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新解釈メキシカン「Pujol」での食体験(メキシコシティ)
2023年11月14日、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。
パートナーと共にだいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。
現在メキシコ。
世界一周旅行中に、共に旅するパートナーと結婚した。
こちらで詳しく書いている。
結婚の地はメキシコシティ。
メキシコシティは多分、多くの日本人が思っているよりいい街だ。
美術館・博物館の数はなんと200以上あり、世界で二番目に多い街だそう。
(一位はロンドンらしい。)
毎週末多くの施設は無料開放され、老若男女で賑わう。
そして日曜の朝は、一番大きい道路は歩行者天国となり、サイクリングやランニング、ローラースケートを楽しむ人たちでいっぱいになる。
そんな市民の、スポーツやアートなどの文化の向き合う姿勢を見ていると、平和なムードを感じる。
そして美食の街でもある。
とにかく美味しいお店が多い。
まるで東京のように、ローカルな食堂からおしゃれカフェ、家族向けのレストランから高級ガストロノミーまで多種多様。
道や公園に立ち並ぶ、屋台フードも充実していて、こちらもめちゃくちゃ美味しい。
そう、メキシカンは美味しい。
南米、中米と周ってきたけれど、ダントツで美味しい。
辛いイメージだったけれど、それだけじゃない。
旅する中、私たちはすでにメキシカンの魅力に取り憑かれていた。
もっと味わいたい。色々試したい。
結婚記念日はやっぱ奮発しないとじゃない?
と、思い立って、
「行っちゃう!?高級メキシカン!?」という流れになった。
予約したのはPujolというお店で、いわゆるカリスマシェフがいると称されているレストラン。
世界のベストレストラン50にも選出されており、来店前から信頼と期待は厚かった。
個人的に、ベストレストラン50はミシュランよりも時代性を反映したお店が選出されているイメージがある。
歴史を重んじるというよりも、既成概念を崩してくるようなレストランかもしれない。
大前提として、美味しいがあり、
それでいて食べる、ということ以上の体験が待ち受けているだろうか。
人生で高級レストランというか、ガストロノミーレストランというか、そうゆう場所には数回しか行ったことがない。
胸を躍らせながらながらその日を待ち侘びた。
さて、Pujolの感想を書こうと思う。
味を表現するのって難しい。
でも、味の記憶っていつかは消える。もしくは薄れる。
どんなに美味しくても。
何回も戻ってくればいいのにな。
美味しいを蘇らせるためにも、ここに記したい。
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丸いカップに入っているのが、ビリアというメキシコ北部のスープ。
本来はやぎ肉と複数のチリを使ったスープらしいが、ここではきのこのベジタリアンスープ。
「まずは最初にこちらを飲んでください。」とのこと。
一口…。美味しい!
しかしコースの最初に口に入れるものとは思えないほどの刺激。
がっつりとスパイシーで濃い味。
野菜の出汁とは思えないほどの力強さで、大胆な幕開けだった。
横のお皿にいる卵の殻は、エスキーテというメキシコのストリートフード。
茹でたコーンにマヨネーズ、チーズ、チリ、ライム。
ストリートの屋台ではプラカップに入っている。
コーンの茹で汁がカップの下に溜まっていて、食べ進めるにつれマヨとチーズが汁に溶け込んでいく。
濃度がどんどん増していくのが美味しい。
ここではぱっと見、卵の殻に入ってて茶碗蒸しみたいと思ったけど、食感はソース。
ソースがメインで、中にちょっと添えるようにコーンが入っている。
ソースは二層になっていて、上はオランデソースにチーズでコクをプラスしたみたいな感じ。
下は味噌風味。
屋台のとは違い、初っ端から濃厚だった。
屋台でエスキーテを食べたのはPujolを訪れたもっと後のこと。
今思えばなんて誇大解釈なんだ!と思う。
コーンマヨチーズという、あの全人類大好きですみたいな味をここまで洗練させるだなんて。
Pujolのも、ストリートのも、どっちも大好きだ。
エスキーテの横にあるのが、5種のチアパス(メキシコ南東に位置する州)のチーズを揚げたもの。
ぎっしり詰まってるチーズボールだった。
チアパスのチーズってどんなんだろうか。
ここではカッテージチーズのような見た目と食感、でも味はまあまあ濃厚で、ほんの少しカビっぽいクセもあり。
高級チーズボールだ〜と思った。
カラオケのチーズボールがめちゃくちゃ好きだったあの頃の私へ。
大人になったら大人のチーズボール体験があるので、期待しておくように。
そして真ん中に堂々と鎮座するはベビーコーン。
燻製されて登場。
オレンジ色のソースは羽アリパウダーのマヨネーズ、ワヒーヨチリ(chile guajillo)、コステーニョチリ(chile costeño)、エスプレッソコーヒーを使っているらしい。
薫る燻製に、複数のチリを使った刺激あるソース。
