今夜いちばん海のそばにいる(サンブラス諸島/パナマ)
世界旅行144日目。
ブラジルのサンパウロからコロンビアを経由してパナマシティへ。
パナマのお目当ては人生初のカリブ海を満喫すること。
これはサンブラス諸島、素朴なカリビアンを満喫した一泊二日の旅行記。
早朝、パナマシティから送迎のバンに乗り込んだ。
南米一周してここで初の中米だけど、パナマの運転の荒さはものすごい。
急発進急停車。少しでも減速すると後ろからクラクションを鳴らされる。
そして歩行者が道を渡ろうとしていても譲らず、これまた退けと言わんばかりのクラクション。
正直民度が低い。
悪路もぐんぐん進んで揺れるし跳ねる。
狭い車内の中、暑さも加わってしっかり車酔いした。
2時間ほど車を走らせ港に到着。
港についてからはボートで20分ほど移動した。
ボートの方が酔わなくて、何なら風が涼しくてうとうとした。
眠いボートは懐かしい。
宮古島に住んでいた頃よくボートで潜りに出かけたのでその帰り道を思い出した。
サンブラス諸島の海はきれいだった。曇っているのに発色のいい青で透明度もいい。空の明るさが顕著に反映される沖縄の海との違いはここだった。
ここは歩いて一周3分くらいの小さな島。
あるのは宿とレストラン。3軒ほどの民家。シャワールーム、トイレのみ。
サンブラス諸島には小さな島が350以上点在している。
パナマ政府から自治権を勝ち取り、クナ族という先住民のみが文化を守りながら暮らしている。
島ではただひたすらぼーっとした。
だんだん曇が晴れてきて、空の明るさと連動するようにテンションも上がってきた。
お昼の時間になるとホラ貝を吹いてお知らせしてくれる。原始。
メニューはチキンかフィッシュの2択だった。
ランチのあとは素潜りがしたくなったのでクナ族の民家を訪ねてシュノーケルとマスク借りた。
多分子どもたちの遊び道具だと思う。5ドルで快く貸してくれた。
ちらっと家の中を見たが地面は砂浜だった。
ベッドはなくハンモックが見えた。
クナ族はベッドよりハンモックの方が寝心地いいんだろうか。
借りたシュノーケルをつけて早速潜った。気持ちいい。
宮古島ではフリーダイビングをしていた。
フリーダイビングとは息を止め、潜る深度を測る競技。
私は趣味でやっていたので競うことはなかったけれどトレーニングは月3回くらい行っていた。
遊びでは毎日のように素潜りしていた。
旅に出てから全く潜れていなかったので久々の感覚だった。
深いところではないので一瞬だけど浮上する瞬間がとんでもなく気持ち良い。
もっとこの時間が続けばいいと毎回おもう。
かなりリラックスできた。
近くに沈船があったのでここでも潜ってみた。
泳いだあとはまたひたすらぼーっとした。
そしてまた海でぱちゃぱちゃしたり。
そんなふうに気ままに過ごしていると日がじわじわと沈んできた。
夕日の海が一番好きだ。
落ち着くし、なんだか懐かしい
宮古島の夕日は何度も見たけれどまた違う感じの染まり方だと思った。
海がとろんとしている。
温泉に泉質ってのがあるのと一緒で海にも質の種類ってのがあるんだろうか。
ここの海は入るとぬるっとまではいかないけれどなんだか肌がスベスベした。
手で掬うととろみもかんじる。
舐めてみると塩分も明らかに薄い。
どこの海が1番かなんて決められない。
それぞれの良さや質がある。
この島の良さは素朴なところ。
リゾート地にもなりうる海の綺麗さだがサンブラス諸島での経営はクナ族のみが許されている。
寝床、電気はほんのりつくけれど限りがある。もちろんクーラーはない。
床もシーツも砂まみれでシャワーは海水だった。
海水まみれの身体に虫除けスプレーを振って汗だくで寝る。
そうすると全身尋常じゃないほどベタベタする。
正直不快だけどここで暮らすクナ族にとってはそれが当たり前なんだ。
宮古島で毎日海で泳いでた頃、ベッドに寝転ぶと陸酔いしていた。
波に揺られる感覚のまま寝返りを打つと耳の奥からぬるい海水が出てきてその不快感が幸せだった。
きっと夢の中でも海に行ける。心からそう思える心地のいい眠りだった。
でもそれはシャワーを浴びてスッキリした後、クーラーの効いた部屋で清潔なシーツに身を預けていたから。
あんなに海を感じていたつもりだったけれど、今思うと私は海のいいところだけをかいつまんで好きと言っていたんだ。
サンブラス諸島、寝苦しい夜。
波の音と海水に包まれながら眠る一番海のそばにいた夜だった。
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