希望の朝を抜け、海の宝石を堪能(プエルトモン/チリ)
トランキーロから北上、海の街プエルトモンへ移動。
まだ薄暗い早朝にトランキーロを出発してから数分後の車窓。
世界一美しいと称される街道を行く。
パタゴニアに朝がきて湖面に光の柱が揺らめく。
眠っていた山が目を覚まし、緑の彩度があがる。
黄金に輝く枯れ草。
圧倒的希望感を持った太陽。
高校生のころは低血圧で朝が大嫌いだった。
「朝は灰色、一ばん虚無」と綴った太宰治に頷いた過去があったけれど、自然と対峙するとそうじゃないなと思う。
朝は希望!黄金!
さて、バスと飛行機を乗り継ぎ到着、プエルトモン。海の街。
ペルーから始まった旅、常に南へと進んでいたがここにきて初めての北上。
プエルトモンは大きな魚市場があるということで海鮮を食べに行った。
吊るしてある赤いのや茶色いのは貝や昆布を乾燥させたもの。
店先のおばちゃんいわく、炒め物とかスープにしたらおいしいよ!とのこと。
見た目はぱっと見、奇妙だけど確かにいい出汁でそうだと思った。
食べるには調理が必要なようで、買うにしても量が多い。
悩んでいると店のおばちゃんが市場の裏にある店で食べれるよ!と言って連れてってくれた。
ペルーで食べたときも思ったけれどセビーチェ、かなり美味しい。
食べる前はカルパッチョみたいなものかと思っていたけれど、遥かに爽やか。
ここでは好きなだけレモンやサルサなどをトッピングできる。
スプーンなどはしっかり洗っている気配がなかったので緊張感はありつつ、美味しすぎてペロリだった。
(後日お腹壊すこともなかったです。)
日本人にとって新鮮な魚介といえば醤油のイメージが強いけれど、ピリッとした玉ねぎや爽やかなレモンやパクチーなどの柑橘の香りもありだと思った。
この赤いウニョっとしたやつは"piure"という貝。赤貝みたいな味。
白いウニョっとしたやつも貝。
白子のような濃厚なとろみの後に強烈な生臭さがやってきて幸福から地獄の高低差がすごい。
横にあるサルサが地獄を緩和してくれる。サルサ様。
ところで目の前の海岸で犬とオタリアがバトルしていた。
すごい光景。どちらも噛んだりはしていないから戯れあっているようにも思える。
犬は騒いでいて、オタリアは鬱陶しそうにしてるけれど。
海鮮堪能、市場からの帰り道を歩いていると店先に飾ってあったポストカードが気になった。
眺めていると中からおじさんが現れ、上にたくさん絵が飾ってあるから!と中に連れて行ってもらった。
突然のイベント発生だった。
1階は何かの店のようだけど、2階は個人的な空間だろうか、それにしては立派すぎるけれど。
しかし、ギャラリーにしては看板もないし。
絵画にはプエルトモンの海や街が描かれている。
たった今見てきた景色が絵の中にあり、なんだかこの海の街に住む誰かのいつかの記憶を覗いているような感覚になった。
海は美しいな。曇天の海も好きだ。
キラキラしてるのもいいけれど、灰色の海は心落ち着く。
雨が暗い気持ちを表す表現としてよく使われる時があるけれど、自然の現象とわたしたち人間の内面は似ているのかも。
ところで、基本的に各町の1番か2番目に安い宿に泊まっているんだけど、街中はエアビーがいいかんじ。
もっと有名な観光地に行くとドミトリーが基本的には1番安いんだけど。
そしてプエルトモンのエアビーはかなり当たりで過去最高に綺麗だった。
オーナーが飼っているわんちゃんがとにかく可愛かった。
最初はオドオドしていたのに私たちが気になるのかたまに部屋に様子をチラッと見に来るのがいじらしい。
ボール遊びを一緒にしてあげてからはかなり懐いてきてもう堪らなく可愛かった。
びびりだけど好奇心旺盛というのが実家にいる犬にそっくりで、愛おしさが込み上げたり。
夜はぶどうを貪り食った。
スーパーで売っているぶどうがめちゃくちゃおいしい。
日本で売っている4000円ぐらいのシャインマスカットと変わりないおいしさだとおもう。
ミックスナッツに入っているレーズンがおいしかったからもしやとおもって買ってみたら絶品だった。
さすがワインの産地(品種はいろいろあるだろうけど)。
400円くらいだった。そこまで安くはないけどあまりにもおいしい。
海産物には申し訳ないけど、チリで食べたものの中でいちばん美味しかったかもしれない。