潜むコーヒーの香り高さと苦味が、全ての味を深くさせてると思う。
アリのパウダーはあんまり分からず。
とにかくコーンの火入れ加減が最高だった。
コーンに水分が閉じ込められていて、噛むとジュワッとする。
ソースが刺激的で濃いのに、均衡が保たれている。美味しい。
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アボカドとマグロ、ひよこ豆のソース
これ美味しかった。もう一回食べたい。
コリアンダーの花が散るアボカドの下には、大西洋クロマグロ、そしてパルミット(ヤシの木の新芽)。
周囲のクリーム色はひよこ豆のソース。
付け合わせにスイートポテトチップス。
説明ではマグロと聞いたけれど、中トロ的な口どけ感だった。
これ、日本のお刺身のクオリティだ。
懐かしくて美味しい。
旅に出て初めて、ここまで美味しい生魚に出会えた。
これは全体のまとまりが最高だった。
とろけるマグロとアボカド、酸味とコクのあるひよこ豆のソース、そこにシャキッと食感のパルミット。
それぞれが美味しいのに合わさってまとまって相乗効果。
天まで昇るか?と思った。
付け合わせのスイートポテトチップスは最高峰の上げ具合って感じで、さつまいもの甘みしっかり、軽くてパリパリ。
前菜の満足度を底上げしてくれるちょうどいい油分だった。
私は芋、好きなのでたまらない。
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アンバージャックというカリフォルニアでとれたお魚のトスターダ。
トスターダとは、トルティーヤ(タコスの生地)を素揚げしたもの。
パリパリしている。
アンバージャックは油がのっていてノドグロみたいだと思った。
一回しかノドグロ食べたことないから定かではないけれど。
なんかこの魚、舌触りがツルツルしていて美味しい。
魚の下にはセラーノチリのマヨネーズ、バッタのパウダーが敷かれている。
濃厚なマヨとチリが真っ直ぐ美味しかった。
そこにマズ味の代表みたいなバッタ。
バッタは初めてだったけれど、パウダーなのであんまり抵抗感はなかった。
にぼしの香りがした後に、小エビの味がやってきて、最後かなり野生的な香りが口に残った。
正直この香り、ない方が好きかも。
でもあることによって味に奥行きが出てることはわかる。
食べ終わった後もバッタの香りが口の中にいる気がした。
(奥歯にバッタパウダーが挟まってたのかも。)
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こちらは勧められるまま追加で頼んだエンパナーダ。
エンパナーダは中南米でそこらじゅうで売っている、パン生地で具材を包んだもの。
国や地域によって特色がある。
ここで食べたのはフィッシュチョリソーのエンパナーダ。
ソーセージの香りはするけれど、フィッシュだから肉独特の臭みはゼロ。
ちなみにさっき食べたバッタパウダーの香りはもう忘れていた。
そして横に置いてあるマヨが信じられないぐらい美味しかった。
タマリンド、ブラックガーリック、ハバネロのマヨネーズ。
タマリンドは梅干しみたいな酸味で懐かしさがある。
メキシコではかなり出くわすけど、けっこう好き。
このマヨ、味が美味しいのはもちろん、すごいって思ったのは食感。
エアリーすぎる。空気の含有量MAXマヨ。
ふわっふわで、油分の重さがなくて、感動。
叶わぬ願いだけれど、常に冷蔵庫にあって欲しい。
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ロックフィッシュ(ハタやカサゴみたいな根魚)は今日とれた新鮮なものだそう。
ソースはピスタチオ、ほうれん草、ブロッコリー。
上にはウォータークレス(クレソンの一種)、きゅうり、そら豆、ピスタチオ、エシャロットが添えられている。
しっとり魚にソースが主役の一皿だった。
とにかくソースが美味しい。ピスタチオのコクとブロッコリーのちょっとしたエグ味がクセになる。
そして全体の濃厚の中に潤いを足すかのようなきゅうりがたまらなかった。
ソースに溺れる中での、水分補給。
こうゆう食材の特色でメリハリ効かせてる一皿が好きだな、と思った。
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日が暮れてきてちょっと暗い
奥にあるのがラムのバルバコア。(パートナー曰く、かなり絶品とのこと。)
私はお肉が苦手なので変更してもらった。
ビーツの下に隠れるはグリルしたナス、チャイブ(ネギのような野菜)、ひよこ豆のペースト。
中に仕込まれたソースはマカダミアナッツクリームチーズ、コリアンダーオイル。
この濃厚さやオイリーさがもうちょっとしんどい感じもしたけれど、コースの終盤に苦しいのは毎度のこと。
もう終わり!?って思えるコースに出会ってみたい。
あと、とにかく大好きだ、焦げたナスの香り。
お前はいつだって唯一無二。
そして横に置かれたのはトルティーヤ。
包んで食べてね、とのこと。
トルティーヤでクライマックスを遂げるメキシコらしさに嬉しくなった。
包むと美味しさは倍増。
旅の喜びと食体験が交わる瞬間だった。
