないので、すれ違う人に聞いたりして足を進める。
あとはまあ、上に行けばいつかは着くでしょ、的な考えで登っていったら案外行けた。
標高の高い街で坂道や階段をどんどん上がるのは結構体力使う。
肌寒かったけど、丘に着く頃には体はポカポカしていた。
パノラマで街が一望できた。
建物の一つ一つがカラフルなのがよくわかる。
早めの夕食。
自分で作ると安いし、ピクニック気分が味わえるからサンドイッチは最高。
もぐもぐしながら、日が暮れていく様をぼーっと眺めた。
次第に光が灯り、街はキラキラに包まれていった。
丘を降りると、街中で音楽が鳴っていた。
この街は夜になると、エストゥディアンティーナと呼ばれる音楽隊が出没する。
伝統的な学生服を着て歌を奏でる楽団だ。
夜の街を演奏しながら練り歩くんだけど、
ツアーになっていて、楽団に同行することができる。
グアナファト観光の醍醐味なので、もちろん参加した。
城郭のような街中に、演奏が響きわたっていた。
夜のグアナファトの風情に浸れる素晴らしい体験だった。
音楽隊について歩き、広場に到着したらみんなで踊った。
女性のみ前に立たされて、踊りを披露する時間があった。
踊りは苦手な私。
だけどどんな動きになってても、どうでも良いやと思いながら踊るのは案外楽しかった。
次に男性のターン。
私のパートナーは私以上にダンス力が壊滅的で、どうなっちゃうの!?と思ったけど、まるで筋トレのようなダンスをさせられていた。
激しすぎて誰もついていけてなかった。
ひと笑いして、また小道を進んでいって、音楽とダンスを繰り返す。
音楽隊の陽気なムードは伝染して、みんなが笑顔だった。
なんていい夜なんだ。
カラフルな家々は街頭に照らされていて、音楽がそれらの彩度を上げる。
まるでミュージカル映画の中にいるみたいだ。
最後は教会の前の広場へ。
曲が終わり、締めくくりに寸劇が披露された。
スペイン語でほとんどなに言ってるか分からなかった。
周りが手を叩いて笑う中、ぼさっとしていると、ここで終了。
寸劇はともかく、楽しい夜だった。
美しい街と明るい音楽に包まれた素敵な時間だった。
夜が楽しいと、いいな。
宿に戻って、そのままの満たされた気持ちで眠りにつけるから。
うとうとしている間も、音楽隊の曲が頭をめぐっていた。
このまま夢にまで連れていこうかと、そんな心地だった。
グアナファトで過ごした時間をお散歩コースにしてみました。
訪れる際は、ぜひ参考にしてみてください。