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シーズナルフルーツを使った今日のモレ(真ん中のオレンジ色)と、10年以上熟成させているモレ(周りの黒色)。
どちらもヴィーガンモレ。
スパイス、チリ、ナッツ、ハーブ、カカオなど、なんと100種類以上の材料が使われているらしい。
モレはメキシコの伝統的なソースのこと。
数種類の食材をペーストにして、黒くなるまで煮詰めたものだ。
どこで食べても味はさまざまで、きっとレストランや家庭によってかなり特色が出るんだと思う。
大体はチョコレートのように甘くて、でもスパイスやハーブの香りがして、野菜の旨みがある。そして辛い。
お肉料理にかけることが多い。
ここではトルティーヤにつけていただいた。
トルティーヤにはオハサンタ(メキシカンペッパーリーフ)という葉っぱがペタリとついていて、かなり香り高かった。
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モレは、初の感覚だった。
けっこう甘い。
はたしてこれは食事なのか、デザートなのか。
でもこれがちょうどいい一皿で、メインからデザートにかかる架け橋、フィナーレ前夜って感じだった。
真ん中の今日のモレはかなり辛い。スパイスが効いている。
周りの熟成させたモレは甘く、まったりしている。
材料が多いだけあって、味のつかみどころがなく面白かった。
何食べてるのか、最後までわからなかった。
ただ、美味しいし、なんかクセになるかも。
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マンゴーと日本酒のシャーベットに発酵ライムのグラニテ。
バジルオイルがかかっている。
純粋にめちゃくちゃ美味しい。
日本酒は感じられず。
本当に入ってる?と思った。
グラニテの塩味が最高で、しょっぱさを調節しながら食べれる。
甘しょっぱい好きにはたまらなかった。
バジルオイルに関しては最初、なんておしゃれな味なんだ…。と思って食べていたけれど、慣れてくるとまとまってくる。
お腹いっぱいだったので、コースのデザートはやっぱ爽やかなのがいいな!と思った。
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爽やかに満足してたのにガツンと甘いのがきた。
これは結婚のお祝いとして出してくれた。
この日は朝から大使館に婚姻届を提出し、入籍。
そしてPujolへと足を運んだ。
特別な日に相応しい食体験ができて幸せだった。
このデザートはホワイトチョコのカリッとした分厚い表面、中にはピーカンナッツ。
周りには金箔が貼り付けられている。
こんなにたくさんの金箔食べたの初めて。
高級感たっぷり。
それに反比例したかのような、ささやかなキャンドルが可愛いよね。
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また来た。死ぬほどお腹いっぱい。
でもこれもすごい美味しかった。
コンチャというメキシコの甘いパン。
パン屋さんやスーパーに売っていて、メロンパンのような感じ。
ここではかなり小ぶりで、パンというかデザート。
シュークリームっぽいと思った。
クッキー生地で、「ビアードパパのある駅の香りだ!」と思った。
お腹いっぱいすぎてちょっとバカになってるかもしれない。
あの駅は危ない。つい買っちゃうんだから。
中は生クリームでもカスタードでもなく、クレマっぽかった。
クレマはメキシコ料理に使われる脂肪分の少ないクリーム。
しつこくなくて良い。
そして、コースは終了。
(どこまで続くのかと思ったけれど、まさかのビアードパパに思いを馳せて終了。)
美味しくてめちゃくちゃ楽しい時間だった。
思えば全ての料理がピリ辛で、いろんなチリに翻弄された。
爆発的で、濃くて明るくて、派手な味だったな。
食事中、脳内では、つばの広いメキシコの帽子にマラカスやギターを持って歌い踊るメキシコ人がいた。
まさにそんなイメージの料理ばかりだった。
満足感をダイレクトに刺激されて、まんまと満足。
最高の体験だったな。
最後、もう吐きそうなくらい食べたなと思いながらお会計した時に、チョコを一粒もらった。
おいしすぎるチョコだったけれど味わう余裕はなかった。
こっそりポッケに入れて次の日に食べればよかった。
帰ったらすぐベッドにダイブして、一ミリも動けなかった。
ゴロゴロしながら、パートナーとハウルの動く城をみた。
あれは愛の物語だと思う。
観終わってからもお腹は苦しかった。
結婚記念日に相応しい満腹感と、愛の充実だった。
プロフィール:
1996年、サブカルインドア人間として大阪にて誕生。
服飾専門学校卒業後テキスタイルデザイナーを務めるが都会的な暮らしや流行に嫌気がさし退職。
2021年、沖縄県の宮古島に移住。
趣味だったハンドメイドウィービングや料理の仕事に就く傍ら、フリーダビングにはまり毎日海で泳ぐ。
さらなる自然への興味と世界を深く解釈したい欲が矢を放ち、世界を駆ける。
ラジオとゲーム実況が好き。
情報記事はこちら。
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